人類最後の男が、終末の世界で見るものとは。『The End of the World』レビュー
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- 2016年05月05日
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- 評価8|

「人は、1人では生きられない」
そんな当たり前のことを訴えるゲームが、『The End of the World』だ。
本作は、終末を迎えた世界でたった1人だけ生き延びた男の孤独を描き、あなたに見せつける。
たった20分のゲームを終えてエンディングを迎えたとき、あなたは人との繋がりについて思いをはせることだろう。
朝、男は1人きりで起きる。

画面をタッチすれば、左右に自由に動けるし、タンスを触って開ければ、服を着ることもできる。
もちろん、服を着なくても何ら問題ない。

なぜなら、他に人がいないから。そのかわり、一緒に食事をする人もいない。

世界に1人残された男の日常は、とても退屈で、やることと言えば散歩だけだ。
しかし、それはとても悲しい行為である。

街には、男の思い出が眠っているからだ。
記憶の眠る場所に移動し、画面の時計をタッチすると……。

在りし日の記憶が蘇る。ああ、ここで夕焼けの中、恋人とベンチに座ったのだ。

バーに行けば、ちょっと気取って食事したことを思い出す。

しかし、時計から指を離すと、そこには荒れ果てたバーがあるのみ。
今できることと言えば、酒瓶をひっつかんで、酔っ払うぐらいだ。

毎朝起きるベッドだって……。

本当は、恋人と朝を迎える場所だったはずなのだ。

幸せな記憶と荒れ果てた世界の対比は残酷で、あまりにもやるせない。
男も恋人も細かく描写されないことが想像力をかき立て、寂しげな音楽はプレイヤーを鬱のどん底に突き落とす。
これ以上なく、寂しい。
しかし、プレイを終えるとプレイヤーには別の感情が目覚める。
男にはもう何もない。だが、自分たちにはまだ友達、恋人、隣人……誰かがいる。
ただ、隣に人がいることがどれだけありがたいことか。それを改めて認識し、今を大事に生きる気持ちがわいてくる。
何気なく生きている今も、振り返ってみれば素晴らしい。現代を生きる大人は、それを忘れているのではないだろうか。
『The End of the World』は、寂しい題材と裏腹に、生きる活力をくれる素晴らしいショートアドベンチャーだ。
2016年5月4日現在、無料セールをしているのでこの機会にぜひ遊んでみて欲しい。
評価:8(とても面白い)
課金について
なし
おすすめポイント



(バージョン1.0、ゲームキャストトシ)
アプリリンク:
The End of the World by Sean Wenham (itunes 240円 iPhone専用 / GooglePlay)
動画:
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コメント(1)
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コメント一覧 (1)
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- 2016年05月05日 01:19
- なにこれ、泣ける。無料で手に入れたけど、過去に戻れるなら金を払いたい。