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ファタモルガーナの館 レビュー - ずさんなiPhone移植の中でも輝く名作ノベル。

ファタモルガーナの館 (itunes 1,000円 iPhone/iPad対応)
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2012年にPCで同人ゲームとして発売され、名作の呼び名高いノベルゲーム『ファタモルガーナの館』がiPhoneでプレイできるようになった。
移植の質は許される限界のなかで徹底してひどい。
しかし、それでもこのゲームが持つ魅力を消すには至らず、素晴らしい演出とストーリーに飲まれるように最後までプレイしてしまった。

移植は酷くてもプレイできれば名作は名作。
本日はそんな『ファタモルガーナの館』の紹介におつきあいいただきたい。

追記:
2014年7月25日のアップデート、バグは修正されたり、文字サイズの調整が行われたので、現在は普通に遊べる。

物語は「あなた」が西洋館で目を覚ますところから始まる。
屋敷には「あなた」を「旦那さま」と呼ぶ謎のメイドがいるが、「あなた」は記憶を失っており、彼女が誰だかわからない。
そこで、メイドは屋敷の主人である「あなた」の記憶を取り戻すため、屋敷にまつわる悲劇の話を語り始める…。
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時代を変え、人を変え、次々と語られていく悲劇。
前半では逃れようもなく、苦しい話がひたすら繰り返される。
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▲やや耽美系のイラストがストーリーにマッチしている。

いつの時代にも館を守るメイドと、立場を変えて現れる「白い髪の娘」は何者なのか?
この物語を通じて、「あなた」の記憶は本当に取り戻されるのか?
謎に包まれたまま、ひたすらに物語は続く。
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悲劇の中で人の弱さ、あり方の難しさを見せつけられ、人によっては苦痛に思えるかもしれない。
しかし、前半を乗り越えると話は少しずつ、悲劇を語りながらも思いがけない方向へ転じていく。
その頃にはこの物語から目が離せなくなり、クライマックスまで一気に読み進めてしまうことだろう。
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そして、ゲームが終わったときには希望、やるせなさ、悲しみ、さまざまな感情が入り交じった不思議な気持ちに包まれ、物語に思いをはせてしまうはずだ。
辛いとすら感じる物語だが、読後感は悪くはない。

しかし、『ファタモルガーナの館』が名作と呼ばれる理由はストーリーだけではない。
歌を多用したBGMが、このゲームを他のノベル系ゲームと一線を画すものとしている。
曲調が時代感、空気感などを反映しているだけでなく、人の声がのることでそのシーンの空気感、感情がわかりやすく伝わるのだ。
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▲特に気に入っているのは第3章のテーマ曲。開拓時代独特の高揚した空気感が素晴らしい。

ときに歌が主張しすぎていることもあるが、映像や文章よりも先に音楽でシーンの空気を表現する手法はこのゲーム独自で、ノベルゲームが好きなら体験しておくべきものだ。

また、ゲーム内容は一本道のノベルには近いが、「選択」が実に効果的に使われている。
選択が出たとき、正しい選択肢はほとんどの場合でわかりきっている。
しかし、選択の内容とタイミングが実に巧みで、ストーリーを通じてプレイヤーが「やりたい!」と感じたことが表示されているのだ。
プレイヤーがやりたいことを選択させることで、いつの間にかプレイヤーの意識が「あなた」と完全に一体化して、物語に入り込んでしまう。
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歌入りのBGMの空気感をつくり、選択のトリックでいつの間にかプレイヤーが主役と同調し、よりストーリーにはまり込む。
そして、強烈な読後感に読み終えてもまだ物語に思いをはせてしまう。
選択肢や音楽が存在があるからこそ味わえるこの感覚は、文字だけの本では味わえない「ノベルゲーム」特有のものだ。

素晴らしいだけでなく、近年では最も画期的なノベル系ゲームだと思う。

しかし、残念ながら冒頭で書いた通りに移植はひどい。
PC用の画面をそのまま流し込んでおり(マウス操作時の注意書きなどが存在する)、ゲーム画面の左右には黒帯が表示され、雰囲気を損なっている。
タイトルやコンフィング画面の操作もしづらい。
文字も小さく、iPhoneへの最適化が十分ではない。視力が弱いとプレイは難しいし、そうでなくても目が疲れる。
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▲テキスト部分はやや小さいですむが、一部の演出では耐えられないぐらい小さい。

アプリが落ちることがある。対策として頻繁にセーブしようにも、セーブにとても時間がかかる。
また、早送り機能が遅すぎるので、セーブ地点から再開して以前読んだ場所まで進めようとしても読んでいるのと大して変わらないぐらい時間がかかる。
また、ごくまれに顔が欠けたり文字の位置がおかしいこともある。
ごくまれなので読み進められるが、雰囲気重視のゲームなので嬉しくはない。
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▲顔が…。ごくまれだけど。

ゲームの発売と同時にメディアミックス展開が発表されたので、そういった大人の事情で発売されたのだと思うが…とても残念な移植だ。
しかし、ゲームが持つ元々の魅力はそれでもプレイヤーを離さない。
ノベルゲームが好きならば、ぜひ体験して欲しいし、この状態でもプレイする価値があると言えるほどだ。
実際、自分は2度目のプレーにもかかわらずiPhone版を最後までやってしまった。

定価は1000円だが、発売セールで700円になっている今のうちに購入し、将来のアップデートを待つのもいいと思う(メディアミックスの柱なのでさすがにこのまま放置はしないだろう)。
ただ、できることなら完全な状態で楽しめるPC版をプレイしていただきたい。
PC版は2000円からとなっているが、それ以上の感動があるはずだ。

評価:3.0(面白い)

課金について

なし

おすすめポイント
歌を多用したBGM
複雑な感情を呼び起こすストーリー
効果的な選択肢の使い方
ゲームにマッチした耽美系のイラスト
 
気になるポイント
序盤が重すぎて辛いと感じる人もいそう
歌がときおり主張しすぎている
アプリが落ちる。そしてセーブに時間がかかる
表示がバグることあり
文字が小さすぎる
スキップ機能が遅すぎる

(バージョン1.0、GCドラゴン)

アプリリンク:
ファタモルガーナの館 (itunes 1,000円 iPhone/iPad対応)

関連リンク;
ファタモルガーナの館(PCのみ Playism 2000円〜)

動画:

 コメント一覧 (2)

    • 1. まさに
    • 2014年05月19日 00:37
    • これですね。
      ひどい移植ですが、音楽やストーリーが最低限出れば見られますしね。
    • 2. キ
    • 2014年05月19日 03:55
    • アプデでマシになったら買おうかな

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凄い!!iPhoneゲームアプリコレクション
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