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スマホRPG『アナザーエデン』でプログラムによるガチャ不正操作発覚。お詫びの大盤振る舞いでプレイヤーには対処するも、組織として根本的な対処について言及はなし

※本記事はバグのためかブログから消えていたため、再度投稿しています。
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グリー傘下の Wright Flyer Studios(現WFS) のスマホRPG『アナザーエデン 時空を超える猫』にて、9月19日にゲーム内のガチャにおいて、一定条件化でガチャの排出キャラクターを変更するプログラムが組み込まれていたことが発表された。
これに伴いガチャ(ゲーム進行に伴う一部を除く)機能と課金アイテム“クロノスの石”は購入昨日は停止され、現在ガチャの仕組み自体を作り直すことが発表されている。

まず、事件を時系列に沿って振り返っていく。

2018年9月13日
新たな“運命の出会い”(1枠のみ★5確定の10連ガチャ)イベント開始。

2018年19:25〜19:38頃
“運命の出会い”から★5、もしくは★5に進化するキャラクターのみが排出される時間帯があり、確率的に考えてあり得ないほど良いガチャ結果のスクリーンショットがネット上にあふれた。
プレイヤーたちの間で、バグではないかと指摘され始める。

2018年9月14日:不具合を認めるが納得いく説明なし
公式で不具合を認め、「サーバー負荷の影響で★3、★4が上限のキャラクターが抽選対象データから欠損したため★5が上限のキャラクターのみ登場する」ことがあったと発表。

この発表は一見まともに見えるが、起きている事象のすべてを説明できていなかった。
具体的には、これまでの“運命の出会い”において★5確定であるはずのガチャ結果の位置に★5キャラがおらず、かつ★5キャラの排出が最大3枚までになってしまっていた。
つまり、ガチャの排出が確率通りではないという指摘である。

2018年9月16日:追加調査実施を発表
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『アナザーエデン』運営が追加調査を発表。

2018年9月18日:アプリ停止、緊急メンテと報告延期のお知らせ
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2018年9月19日:報告
アプリリリースから現在までのガチャについて調査し、ガチャに特定条件で再抽選を行うプログラムが入っていたことを報告。
ガチャのプログラムを根本的に修正することを発表し、それまではガチャを回すためのアイテム“クロノスの石”購入、ガチャ運用を停止(システム的に引く初期のガチャなど除く)。
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以下、報告より引用。

1.発生期間:2017年5月12日〜現在
夢見の10連において、同じ仲間(同一ID)が4体以上含まれる場合に再抽選される

2. 発生期間:2017年6月29日〜現在
夢見の10連において、★5クラスの仲間が4体以上含まれる場合に再抽選される


1.
「★3クラスの仲間が極端に重複して排出される」とのお問い合わせにより、確率としては発生する可能性はあるものの、お客様の不利益に繋がると危惧し、暫定措置として「同じ仲間(同一ID)が4体以上含まれる場合に再抽選が行われる」プログラムを実装した

2.
「★5クラスの仲間が大量に排出される」とのお問い合わせにより、調査をおこなった結果、原因特定に至らなかったが、ゲーム内の公平性を維持することを目的に、暫定措置として「★5クラスの仲間が4体以上含まれる場合に再抽選が行われる」プログラムを実装した
まず、素直に発表したことは褒めたい。とはいえ、問題は別だ。
1、2ともに善意から行った修正であるように書いているが、1はともかく、2は確実にプレイヤーに不利になる隠し要素であり、ガチャの確率不当表示にあたる。
『アナザーエデン』に関してはゲーム内容が良くてプレイヤーの評判も良かったから、大盤振る舞いのお詫びで許すプレイヤーも多いだろう。
プレイヤーが納得すれば、これはこれでよい。後はもう、納得しないプレイヤーに対して1年に及ぶ不当表示期間のガチャ料金の補填するかどうか、というところだろう。
(近年ではKOF98が消費者庁に不当表示で措置命令を受けた事件と並ぶ大事件なので、それを行う理由はあり得る)

しかし、残りの半分の責任が残っている。ゲーム業界の一員としての対処だ。
悪意の有無にかかわらず、プログラムでガチャに手を加えて不当表示を行ってしまったことに対しては対応を示さなければいけない。
また、『アナザーエデン』についてはそもそもとしてグリー(アナデン開発会社の親会社)の社長が理事を務める CESA のガチャに関するガイドラインを守れていない。
6. 検証に関する事項
(1) 有料ガチャの運営を担当する部門から独立した部門によって、ガチャの仕様の検証を行う
(2) 不適切な事実や不具合が発見された場合、速やかにその事実を表示し、改善策と防止策を実施する。
今回の件は、(2)の規約を考えれば、防止策を実施しなければならない。
(1)の規約の通り、仕様検証を行う部門があれば、それが機能していなかったのは明らかである(まともな部門であれば、ガチャの確率補正の仕様を作ったら止める)。
再発防止の体制について、一切言及しておらず、今後言及することに関する記述がない。

また、ガチャに不具合があることを知っておきながら、すぐに運用を止めずにガチャサービスを続けた可能性についても指摘しておきたい。
『アナザーエデン』のガチャについては2017年6月に★5が出すぎるバグがプレイヤーの間で話題になり、当時のプロデューサーがTwitterにて「調べたところそういう記録は見つかりませんでした」と言っている。
しかし、現実にはその3日後の6月29日に「★5が4体以上でない修正」がガチャに加えられており、この発言と矛盾しているように見える。
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さらに、もう1つ。
グリーのグループでは、過去にも似たようなことを行っている。
スクウェア・エニックスとグリー傘下のポケラボが運営する『シノアリス』がサービス開始時、「ガチャから排出されたアイテムが消える」致命的な不具合を知りつつもゲームを運営し続けていた。
こちらは、根本的にガチャ結果が消えるプログラムは修正されなかったため、「修正された」とアナウンスされた後も同じ不具合が発生しており今回の『アナザーエデン』と同じ失敗を繰り返している。
今回の問題は、グリーのグループの体質的な問題であると考えられる。

まとめよう。今回の問題は3点。
・『アナザーエデン』は、長い間ガチャ確率が表示の通りではなく、プレイヤーに不利な形でガチャに手が入れられていた。
・ガチャの不具合発覚後も問題を修正せず運営していた。
・同じ系列会社の『シノアリス』も不具合を隠して運営しており問題になっていたが、課金サービスを続けて運営しながら直す暴挙に出ていた。

普通に言えば、ガチャで★5が4体以上でる確率は極めて低い。だから、被害額から言えば悪質とは言えない。しかし「ガチャ確率に手を加えることが普通に行われ、疑問を持たない」企業があること自体が問題で、これに対して予防策を表明しないことはゲーム業界全体への犯罪的な裏切りと言える。
少なくとも、これに対してもっと厳しく望まなければただでさえ信用度の低いガチャという仕組みが、より信頼を失ってしまう。

これに対して『アナザーエデン』は破格の補償を行うことを発表したので、多くのプレイヤーは納得するだろう。
しかし、不当表示でのガチャというシステムに与えた問題、親会社のグリー社長の田中良和さんが理事を務める業界団体 CESA の規約も守れていないだろうことは別の問題であり、より詳しい調査と対処が求められる。
こういったことに対する対処が発表されない事には、グリー系列が関わるタイトルはすべてに疑惑を持って対処しなければいけなくなる。


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