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自分だけのキャラを作り、プレイヤーが自由にシナリオを公開し、無限に冒険できるRPG『Legends of Covitoria』レビュー。まだ発展途上だが、短いシナリオの製作はすでに実用レベル

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プレイヤーがキャラクターを作って、背景やイラストを自由に設定でき、そのキャラクターで冒険する。
冒険するシナリオもプレイヤーが自由に作成でき、作ったキャラクターで無限に遊べる。
『Legends of Covitoria』は、そういったコンセプトのRPGだ。
サービスインしたばかりの2020年1月18日現在はシナリオが少なく、単にプレイヤーとして遊ぶならおすすめはしないが……シナリオを作りたいなら話は別だ。すでに使えるレベルのエディタが提供されており、本作は盛り上がる可能性がある。
よって、今回は自由にシナリオを作りたいプレイヤー向けにこのゲームを紹介する。

『Legends of Covitoria』は、プレイヤーが1人のキャラクターを作成し、他のプレイヤーの作成したキャラクターと共に最大4人で冒険するRPGとなっている。


キャラクターは種族と職業を選び、能力値にポイントを割り振り、固有の必殺技ともいえる“オリジナルスキル”を1つ選んで製作する。
オリジナルスキルは強力なだけでなく、レベルアップとともに“効果時間”や“威力”など、好きな部分を指定して強化でき、他のキャラクターと差別化につながる技だ。
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▲名前、プロフィール、キャラ肖像画など、システムデータではない部分もカスタム可能。ただし、現在Android版は画像のアップができなくなっている。

本作では自作キャラクターやシナリオをサーバーにアップロードして他のプレイヤーに提供できるが、スパム防止のため一定の名声値(つまり数回冒険をこなさないと)これらの機能を利用できない。
よって、最初は普通に冒険することになる。
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▲すでに使ってはいけない画像を使っているプレイヤーも。このあたりの対処はだんだんとなされるのだろう。

ということで、まずは冒険の様子から紹介していこう。
『Legends of Covitoria』は、テキストで示されるアドベンチャーパートと、ダンジョンを冒険するパートで構成されるRPGとなっている。
アドベンチャーパートは画像とテキストで構成されるオーソドックスなモノ。
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サンプルシナリオではいくつかの選択肢があり、選択肢によっては即座に冒険が終わってしまうことも。きっちりアドベンチャーっぽいものが遊べるつくりではある。
メッセージ送りするとき、わざわざメッセージウィンドウをタッチする必要があることは気になるが、普通のRPGと言っていい見栄えになっている。
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ダンジョンパートはミニマップを見ながら部屋で区切られたダンジョンを移動するものとなっており、部屋ごとにイベントが発生する。
また、“探索”コマンドで部屋の中を明示的に調べることも可能。
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冒険の様子は“ログ”で見返すことができ、イベントの目的などを見返せる。
ただ、イベントのある部屋で“探索”コマンドを利用するとログに成功判定(探索の成否を決めるメッセージ)の様子が残ってしまいうため、イベントのある位置がばれてしまう。
このあたりは、うまく修正して欲しい感がある。
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バトルはターン制のコマンド入力方式を採用しており、前衛と後衛の概念がある。
この手のゲームでは他のプレイヤーのもつ強いキャラクターを仲間にしていると簡単に勝てることもあるが、『Legends of Covitoria』ではレベルが高いキャラクターでも、シナリオに設定された推奨レベルまで実力は抑えられてしまう。
よって、1LV冒険者向けのシナリオに6LVキャラクターが参加しても実力は1LV扱いまで落ち、どんなシナリオでも適正なバランスで楽しめる設計になっている。
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全体として、アドベンチャーは十分、ダンジョンパートはそれなりに遊べるものになっており、「これなら面白い冒険も作れるかもしれない」と思えるクオリティになっている。
ただ、途中セーブがなく、現在はシナリオが終わるまで遊びきらないといけない。よって、短編以外はプレイに向かない。

で、そんな『Legends of Covitoria』のシナリオはアプリではなく、PCで公式HPへ行き、ブラウザ用のシナリオエディタを起動して作成する。
シナリオエディタは会話や戦闘、判定やフラグ管理などのイベントをつなげていく形式で、フラグ、分岐、ラベル、サブルーチンなどの基本的な機能は大体揃っている。
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コピー&ペーストで個別イベント・サブルーチン(イベントの塊)を簡単にコピーでき、似たイベントの量産も可能。
エディタ上からシナリオを起動して、スマホで実行したときの見え方も確認できる。
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キャラクターイラストやモンスターデータなどはあらかじめ用意されたものしか使えないが、それなりに数があるので短編・中編程度は対応可能。
このあたりは、少し自由度を低くすることで、シナリオを楽に作れるようにする意図を感じる。
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戦闘後の処理に関しては勝利時、敗北時、逃走時それぞれに分岐イベントがあり、逃走可否も設定可能。
「戦闘中にこのアイテムを使ったら」という分岐はないが、それなりのイベントは準備できるようになっている。
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ダンジョンに関しては特別なエディタが用意されており、部屋と道をつなげて直感的にダンジョンを作成できる。
1部屋に1イベントを用意できるだけでなく、ダンジョンの部屋をつなぐ道に関しては通行条件も設定可能。これで「鍵を持っているときだけ通れる」などの処理も可能。
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「シナリオを自由に作って配布可能!」というゲームでは、シナリオエディタが使いものにならないことも多い。
だが、『Legends of Covitoria』はすでに簡単なシナリオなら十分作成できる。

現在は長い会話シーンが作りづらいとか、データが多くなってくると把握しづらいとか、いろいろと目に見える難点はある。
とくにデータ保存は問題があり、作成したシナリオを“ダウンロード”でPC上に保存しないと、タイトル画面に戻ったとき、ブラウザの強制終了時にはデータが完全に消えてしまう。
ここは早期に改善が望まれる(記事に合わせてシナリオを公開しようとしていたがタイトルに戻ってしまって消えた)。

とはいえ、この手の「プレイヤーが作って遊ぶ」ゲームの中で『Legends of Covitoria』はそれなりによくできている。
私が作業した実績として、1時間半の作業で400文字分の会話と簡単な分岐、ダンジョンと1回の戦闘とマルチエンディングを備えた10分~15分の冒険を作れている。
経験者の方ならわかってもらえると思うが、公開初日のシナリオエディタでこれだけできれば、かなりのものと言えるだろう。

広告もなく、課金もキャラクター作成上限の増加程度なので、手を出しやすく、プレイヤーが増える余地もある。
運営の頑張り、プレイヤーの呼び込みなどでこれから成長の可能性があるので、もしあなたがシナリオ職人なら、ぜひ1度試してみていただきたい。

概要:
プレイヤーの分身となるキャラクターを作り、他のプレイヤーのキャラクターと冒険するファンタジーRPG。自作シナリオ配布も可。

評価:6(面白い)

おすすめポイント
すでに十分使えるシナリオエディタがある
RPGとしてそれなりに遊べるものを作れる

気になるポイント
現在はシナリオが少ない
エディタが有用なのは短編まで
冒険途中でセーブできない
RPG部分に関しては表示、操作性の面でまだまだ改善の余地がある

アプリリンク:
Legends of Covitoria (App Store 無料 / GooglePlay 無料)

開発:Paidia Entertainment(日本)

HP:http://paidia-entertainment.com/LegendsOfCovitoria/index.html
レビュー時バージョン:1.0
課金:冒険者作成上限アップ

ライター:寺島壽久(ゲームキャスト トシ)
ゲーム紹介サイト、ゲームキャスト管理人でゲームライター。
アクション、新しさのあるゲーム、旅を感じるゲームが好き。
Twitterでも情報発信中