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理想の艦隊を作って戦う銀河統一SLG、『Sid Meier's Starships』レビュー。

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『Sid Meier's Starships』は、『Civilization』の流れを汲むターン制の戦略シミュレーションゲームだ。
タイトルには『Civilization』を冠していないが、ストーリー的には『Civilization Beyond The Earth』のその後を描いている。

ヘビーな『Civilization』マニアからは「物足りない」という声も上がる本作だが、短時間で終わる(本編比)戦略ゲームとして見れば一定の面白さがあるし、なにより自分だけの艦隊を作る編成システムが楽しい。
「自分だけ」というのはソシャゲ的なヤツではなく、ステルス艦隊でも、ミサイル艦隊でも、好きなように編成し、その艦隊で宇宙を制覇できるのだ!

このゲームは、基本的には『Civilization』を簡易化した形なので、プレイの流れもそれを踏襲している。
ゲーム開始時に派閥と指導者を選び、この組み合わせによってさまざまなボーナスを受け取れる。
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続いてプレイヤーが率いる艦隊を組み立てる。
個々の戦艦はプレイヤーにカスタマイズできるのが特徴で、遠距離まで届くレーザー、近距離で破壊力が高いキャノン、装甲やシールドなど様々なパーツを自由に組める。
弱い艦をたくさん作ってもいいし、少数精鋭でもいい。
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ステルス艦、ミサイル艦、艦載機を搭載する空母、なんでも自由自在である。
すべての装備を強化することもできるが、パーツを乗せすぎると機動力が落ちる。
ああ、でも超弩級艦とか作るのもいいし……どのパーツもそれなりに使えるので、カスタマイズが楽しい。
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▲パーツを強化していくと外観も変わる。

が……実はこのゲーム、バランスが悪い。
プラズマキャノンとシールド、エンジンを強化すればそれだけで強いのだ。
しかし、それを無視して趣味で艦隊を作るとゲームは格段に面白くなる。
艦載機を大量に搭載して「いけ、コスモタイガー!」などと宇宙戦艦ヤマトを気どることもできるし、銀河英雄伝説に習って艦隊を作ってもいい。
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▲ミサイルで戦うと、詰め将棋のように敵を追い込んで退路を断つ渋いゲームに……。

艦隊を組んだら星図マップを移動して近隣の惑星を訪れ、惑星の問題を解決して「影響力」を上げて支配下におく事となる。
惑星の抱える問題を解決すると報酬も手に入り、影響力が増す。
影響力2で交易が始まって資源を生産された資源の半分が送られ、3で全資源が送られ、4に達すると星が完全に勢力下に加わる。
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惑星からは戦艦を強化する「エネルギー」、惑星にさまざまな設備を作る「メタル」、技術を研究する「科学」、惑星の人口を増やす「食料」の4つの資源が産出される。
ここで力を蓄え、他の勢力との遭遇に備えるわけだ。
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なお、住民の抱える問題は大抵「バトル」であり、専用のヘクスマップで艦隊を率いて戦うこととなる。
バトルもプレイヤーとCPUが順番に行動するターン制となっている。
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バトルはなかなか複雑で、位置と向き、そして間合いがとても重要になっている。
アステロイド地帯を盾にしなければ敵の攻撃が直撃してしまうし、戦艦の背面はシールドの効果が弱くなるので向きにも注意しなければならない。
ビーム系の攻撃は距離が近いほどダメージがでかくなるので、距離を詰めて一気に敵を倒す間合いの見切りも必要だ。
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難易度を落とせばこれらを意識しなくてもゲームは遊べるが、ルールを覚えて工夫した分だけ成果が上がるシステムとなっている。
また、攻撃の瞬間は艦隊が拡大され、専用の視点となる。
これは見応えがあって、見ていて楽しい。
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星図マップを移動したり、バトルするたびに画面左下の「士気」が減り、士気が落ちてくると艦隊の能力も落ちる。
そして、士気が完全になくなると艦隊が移動できなくなり、ターン終了となる。
これを繰り返して勢力圏を拡大し、プレイヤーとCPU勢力と隣接すると、いよいよ熾烈な戦いが始まる。
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あとはそれまで貯め込んだ国力を元にバトルを繰り返し、4つの勝利条件のうちいずれかを満たした勢力の勝利となる。
宇宙艦隊を作るのは楽しいし、ゲーム自体も結構楽しめる。
人によっては繰り返し遊べるだろう。

ただ、『Civilization Revolution』のような完成度を期待すると肩すかしを食う。
先ほど言ったように戦艦のバランスは悪い。
4つの勝利条件があるが、どれも「勝っていれば満たせる」という感じで、あまり差を感じられない。
後半になるほどバトルが長くなり、圧倒的に勝っていても進行が遅く感じたり、移動操作で経路を選びづらかったりと粗もある。

プレイ時間はマップサイズと難易度で変動するが、おおよそ1〜3時間程度。
『Civilization』シリーズを遊び込んだプレイヤーには物足りない感があるだろう。
ベテランのプレイヤーなら、数プレイで「不可能」の難易度を攻略できるはずだ。

ただ、簡易な「Civilizationっぽいもの」としてみると十分遊べるし、低い難易度を逆手にとって、「理想の宇宙艦隊で戦う縛りゲー」として遊ぶとかなり楽しめる。
「宇宙艦隊」という言葉に浪漫を感じる方は、ぜひそんな感じで遊んで欲しい。

評価:3.0(面白い)

課金について
なし

おすすめポイント
Civilizationっぽいものを短時間に遊べる
なんだかんだで面白い。
理想の艦隊で遊べる。

気になるポイント
本家と比べると熱中度は低い
力押しに終始して戦略性は低め

(バージョン1.0、ゲームキャストトシ)

アプリリンク:
Sid Meier's Starships (itunes 1,500円 iPad専用)