レビュー:スキタイのムスメ〜音響的冒険〜 ドット絵とリアルな音、素晴らしい演出が織りなす芸術
- アドベンチャー
- 2012年12月15日
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スキタイのムスメ:音響的冒剣劇(ユニバーサルバージョン) 450円 iPhone/iPadの両方に対応
スキタイのムスメ:音響的冒剣劇(マイクロバージョン) 250円
開発:Capybara Games Inc.
評価:3.5(かなり面白い)

繊細なドット絵とその動き
素晴らしいBGMと効果音
神秘的な世界へ引き込まれる演出
移動がちょっとダルい
ゲームは“商品”なのか、“作品”なのか、というのはたびたびゲーマー間で話の種になる。スキタイのムスメ:音響的冒剣劇(マイクロバージョン) 250円
開発:Capybara Games Inc.
評価:3.5(かなり面白い)





今回紹介する『スキタイのムスメ』は間違い無く作品、それも芸術品といっていいほどの完成された雰囲気を持つゲームである。
「これはドット絵の芸術品だ」と海外で絶賛されたこの作品は、プレイヤーをその世界観に浸らせることに全力を注いだ独特の作品である。

まず目につくのは何と言ってもドット絵の細かさ。
タイトルにいる案内人からして、ドット絵なのにちゃんとタバコを吸っているスーツの男に見える。
その上、驚くほど自然に動く。

森、静かな水辺、不気味な洞窟など、全てが美しいドット絵。
全てのシーンがドット絵の芸術と言ってもいいだろう。

それを、水がはねる音、木々のざわめきなどのリアルな効果音がさらに引き立てる。
もともと、ドット絵は小さなブロックをプレイヤーの想像力で補完して見るタイプのもの。
そのドット絵に対してリアルな音をかぶせることで、プレイヤーの想像を助け、ドット絵のリアリティをぐっと増す仕組みだ。
これは実際にかなり良く機能しているので、プレイするときはヘッドホンでプレイしてみて欲しい。

『スキタイのムスメ』はこのドット絵の世界を、特別な力を求めて冒険するアドベンチャーゲームだ。
基本操作は画面をタッチして移動するポイントクリック式。

気になる場所を調べ、ヒントを元に様々な謎をといて行く、昔ながらの形式だ。
謎解きには少し閃きが必要な物もあるが、基本的にはそこまで難しくない。

▲画面上を特定の順番でタッチする謎が多いけど、気にならない。
画面にタッチして反応を調べる総当り式の謎が多いが、このゲームではそこまで作業感はない。
タッチするたびに独特な音で反応があり、主人公といっしょになって世界の中で探っているような一体感があるからだ。

そして、完全に謎が解けると壮大な奇跡が起き、神秘的な雰囲気に満足する。
総当りの作業ですら、このゲームでは世界観を楽しむためのものとして組み込まれており、この世界観にプレイヤーを引き込む。

▲奇跡の演出1つ1つが素敵。
ゲームとしてもう1つ特徴的なのはバトルシーンなどで iPhone/ iPad を縦持ちにする必要があること。
iPhone/iPad 本体を盾にすることで主人公が剣を抜き、敵がいればその場でバトルが始まる。

▲バトルはそんなに難しくない覚えゲー
また、冒険中に手に入る絶世の大書を読むときも本体を本に見立てて縦に開く動作がある。
これはこれで雰囲気があるのだが、iPad でプレイしていると縦横に本体を持ち直すのが面倒か。

以前は雰囲気は良かったものの英語のみ対応だったのでおすすめとまでは言えなかったが、バージョンアップで完全日本語対応。
“完全”というのはダテではなく、原作者の注文で奇妙な言い回しまで再現。
「ナルハヤで安全な山小屋まで帰りたい」
など、日本人にしかわからない独特な言い回しで原作を再現している。

これによってだんだんと悲壮感が漂ってくるシナリオを楽しめるようになり、誰にでもおすすめしたいレベルのゲームになった。
特にラストに向けての加速感はゲームが止められなくなるほどで、鳥肌が立つような、奇妙な高揚感がある。

ドット絵、リアルな音、演出、謎解きが全て一体となった高レベルな作品で、久々にアドベンチャーゲームをプレイして“冒険を体験した”と思わせてくれたゲーム。
謎解きゲームとしてみると新しいことはないが、この神秘的な世界と演出は問答無用で体験する価値がある。
アプリリンク:
スキタイのムスメ:音響的冒剣劇(ユニバーサルバージョン)(itunes) iPhone/iPadの両方に対応
スキタイのムスメ:音響的冒剣劇(マイクロバージョン)(itunes)
動画:
コメント一覧 (7)
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- 2012年12月15日 23:32
- セールにならないかなー…。
前に250円まで値下げしてたけど、170円くらいになってほしい(^-^)/
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- 2012年12月16日 09:18
- こういう前衛的なゲームより、普通にちゃんと作られてて、全世代が楽しめる普遍的なゲームがもっと評価されるべきだと思う。
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- 2012年12月16日 10:33
- サントラもおすすめですよ
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- 2013年02月18日 10:32
- ※3
万人受けのゲームなら放っといても評価されるからな。こういう掘り出し物の良ゲーを取り上げて人の目に触れさせるから良いんじゃないか。
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- 2013年07月15日 07:33
- 訳が若干気持ち悪い、、。
もうちょっと普通に出来なかったのか、、。原文はけっこういい感じだったのに。
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- 2014年06月02日 02:20
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ゲームではなく、作品だと思う。
古く、かつ定義の曖昧な「スキタイ族」の名を用い、奇妙にスラングを使い回す言葉遣いの異様さで、言語アート。
リアルな効果音やどことなくノスタルジックな民族音楽のようなBGMが、音アート。
ドット絵という、あえて未熟な技法の画面が、却って想像力をかきたててリアリズムを感じさせる、画像アート。
特に画像は、テクノロジーに頼った凡百の「美麗グラフィック」が却って貧困なリアリズムになることを、痛感させる。
ストーリーの不可解さがまた奇妙な余韻を残す。「クールジャパン」からは生まれないであろう逸品。
イヤホンもしくはスピーカーから音を出す前提なのが面倒k…ゲフンゲフン