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そこにあるのは、滅びた世界と少女と船だけ。ゾンビも何もない終末を旅する『FAR: Lone Sails』レビュー

FAR: Lone Sails (App Store 500円 / GooglePlay 620円 / Steam 1,520円)
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そこにあるのは週末を迎えた世界と、少女と、不思議な船だけ。
狂った機械も、ゾンビもいない。
『FAR: Lone Sails』は、そんな終末世界を旅するゲームだ。

言葉を使った明示的な演出はなく、プレイヤーは少女を操作して世界を見て回り、風景から何かを感じ取ることしかできない。
文明は滅びきってしまったのか、少女は本当に最後の1人なのか。
さあ、終末の世界の旅行に出かけよう。

ゲームは、少女が墓参りをしているシーンから始まる。
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自宅と思われる場所に戻っても、そこには誰もいない。
墓に飾ってあった写真の男性。あれが少女最後の身寄りだったのだろう。
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1人になって未練がなくなったからか、少女は家を出て旅に出る。
灰色の風景は印象深く、遠景まできっちり描き込まれていて見応え十分。どこを切り取っても、1枚のアート作品のように見える。
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進み続けた先には不思議な船があり、少女はその船に乗って進める……というのがオープニング。
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この『FAR: Lone Sails』をゲームシステム的に言うなら、横スクロールのアドベンチャーと言える。
操作は左右移動、ジャンプ、物を持つボタンの4ボタン。
操作はキャラクターの移動、ごく簡単な謎解きに使用するだけなので、アクションが苦手でも十分楽しめる。

終末旅行のおよそ3分の1は、船に燃料をくべて前進する作業に費やされる。
船の中にはボイラーやエンジン制御ルームがあり、プレイヤーはボイラーに燃料を入れてはエンジン制御ルームでスイッチを押して前進する。
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▲操船は特別な操作を必要とせず、ジャンプや移動でボタンを押し込むことで行われる。

船は複数人数で動かすことを念頭に置いて作られているようで、エンジンは監視していないと止まってしまう。
また、定期的に”STEAM”ボタンを押して減圧しないと爆発する。
とは言え、基本的に操船は「忙しくて楽しい作業」で、未知の機械を動かすワクワク感を伴う。
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忙しい操作が苦手なら、船を止めては動かして、ゆっくり操船してもゲームは進む。
船の中にいるとせっかくの風景が見えなくなる(正確にはピンチインで画面を拡大していると外が見えなくなる)ので、エンジンを入れては適度に外を見て、ゆっくりと進むと良いだろう。
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▲進むと時間と天候が変化し、朝焼けなども見られる。

このゲームの3分の1は操船時間だが、残りうち3分の1は風景を見る時間。
そういったスローペースなゲームとなのだから。
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まれに悪天候時の坂道などで、燃料をくべてはエンジンルームに戻って進み続ける操船が必要になるが、それでも大変な作業にはならないので安心して欲しい。
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では、残り3分の1は何かというと、文明の名残を見て回る時間だ。
船が一定距離進むたび、かつて人間が利用していたであろう関所のようなものが登場し、プレイヤーは船を降りてその中を見回る。
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もちろん、関所にも危険はない。人間がただ生活していた施設が危険なわけがないのだ。
滅ぶ前の人々がなぜこんな建物を作ったのか考えつつ、関所を開けるスイッチを探す簡単な謎解き作業は、終末の旅の良いアクセントになっている。
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ただ船を進めて、ときに坂道や悪天候を乗り越え、燃料が足りなくなれば本や資材すら燃やし……少女はどこにたどり着くのか。
美しい風景のスクリーンショットを見て世界観が気になったなら、人間がいないだけの世界に興味があるなら、このゲームはおすすめだ。
2時間程度で終わる短編なので、気軽に手を出してみて欲しい。

プレイ動画:


概要:
ゾンビも危険もない、ただ人がいなくあんった終末世界を見て回る。

評価:7(要チェック)

おすすめポイント
枯れた空気の終末世界を見て回る

気になるポイント
崩壊に至るシナリオや、起伏のある展開を求めるなら向かない

アプリリンク:
FAR: Lone Sails (App Store 500円 / GooglePlay 620円 / Steam 1,520円)

開発:Okomotive AG(スイス)
開発:Mixtvision Mediengesellschaft(ドイツ)
HP:https://www.far-game.com/
レビュー時バージョン:1.0
課金:なし

ライター:寺島壽久(ゲームキャスト トシ)
ゲーム紹介サイト、ゲームキャスト管理人でゲームライター。
アクション、新しさのあるゲーム、旅を感じるゲームが好き。
Twitterでも情報発信中