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あと1回…が止まらない。魔王さま理想のダンジョンを作るSLG『ダンジョンメーカー』レビュー。美少女ドット絵モンスターに釣られて遊んだ先は沼だった

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時間というのは、溶けるもの。
魔王となってダンジョンにモンスターと罠を配置し、勇者を迎撃するライト戦術ゲーム『ダンジョンメーカー』はまさに“時間を溶かすゲーム”だ。
美少女モンスターのドット絵が可愛くて手を出してみると……そこにあるのはランダム報酬をやりくりして理想のダンジョンを作る“運コントロール”が楽しい絶妙な戦術ゲーム。ある程度思い通りになるのに、完全に上手くはいかない。
「あと一回やれば上手くいくかも」と、『不思議のダンジョン』や『パワプロ』の育成モードに近いノリで時間が溶けていく、楽しさの沼だ。

このゲームの見た目の売りは明快で、“ドット絵で描かれたモンスター少女と、少女勇者が戦うゴチャキャラバトルを楽しむ”というもの。
最初にプレイヤーが操作する魔王を選択するときからして、このドット絵。ちょっとフェチが入っていて、懐かしくも可愛いドット絵がたまらない。
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▲初期は血を吸ってHPを回復するヴァンパイア、ムチで部下に気合いを入れるサキュバスだけだが、プレイしていけば魔王は増える。

魔王を選ぶと、目の前にカードで作られた道が表示される。
これらのカードは魔王のHPを回復したりダンジョンやモンスターを強化できる“ダンジョン”、ランダムなイベントが発生する“イベント”など様々なイベントを示しており、プレイヤーは最寄りのカードを1枚だけめくって進んでいくこととなる。
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このカードの中で最も多いのが勇者とのバトルイベントで、カードは弱い敵と戦う“一般戦闘”、強力だが報酬が良い敵と戦う“精鋭戦闘”の2つ。
勇者に魔王が倒されればゲーム終了だが、魔王もダンジョンも勇者を倒さないと成長しない。避けて通れないメインイベントである。

その戦闘の説明に入る前に、ダンジョンとモンスターについて説明しておこう。
ダンジョンはボードで表示され、一番左には魔王の部屋があり、ここを守るように右側にはマス目に区切られた部屋がある。
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各マスには、モンスターが配置できる“戦闘部屋”と、戦闘に限らない様々な補助効果を持つ“機能”、勇者たちに被害を与える“罠”、3種類の施設カードを配置できる。
各マスには1つの施設しか配置できないため、ここでダンジョンづくりの悩みが発生する。
入り口に近い場所なら勇者がたくさん通るので“罠”施設を配置したいし、魔王の目の前には強力な警護モンスターを集めて“戦闘部屋”を配置したい。一方、あまり出入りがない場所には“機能”施設を置くようなダンジョン構成が求められる。
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魔王に付き従うモンスターとダンジョンの相性も重要だ。モンスターにはレア度が存在し、基本的にはレア度が高くてレベルが高いものほど強い。
しかし、どのモンスターもランダムで最大5つまでのスキルを持つことがあり、レア度の低いゴブリンですら“ダイヤの肌”などのレアスキルを覚えていると凶悪な力を発揮する。
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また、戦闘部屋には最大3体までのモンスターを同時におけるので、これらのスキルを考慮してチームを組ませるのがまず重要。
次に“やけど”を負っている敵に大ダメージを与える“炎の剣”スキルの持ち主を1か所に集めて、直前の部屋にやけどを負わせる“焼却”の罠を配置するようなダンジョンとモンスターの相性も重要になってくる。
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▲モンスターは倒されても次の戦闘時には全快で復活するので、戦術だけを考えて配置だ!

こんな感じでダンジョンを作り、モンスターを配置し、戦闘に挑むわけだ。
実際に戦闘が始まると勇者たちは一番右側からやや不規則な移動を繰り返して魔王の部屋にやってくる。そして、施設の効力はモンスターも魔王も自動で戦うタワーディフェンス方式。
プレイヤーは時間の経過で貯まるマナを消費して、強力な魔王の“権能”を任意に使用するだけだ。
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▲権能:焼き払い。やけどを与えるので、火のモンスターと相性抜群。

そして、晴れて勇者を撃退できればご褒美タイムが待っている。
ゴールドと3種類のランダム報酬から1つを選んで手に入れ、ダンジョンやモンスターを強化できる。
ランダム報酬はモンスターに装備させるアイテム、新しい施設(既存の施設と入れ替えたり、合成して既存施設のレベルを上げることもできる)、ランダムにモンスターが手に入る卵、いらないモンスターを魔王の力に変えたり、強力なモンスターに変化させる“合成”など、パワーアップに重要な物ばかり。
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ランダム報酬なのでまれに超強力な施設やモンスターが最初から仲間になる幸運があるかと思えば、弱いものしか出ないときに工夫で補っていくような戦術も必要で、取捨選択によってゲーム展開を制御する“運のコントロール”の楽しさがある。
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マップを1歩進むと後に1日が経過し、最終的に魔王が倒れた時点の日数に応じて魔王が成長し、新しい要素がガチャで解禁されていく。
解禁要素もまたランダムに提示される3つの要素から選ぶ形式になっており、新しい魔王だったり、周回引き継ぎ要素だったりを好みに選んでいける。
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で、成長してまた新たにプレイを始めるわけだが、全体として偶然の要素と、それを制御する要素、そしてプレイヤーが思い描いた戦術が完成したときの楽しさが上手くかみ合っていて、いつまでもやめられない中毒性を誇っている。
「強くなったら、あの戦術を試そう」
「倒れてもモンスターを1体引き継げるようになったから、合体で究極のモンスターを1体作ろう」
「偶然に序盤で良いものが手に入ったから、あと1回だけ……」
などと、いつまでたってもゲームがやめられない。
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▲“継承モンスター”はスキルも引き継ぐため、究極のスキルを持ったモンスター作りがやめられない

超強力モンスターを手に入れても強さが限定的(戦闘部屋を無視されれば意味はないのだ)で油断していればすぐ魔王部屋に攻め込まれてしまったりもするし、地味にレベルを上げて粘り勝ちするのが強いことを発見できたり、図鑑を埋めてドット絵を見るのが楽しかったり……やれること多いし、成長とランダムのバランスが良すぎて止まらん!
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▲ドット絵がいいので図鑑を埋めるのも楽しい。

たかが300円程度で、ここまで楽しめていいのか。
モンスター育成が重要かと思いきや、後半に行くほどにダンジョン構成や組み合わせ、トラップ育成が重要になり、焦点が変化していくのもまた面白い。
魔王などの追加要素(通常プレイでも手に入るがかなり遅い。ただ、課金しなくても10時間以上は普通に楽しめる)を素早く開放する課金があったので、私は作者応援の意味を込めて課金するほど楽しんだ。
作業系のRPGが好きならハマる要素ばかりなので、ぜひ遊んでみて欲しい。

評価:9(すごく面白い)

おすすめポイント

運をコントロールして戦術を実現するライトなローグライク要素
ドット絵が可愛い
うまい組み合わせを見つけると目に見えて強くなる
モンスター集めの序盤、ダンジョン育成の後半とやることの焦点が変化

気になるポイント
周回要素のガチャが少し辛い(もう少し多くていいような)

アプリリンク:
ダンジョンメーカー (itunes 360円 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)

開発:GameCoaster(韓国)
レビュー時バージョン:1.2.0
課金:魔王解禁など(360円~)プレイを繰り返せばどれも手に入るが、1つ選ぶならオリジナルモンスター継承パックがおすすめ。

公式ページ:http://gamecoaster.com/
ライター:ゲームキャスト トシ