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忙しい人のための「短くて濃いフリーゲーム6選」。3分で終わるゲームですら、あなたの心を動かせる

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ゲームとは、時間のかかる趣味だ。映画ならせいぜい二時間、小説なら数時間で終わるところを、ゲームは数十時間、場合によっては数百時間をたった一つの作品に費やすことになる。
相対的に時間の価値が上がる昨今、ゲームは好きだが多くの時間は費やせない、そう嘆く方もいるだろう。
しかし、それでゲームから離れてしまうのは、あまりに勿体ない。時間がないのなら、ある分だけでプレイできる作品を探せばいいのだ。

ゲームキャストより:
本日より、私が好きなライターさんによる寄稿記事の掲載が始まります。
第1弾は、ロッズさんによるとっておきのゲーム紹介です。

ロッズさんとは:
Twitter(@rods_skyfish )でゲームの話題メインにつぶやいてるゲーム好き。
最近noteで週1のゲーム紹介をやってる。

『僕を殺す瞳』

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不思議な少女とひと夏の同棲生活を体験できる、ほのぼの日常生活アドベンチャー。

美大に通う主人公の命を救ったことがきっかけで、一緒に暮らすことになった記憶喪失の少女「瞳」。1ヵ月ちょっとの同棲生活の間に彼女の素性を調べ、その正体を明らかにしていく。
物語は特定の日が訪れると自動的に進捗していくので、難しいことは何もない。
「瞳」と一緒に遊んだり、外へ出かけたり、絵のモデルになって貰ったりと、穏やかな日常を1日1日過ごしていくだけでいい。
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本作を特徴づけているのは、その色使いの妙だ。
見ての通り、基本ビジュアルをモノクロにして彩色を絞ることで、それらの色をより強烈に印象付ける手法が取られている。
また、「瞳」の瞳にも注目して欲しい。彼女の瞳の色は一定ではなく、ある条件で変化していく。それは、彼女自身の「体験」に依存している。
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例えば、一緒にカフェでショートケーキを食べたのなら、その瞳はイチゴのように真紅に染まる。公園へ繰り出せば、成層圏まで突き抜ける空のように青く。
夜の街を歩けば、深く包み込むような闇のように暗く。彼女の瞳は、自身の体験を色鮮やかに、刹那的に映し出していく。
そうやって「瞳」と過ごした思い出の色は、カラーパレットとして記憶され、家具に色を付けたり、絵を描いたり、「瞳」に着せられる服の作成に利用できるようになる。髪型の変更も可能で、まさに彼女を自分色に染められるのだ。
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▲作成できる服は全30種×18パターンのカラーバリエーションで500着以上

本作はマルチエンディングとなっており、「瞳」への接し方で、結末は4つに分岐する。ホラーやグロテスク要素は皆無で、基本的に最初から最後まで穏やかに進行していく。
滑らかにアニメーションするドットで描かれたキュートな女の子を、膨大な種類の服と髪型でコーディネートしていくプレイフィールは、多幸感に満ちている。
確かに、一部エモーショナルな部分はあるかもしれないが、やはりこのゲームを定義するのなら、「ほのぼの日常生活アドベンチャー」である。
しかし、本作にはその枠組み以上のものを感じ取れる余地がある。すべての結末を見届けたあとも、「瞳」とは一体何者だったのか、釈然としない気持ちでいる。だから私は、未だに彼女との同棲生活を続けている。
あなたにとって、彼女はどう映るだろうか。その瞳に、何を見るだろうか。
ぜひ本作を体験して、味わってみて欲しい。

プレイ時間:1周20分程度
おすすめポイント:「瞳」にハグしてもらえたり膝枕してもらえる
対応:Win / Mac / ブラウザ(スマホ可)
DLとプレイはこちら:https://novelgame.jp/games/show/965

『Orchids to Dusk』

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未知の惑星に不時着した宇宙飛行士が、確実に迫ってくる死と向き合う探索シミュレーター。

宇宙船が壊れ、見知らぬ星に一人取り残されてしまった宇宙飛行士。
地の果てまで荒野が広がり、植物のようなものがまばらに生えて見えるほかは、乾いた風だけがただ吹いているだけ。残された酸素の量からして、生きられるのはせいぜい数分間。
動き回ればそのぶん酸素の消費量は増えていき、死は足早にやってくるだろう。
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最期の時が訪れるまで、何をするかは自由だ。周囲を探索してみてもいいし、できる限り遠くを目指して歩いて行ってもいい。疲れたのなら、その場に座ってぼんやりと景色を眺めるのもいい。
この状況を打破することは決してできないが、だからこそ、目に映るすべてが美しく感じられる。
透明な夕焼けに包まれて、心が溶かされていく。
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死は誰にでも等しく訪れる。逃れようがない。
その事実に正面から向き合ったとき、人は初めて心の底から、素直な気持ちで自分の生き方を決められるのではないか。どこに向かい、何を残すのか、それらはやがて「どうやって死ぬのか」ということに帰結する。
このミニマルな死生観を描いた美しい短編ゲームは、人によってはどこまでも深く心に突き刺さるポテンシャルを秘めている。あなたが素敵な体験に巡り合えることを祈っている。

プレイ時間:最大でも10分程度(最初のロードが長いのは仕様なので我慢しよう)
おすすめポイント:制限がもたらす想像性と美しさ
対応:Win / Mac / Linux
DLはこちら:https://polclarissou.itch.io/orchids-to-dusk

『ヨルダケ』

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夜の底に沈んだ世界で、大切なものを探す少年の話。夜だけしか遊べないRPG。

毎晩、虚ろな目でどこかへ出掛けてしまう双子の兄を追って、化け物たちが住む地下の世界へ足を踏み入れた少年。兄の影を追って、静寂に満ちた図書館や、雑然とした繁華街を一人さまよう。
異形の住人たちの中には友好的な者もいるが、人間を見かけて襲い掛かってくる者も多い。探索中に戦闘は避けられないだろう。
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『ヨルダケ』の世界では、テキストを始め、メニュー画面や戦闘中のコマンドといったシステム面に至るまで、ほぼ全てが謎の言語で表記される。
これらの言語はゲームプレイを通して、アイテムの入手や学習イベントなどで翻訳されるといったことは一切ない。自力で解いていくしかないのだ。ゲームを始める前に、まずは自作の五十音表とペンを用意しよう。

ただし、翻訳に関しては冒頭からかなりヒントが与えられるので、それらを突破口にすればすぐに空欄が埋まっていく。メニュー画面やNPCとの会話の雰囲気から、ワードを推測して解読していくのもいいだろう。
言語を解読して、NPCが何を言っているのか分かると、例えそれが挨拶や世間話などのささやかな内容のものであったとしても、得も言われぬ快感がある。戦闘中の警告メッセージに笑ったり、壁の落書きにハッとさせられたり、少しずつこの異世界へ馴染んでいく実感がある。
また、重要な謎解きなどは絵や通常の言語で表記されるので、実は言語を解読しなくてもクリアできてしまう。夢の中のような体験なのだから、ふわふわと、なんとなく雰囲気だけで進めていくのもいいかもしれない。
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他にも本作には、「現実時間の21時から3時までしか遊べない」というルールがある。
それ以外の時間に起動すると、特殊なカットが挿入されて、それ以上ゲームを進めることができないようになっている。「夜だけしか遊べないRPG」というキャッチコピーの所以はここにある。
また、戦闘中に力尽きてしまうと、まるで夢から覚めたかのように、突然ゲームをシャットダウンされてしまう。もう一度遊ぶには再起動するしかない。
こういった、ゲームプレイの快適性を犠牲にして世界観を表現するメタ的な演出は、人によって好みが分かれるだろう。しかし私は、これこそがフリーゲームの強みだと思っている。
本作は、クリアするだけなら1時間くらいといったところだが、言語の解読や別エンディングへの到達を視野にいれると倍以上はかかるので、今回のコンセプトとはやや外れた選出になるかもしれない。しかし、手探りで未知の言語を解読していくそのプロセスは、短時間で濃密な体験となり得る。
まずはペンとノートを用意して、本作をダウンロードしたら、夜が来るのを静かに待とう。

プレイ時間:1時間~
おすすめポイント:手探りでヨルダケ語を解読していく楽しさ
対応:Win
DLはこちら:https://www.freem.ne.jp/win/game/18573

『A Raven Monologue』

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鳴き方を知らないワタリガラスと町の人々との交流を描いた、インタラクティブ・ストーリー。

インドネシアのインディーゲームスタジオ Mojikenが手掛けた、ページを捲って進行させていくデジタル絵本とも言うべきイラストレーション作品。それが『A Raven Monologue』だ。
寂しげなワタリガラスが、町の人々と交流していくなかで、その心に変化を生じさせていく。
手書きのイラストによるアートワークと、全編に渡って流れる静謐で穏やかな歌、言語に依存しないストーリーテリング、それらが織りなす世界は、あまりにも美しい。
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家を訪ねてきた少女から一輪の花を受け取ったことを期に、外へ歩き出したワタリガラス。途中で出会った町の人々と話を交わすたびに、モノクロだった彼の世界に少しずつ色が帯びていく。
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ただページを捲っていくだけの行為が、これほどエモーショナルに作用するのかというほど、その数分間は心を打ち震わされる。
また、一度最後まで進めたあとも、「逆に読んでいく」ことでストーリーが一転するという仕掛けも、デジタルならではだろう。
本作は、プレイヤーの様々な解釈をただ受け入れるだけの寡黙な作品であるがゆえ、物語の内容に関しては齟齬が生じるだろう。しかし、この作品の根底に流れる美しさは、誰しもが共通して受け取れるように思える。ただ美意識の赴くまま、しんみりとしたいと思っただけでも、プレイしてみる価値はあるだろう。

プレイ時間:3分
おすすめポイント:絵と音にかけられた魔法
対応:Win / Mac
DLはこちら:https://store.steampowered.com/app/744810/A_Raven_Monologue/

ちなみに、同じスタジオによる『Banyu Lintar Angin - Little Storm -』という本作と同形式で制作された作品がある。こちらは、インドネシアで暮らす3人の兄弟姉妹の日常を描いたもので、なぜ子供たちだけで暮らしているのかということが、最期まで進めるとすっきり分かるようになっている。とても爽やかな読後感を味わえるので、こちらもぜひおすすめしたい。

『Eye Must Jump』

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キュートでカラフルでハイテンポな、即死系プラットフォーマー(左右移動やジャンプでゴールを目指すアクションの総称)。

『Eye Must Jump』は、モノアイのキューブを操作して、全48フロアからなるタワーを登っていく縦画面のプラットフォーマー。操作に使うのは左右タップだけ。
敵や障害物に触れると即死なので、それらに触れないようにタップで挙動を制御しながらゴールを目指す。
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1ステージは数秒から数十秒でクリアできる短さで、リスタートのレスポンスも早く、普通なら「これはちょっとシビアすぎでは…」となるステージでも、何回か挑戦しているうちに意外と何とかなってしまう絶妙なバランスだ。
ステージが進むごとにカラーパレットとBGMが変化して、それと共に新しいギミックや敵が登場する。高層ビルをエレベーターで登っていくかのような心地よいテンポに、一度始めたら最後までやり通してしまうこと請け合いだ。
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フラットなアートワークに軽快なサウンド、ピクセルとインクが混ざり合って弾けるような演出など、デザイン面から見てもハイセンス。そのうえで、動かしていてとても気持ちが良い。
この手のゲームが得意な人なら30分もあればクリアできると思うので、気軽にトライしてみて欲しい。

プレイ時間:30分~1時間
おすすめポイント:やめられないとまらない気持ち良さ
対応:Win / Mac / Linux / Android
DLはこちら:PC / Android

『HIDDEN…』

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あなたは目覚めた。閉じ込められた少女たちを導いて救いだす脱出ゲーム。

何の目的で建設されたかも分からない謎の施設。
内部にはいくつかの部屋があり、少女たちは別々の部屋に閉じ込められている。
ある制約ゆえに直接少女たちを助けることができないプレイヤーは、部屋内の隠された仕掛けを起動して、少女たちを出口へと誘導しなければならない。
仕掛けは起動すればその部屋の扉が開くといった単純なものではなく、例えばボタンを押すと他の部屋の仕掛けが起動するといったふうに、その多くが連動している。
つまり、全ての部屋をくまなく回って、何がフラグとなっているのかを見極め、そのうえで脱出経路を確保していかなければならない。
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しかし、それには一つ問題がある。本作では画面左上に現実時間が表示されるのだが、プレイヤーが少女と出会った時より5分が経過すると、「スイーパー」と呼ばれる存在が施設にやって来る。
「スイーパー」は、時間と共に一人ずつ「処分」していってしまうのだ。
最初は袋に入った何か、次に少年、そして最後に少女が「処分」されてしまえば、もう終わり。ゲームオーバーだ。
もちろん、制約のあるプレイヤーには何もできない。そうなってしまったら、ただ見ていることしかできない。
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施設にいる「全員」、もしくは少女だけでも助け出せば(その場合は相応の結末となるが)クリアとなる。スムースにいけば、初見は難しいとしても数回の挑戦で脱出できるだろう。
しかし、本作の難度は比較的高く、加えて制限時間もあるので、なかなか思うように進まない場合も大いにある。そんな時は、解説やReadMeからヒントを見ることをおすすめする。

本作は極めて短編ながら、そのなかで閉塞感や緊張感を効果的に引き出し、また鬱屈すぎないように適度にユーモアを交えるなどして、実によくまとまっている。
また、少女に関しては、ゲーム内の僅かな描写でキャラクター性を表現し切れているのが素晴らしい。こちらを覗き込むような仕草を見せたり、別の部屋でイベントが起こっている時にちゃんと反応したり、パズルを解くタイミングによって台詞が変化したりと、その作りも細かい。
そして、個人的に感動したのは、このゲーム内におけるプレイヤーの立ち位置に関して。最初の印象からそれが一転した時には、思わず唸ってしまった。
是非とも、自分の目で確かめてみて欲しい。

プレイ時間:10分~
おすすめポイント:少女が可愛く、助けてあげたくなる
対応:Win / ブラウザ(スマホ可)
DLとプレイはこちら:PC / ブラウザ

いかがだったろうか。
どれも選り抜きの短編フリーゲームを紹介してきたつもりだ。
私は、ゲームの多様性に対して貪欲な人間なので、一つのタイトルに執着するよりは、その時間でさらに多くの作品を遊びたいと思ってしまう。
なにより、ゲームの価値はプレイ時間の長さに依存しないと考えているから、ここ数年は短編ゲームを特に好んでプレイしてきた。
もちろん、今回紹介した作品はほんの一部で、この世にはもっともっと沢山の最高に素晴らしい短編ゲームが存在している。
あなたも、自分だけの宝物を発掘してみてはいかがだろうか。

※本記事は、ゲームキャストマガジンの一部転載となります。マガジン版の記事には、本記事に採用されなかったボツゲーム3点の紹介がおまけに付属します。

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