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古典ゲーム『フロッガー』×3D物理演算=面白い。新たな面白さを生成した『Frogger in Toy Town』レビュー

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大ヒットゲーム『クロッシーロード』の原点とされており、カエルが車などを避けてゴールに移動する1980年代のレトロゲーム『フロッガー』。
まさか、その新作が現代に登場し、よりによって2019年9月にAppleの発表会で「Apple Arcade独占の自信作」と、トップバッターとして紹介されるとは。
しかも、それがこんなに面白いとは!
コナミとQ Gamesが開発した『フロッガー』シリーズ最新作『Frogger in Toy Town』は、古典を活かつつ新しい面白さを作り上げており、レトロなファンも近代のゲーマーも虜にする魅力を持っている。

『Frogger in Toy Town』はステージクリア型のアクションゲームで、人間の家に迷い込んだ子ガエルを発見し、ゴールまで連れていくことが目的となる。
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各ステージには子供用のおもちゃが所狭しと並べられており、見た目にとても賑やか。
現代的なリアルな質感で描かれる人間の家とおもちゃは見ごたえがあり、同時にコミカルでもあり、見た目に楽しいゲームとなっている。
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キッチン、庭、子供部屋に倉庫……あらゆる場所がカエルのスケール感で冒険できるのだ。
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また、トイカーが横切る道路や流木を乗り換える川など、本家のゲームで見かける構図もきっちり再現しており、『フロッガー』感もある。新しくなっても、このゲームは『フロッガー』なのだ。
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▲縦と横画面に両方対応しており、シーンによって使い分けると遊びやすさが変わる。

ゲーム面で見ても、古いゲームのシステムを活かしつつ近代的な面白さにモデルチェンジを果たしている。
本作の基本動作は上下左右へ跳ねる移動であることは変わっていない。画面をタッチすると前進、左右前後にスワイプすると、スワイプ方向に1回跳ねて進む操作を採用している。
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この操作でピョンピョンとステージを進むと子ガエルがいるので、これを保護してチェックポイントかゴールまで連れていくと救出成功となる。
途中で1度でも敵にぶつかったりすると子ガエルは逃げてしまうが、『Frogger in Toy Town』はライフ制を採用しており、ライフが残っていればゴールに入ったとき次のステージに行くことは可能。
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▲画面は奥に強制スクロールしていき、一定以上戻ることはできない。

ここまでは元祖『フロッガー』の面影を強く残しているが、遊んでみると(当たり前だが)まったく違うゲームになっていた。
というか、『フロッガー』がこんなに面白くなると思っていなかった。
まず、ステージが3Dになって坂や段差をジャンプで登れるようになっており、立体的な攻略が可能。ルート選びの面白さが増えている。
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さらに、道に落ちている物体を飲み込み、好きな場所でシュート(吐き出し)して使用する力が加わっている。
積み木にボールをものをシュートすれば崩せるし、ジャンプ台やデコイ(おとり)などの特別なアイテムも使えばシーンに劇的な変化を起こせる。
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▲デコイのアイテムを使用。おもちゃのヘリがデコイに騙されている間に駆け抜ける。

この“シュート”の追加が凄まじく大きい。
ゲーム世界は物理シミュレートされて、積み木にシュートして崩せばあたりに飛び散るし、飛び散った破片は車の進路を変えるかもしれないし、敵を破壊するかもしれない。
シュートするたびに予想もしない出来事や攻略方法が発生し、プレイに偶発的な面白さを生んでいる。たとえば、シュートで川に物を落とした結果、モノが流れなくなり、結果的に橋がかかったりする。
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▲川を渋滞させたら大変なことに。

通常は敵として登場し、触れるとダメージを受ける巨大な芝刈り機も進路を妨害して速度を落とすと……なんと、一定の速度を下回ると触れてもダメージを受けなくなる。
すると、敵に上ってそのまま高いところにいる子ガエルを助けに行けたりする。
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各ステージには王道の攻略方法があって、こういった邪道に頼らずともクリアできる。
しかし、偶発的なイベントが次々と発生し、思いがけず、もしくはある程度考えて新しい攻略を生み出せる物理シミュレーションゲームの楽しさが十二分に備わっている。
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▲なお、人間はすべてを超越した恐ろしい存在として登場。おもちゃを不規則に壊し跳ね飛ばす。世界の終わりってぐらい恐ろしいのでぜひ体験して欲しい。

なお、単にステージをクリアしているだけでも楽しめるが、各ステージに定められたミッションをこなしていくとカエルの衣装だったりコナミのレトロゲームの効果音が手に入り、コレクション画面で演奏するようにバシバシ聞くことが可能。
近代化した中に、往年のファンを忘れない良いやりこみ要素も存在する。
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正直に言って、『フロッガー』の新作がこんなに面白く遊べると思っていなかった。
スマホで大ヒットした『クロッシーロード』の祖先として有名だから、そういった流れでAppleが紹介しているとばかり思っていたが、「俺が大ヒットゲームの本家だ!」とばかりに意地を見せてくれた。

『Frogger in Toy Town』は単なるレトロゲームのリメイクではない。
カエル視点でにぎやかな人間の家を見て楽しめて、近代的な物理シミュレーション・アクションとして遊べて、現代の誰が遊んでも楽しめる新作だ。
カジュアルゲームが好きなプレイヤーも、ゲーム好きも楽しめるポテンシャルを秘めた作品なので、敬遠せずに遊んでみて欲しい。

概要:
カエルをゴールまで導くレトロゲーム、フロッガーの新作。物理シミュレートと3D化で近代的な面白さを獲得している。

評価:7(要チェック)

おすすめポイント
おもちゃだらけの家のグラフィック
レトロに見えて物理シミュレートによって偶発的なイベントの面白さがある
コナミファン向けのやりこみ要素

気になるポイント
物理シミュレートが悪い方向に作用すると、たまにミッションクリアが偶然に不可能になる(やり直しは簡単だが)

アプリリンク:
Frogger in Toy Town (itunes Apple Arcade)

開発:Q Games(日本)
販売:Konami(日本)

HP:https://www.konami.com/games/frogger/tt/jp/ja/
レビュー時バージョン:1.0.1
課金:なし

動画:



ライター:寺島壽久(ゲームキャスト トシ)
ゲーム紹介サイト、ゲームキャスト管理人でゲームライター。
アクション、新しさのあるゲーム、旅を感じるゲームが好き。
Twitterでも情報発信中