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米連邦議会上院議員、未成年にガチャとPay to Winゲームの禁止法案提出すると発表。内容は荒唐無稽

2019-05-09_22h38_36
米連邦議会の上院議員ジョシュ・ホーリーさんが、ゲームのルートボックス(ガチャ)、金を払うほどに有利なゲーム設計(Pay to Win)などを未成年向けゲームに対して禁止する法案を提出すると発表し、話題になっている。
これは「近年、ビデオゲーム業界は消費者の衝動的な課金を促進する収益化モデルに依存するようになっている」ため、未成年をこれから守るための法案だという。
ルートボックス(ガチャ)は、おなじみのお金を支払ってランダムな報酬を提供する仕組みだなので、詳しく説明はしない。
注目すべきは、Pay to winに言及したところだろうか。
Pay to Winには2つの形式があるという。

1つはデザイナーが難易度カーブを使用して次第に困難になる設計をし、進行のためにアップグレード費用を払わせようとするもの。
これらのゲームの多くは無料でダウンロードされる上、最初は簡単なのでプレイヤーに誤った進行感覚(おそらく、後半も序盤と同じように素早く進んで欲しいと願わせる)を与えるという。
もう1つは有料でアップグレードを購入したプレーヤーが有利になるようにマルチプレイ設計がなされているものとされる。

この文書では悪い例として『キャンディクラッシュ』を挙げている。
『Candy Crush』は追加のライフタイマー、1000のゴールドバー(課金通貨)、1日間難易度低下がセットになったパックを売り、「ベストバリュー」と銘打って儲けている。
親会社のActivision Blizzard $200万ドルの収益を得て、2.68億人の月間アクティブプレイヤーがいるとのこと。

以上だが、ここまで読んだ方は、「あれ?」と思ったのではないだろうか。
そう、この1人用の『キャンディークラッシュ』のライフ課金すら否定するこの文書は、かなりクレイジーだ。
プレイ回数に課金することをほぼ許さないということは、アーケードゲームをほぼ全否定する。
子供向けの『ムシキング』などはランダムカードが出るからダメだし、1人用の進行を有利にする『ハウスオブザデッド』のコンテニューですらダメだろう(多くのゲームは難易度カーブで後半にコンテニューを誘発する作りだ)。

未成年がプレイする可能性があるオンラインゲームは、定額課金専用になる。
後発のプレイヤーが追いつくために「経験値2倍」とか、余分に課金して便利になる要素を作ったらNG。スマホから管理する追加オプションも無料提供でなければNGだろう。時間がない人は遊んではいけない。
もちろん、ほとんどの基本無料ゲーム、広告付き無料ゲームもNGになる。
あまりに現実味がないので、おそらく通ることはない「人気取り」系の法律提出になりそうだ。

私個人として、未成年向けにガチャを提供しないという選択肢はありだと思う。
だが、これでは単に「基本無料ゲームは不健全!」と批判するだけのプレイヤーが溜飲を下げるネタでしかない。大きなことを言うなら、もう少しゲームのことを調べてから声明を出して欲しいと思う。

関連リンク:
Senator Hawley to Introduce Legislation Banning Manipulative Video Game Features Aimed at Children | Senator Josh Hawley