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すべての画面が生きている絵本『Wander in Wonder』。子供向けを超え、全人類向けと思えた不思議絵本アプリ #TokyoSandbox

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ベルサール秋葉原で開催されたインディーゲーム展示会『Tokyo Sandbox』。
その展示の中で私の心を1番に揺さぶったのは、迷子のうさぎが家に帰る様子を描いた“動く絵本”、『Wander in Wander』だった。
簡単な謎解きしかなく、プレイ時間もたった15分程度。
しかし、うさぎが家まで帰る15分の体験は、素晴らしく濃密だった。

何がそんなに濃密だったのか。
うさぎの可愛らしさ、画作りの良さなどはもちろんだが、1シーン込められた手間が尋常ではなかった。
とにかく画面内の物体を触ると何かが動き、音が鳴る。
シーン数こそ少ないが、1シーン当たりの情報量は『サモロスト』など、世界的に名高いアドベンチャーをもしのいでいるように感じられた。
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まず、動画をどうぞ。


あまりに良かったので、製作者のKomitsuさんにうかがったところ、納得の経緯。
このアプリを製作する前、Komitsuさんは「もし、東京藝術大学にゲーム学科ができたら?」というコンセプトで実施された東京藝術大学ゲーム学科(仮)「第0年次」展で『here AND there』を発表している。
このとき、Komitsuさんは大学からプログラマーの紹介を受けて制作していたという。
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『here AND there』を作っている最中、Komitsuさんには「次の作品も作りたい」という考えが生まれ、自分の足でプログラマーを探して製作したのが『Wander in Wonder』となる。
もともと、KomitsuさんはPCなどで遊ぶ“触れて動く絵本”などが大好きで、それを見て育った。成長してからは『サモロスト』などのゲームアプリも好んだという。
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▲お気に入りだというLiving Booksシリーズはアプリ版も出ている。なかでも『ウサギとカメ』が好きだとか。

そして、「大好きな、触ったら動く絵本アプリが作りたい」と思って作られたのが、『Wander in Wonder』というわけだ。
「最近、故郷にいたときのような自然に触れていない」ことに気づき、故郷で触れた自然のなかを、うさぎの主人公が歩くことが題材になったという。
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▲タンポポの綿毛にのって飛ぶ。ファンタジックな風景だが、1シーンに1つ、実在する植物も登場するというこだわりも。

現在は最後のシーンまで作ってはいるが、Komitsuさんの中では「シーン内の反応するものが足りない」状況。
すべてのものが動いたり、音を出したりして、納得できるクオリティになったときが完成品とのこと。
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▲うさぎが歩くたび、キノコが登場して音が鳴る。画面を触ったときの音は、東京藝術大学・音楽創造科の友人がこだわって作っているという。藝大の制作力……強い。

私が触ってみたところ『Wander in Wonder』は“子供向けの動く絵本”の域を超え、、触る驚きが凝縮された“全人類向けの不思議な絵本”の域に到達していた。
展示バージョンですら濃密に感じられたのに、これでまだ足りないとは……。
動く絵本、世界観豊かなアドベンチャーが好きなプレイヤーなら、絶対チェックしておくべき1本だと思う。
気になったら、作者KomitsuさんのTwitterをフォローして応援してあげて欲しい。

公式ページ:
Wander in Wonder

アプリリンク:
JP-カメ&ウサギ (itunes 600円 iPhone/iPad対応)
here AND there by Komitsu (itunes 無料 iPad専用)