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システム音、ゲームの説明音までゲームBGMにする手法とは? アートゲーム『Gen.』の一貫性を保つインタラクティブミュージックの手法

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プレイヤーの操作に応じてキャラクターが動くと気持ちいい。
それはわかりやすい事実だが、音楽の世界でも“インタラクティブミュージック”という名前でそれが行われているのはご存じだろうか。
これはゲームの展開やプレイヤーの操作に応じて音に変化をつけ、ゲームの表現力を上げてゲームをより豊かにする試みだ。
最近ではゼルダの伝説ブレスオブザワイルドのサントラを買う人が知らないゼルダBGMの裏側などが話題になったが、モバイルでもそれは行われている。
今回は、上記のゼルダ記事を執筆した方が主宰する“インタラクティブミュージック研究会”にて、モバイルゲーム『Gen.』の取り組みがきけたので紹介したい。

無数の粒子を操り、気持ちよく敵を倒すゲームを遊んでいると、そのプレイが機械的に処理されて1枚のアート作品ができる“ジェネラティブ・アート・ゲーム”(アートを生成するゲーム)が『Gen.』だ。
映像アート化するゲームとしてAppleのおすすめ欄にも取り上げられた作品だが、単に映像を作るだけでなく、そのアートを完璧なものにするべく音楽もプレイに応じて再生される仕組みが構築されていたのだ。
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▲プレイ後に、アートが生成される。しかし、プレイ中も音楽が生成されている。

ゲームキャスト:
今日はお時間ありがとうございます。“Yack Lab.”と神山さんについて教えてください。

神山:
Yack Lab.は、東京工科大学時代の仲間で集まったインディーゲーム製作集団です。
私自身は、スマートフォンゲームの音楽を作ったり、ライターとして様々なメディアで技術系記事を執筆しています。
『Gen.』では楽曲と効果音、システム設計周りを担当しました。
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ゲームキャスト:
『Gen.』製作までの経緯を教えていただけますか?
ジェネラティブアートを作ろうというコンセプトも面白かったですし、プレイ中の気持ち良い音も印象的で、どうやってそこに至ったのか気になります。

神山:
Yack Lab.で大学在籍時に制作したアプリ『ハノイの本』がAppleのおすすめに入り、知育アプリとして人気が出たので「これで終わるのはもったいない」と、同じメンバーで2作目を作ろうという話になって。
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▲ハノイの本

ゲーム内容については、最初からジェネラティブアートを作ろうとは思っていませんでした。
何となくパーティクル(粒子)を動かそうというのがあって、要素をみんなで出していったときに『ジェネラティブアート』という分厚い本がでてきて、それを「あれがカッコいいよね」ってなって(笑)
で、当時出ていた要素を見ていくと「このパーティクルゲームは、ジェネラティブアートにしやすいよね」と。

ゲームキャスト:
当時話題の本に影響されて、「かっこいい!」で決まる当たりに大学生のフットワークの軽さを感じますね。

神山:
ただ、制作中にメンバーが全員卒業し、仕事についたため制作に時間がかかってしまいましたが(苦笑)

ゲームキャスト:
さて、インタラクティブミュージックの講演ということで、『Gen.』には変化する音楽が盛り込まれているわけですが……実際、私自身もプレイしていてプレイヤーの操作した音がすべて音楽になっている感覚を感じていました。
どうして、そのようなつくりになったのでしょうか?

神山:
そうですね。
ゲームの制作にあたって、ゲームのBGMや盛り上げる基本的な音を作るというのは当たり前なのですが、『Gen.』に関してはプレイヤーが画面の中に出てくるアート……パーティクルに集中してもらうために、ゲーム的なUI表示は出さないことが決まっていたんです。

ゲームキャスト:
つまり、ゲームとしての基本的な音の仕事に加え、本来文字で表示されるべき演出を音で表現する仕事の2つがあったと。

神山:

ゲーム的なUI……文字とか数字とか、このゲームってやろうと思えば判定で“Great”や“Good”、コンボ表示も出せるんですよ。
でも、このゲームはアート要素が強く、ゲーム画面に説明の文字や数字が出ると美しくありません。

一番大きい問題は、パーティクルを集めて敵を攻撃する過程がわかりづらいことでした。
このゲームでは、画面に指をつけるとその位置にパーティクルが集まって、集まってから敵にダメージを与えられます。でも、パーティクルが集まるまで時間がかかって、指をつけてから攻撃を始めるまで時間にずれがあるんですね。
押したのにあたっているのかわからない。
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▲Gen.は指先にドットを集めるゲーム。そのため、画面は常に隠れている。

それに関してはUIが出ないので音で表現しました。
結果的に「ちりりりり、ティンティティティティン」という感じで、指を置いて敵に当たっている状態の「ちりりりり」という音と、ダメージを与えている「ティンティティティ」というスタッターエフェクトをかけた音で表現しました。

ゲームキャスト:
それを、すべて音楽として聞こえるように作るのが、今回のインタラクティブミュージックの講演ですよね。

神山:
そうです。
バリアを張っている敵に攻撃が当たったから「かきーん!」とか、破壊したら「バーン!」というのはゲームっぽ過ぎて合わないので、すべてアートとして、音楽として表現したかった。
なので、先ほどの「ちりりりり、ティンティティティティン」も、敵を破壊した音も、バリアで弾かれた音もすべて音楽に聞こえるようにする作業が、今回のインタラクティブミュージックですね。
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SEは同一ですが、ステージごとに曲は異なります。そのため、すべての楽曲はキーをAmに固定しており、音階を持つ効果音と合わさったときに違和感がないように作っています。
敵を破壊したときの破裂音も、正確には敵を倒した直後に発生するのではなく、クオンタイズで次の音楽の頭拍で再生されるように調整し(※音楽として気持ちいい位置で音が鳴るように作っている)、音楽的に聞こえるようにしています。
BGMの制作中は、常にSEを再生して確認しながら作業していました。

そうは言っても、音楽自体は聴きごたえがないとつまらないので、序盤は静かめな曲調でSEを活かし、敵が多く出現する後半は盛り上がりを出すために明確なメロディを入れています。

ゲームキャスト:
なるほど。適当にプレイしても、自分が音楽を作っているかのように遊べたのはそういう下地があってのことだったんですね。納得できました。

最後に、これを見ている方に『Gen.』のここを見て(聴いて?)欲しい!というところを教えてください。

神山:
ゲーム自体はシンプルなものなので、まずは「ジェネラティブアート」や「インタラクティブミュージック」など難しいことを考えず、頭を空っぽにして遊んで頂けたら嬉しいです。楽曲に関して言えば、全曲Violinは生録音をしていますし、キーやテンポなどの指定がある中でも好き放題作らせて頂いているので、気に入って頂けたら嬉しいですね。

ゲームキャスト:
ありがとうございました。

なお、『Gen.』についての発表は下記のスライドで確認できる。
Interactive Music of "Gen"

アプリリンク:
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