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コラム:無料ゲームで広告削除機能を売ると赤字になる。「金を払って広告を削除する要素は贅沢な機能なんです」という現実

ゲームキャストでは、「楽しいので、ゲームプレイを邪魔されないようにお金を払ってでも広告を削除したい」と感想を書くことがある。
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▲こいつを消したい。

世界観はいいのに広告がバシバシ挟まれると興ざめになるし、何度も繰り返し遊びたいのにプレイのたびに広告を見せられるとやる気がなくなる。
好きなゲームほど、広告を消した方が楽しいのは間違いない。
だから、「お金を払ってでも広告を削除したい」と主張するわけだが……ある日、ゲーム開発者から「そんな贅沢な要望は満たせないのです」と言われてしまったのでメモしておきたい。

多くの無料ゲームでは広告を利用して売上を出す。
だからゲームを無料で提供できるし、無料だからプレイヤーも文句を言わずに(もしくは、文句を言いながらも)広告があることに納得して遊ぶ。
しかし、「広告を出すな」ではなく、「金を払って広告が出ないようにしてほしい」という要望はありなはずだ。

ゲームの内容によるが、カジュアルゲームの収益は1ダウンロードあたり5円~100円程度と言われる(近年はカジュアルゲームも課金が進化しているのでもっと出すものもあるが)。
1人当たりの収益は低い中で、「480円で広告削除」などの機能が入っていて、一部のプレイヤーが広告を削除してくれたら丸儲けではないのか、とも思える。

ところが現実は違った。
複数のカジュアルゲームの開発者が明かしてくれた話を総合すると純粋な広告削除を商品にすると全く売れず、広告削除機能を入れると赤字になるという。
2人の開発者が明かしてくれた数値では、
・Aさんはアプリ10万ダウンロードに対して50件程度の広告削除の購入
・Bさんはアプリ3万ダウンロードに対して100件未満の広告削除購入
があったとのこと。数字はぼかされているが、いずれも5万円未満の収益であり、少ない。

それに対して、Aさんは広告削除機能の実装に関してはiOSとAndroidを別々に検証して「普通に仕事していれば20万円ぐらい稼げる程度の手間」がかかったという。
また、リリース後に所持していないAndroid機種の固有バグで「広告が削除されません」という問い合わせが来て対応に時間がかかったとも教えてくれた。つまり、それなりにヒットしたアプリでも広告削除機能は作るだけ赤字で、かつ未知のサポートコストを生む存在だったのだ。
それでも広告削除を実装している理由は、「自分だったら、広告のない状態で遊びたいと思うから」という気持ちの問題とのこと。

ということで、広告削除機能は多くの場合「赤字になる機能であり、実装されていたらちょっと贅沢」なものというだった。
もし、気に入ったゲームに広告削除機能があったら、それは漢気機能なのでぜひ利用してあげて欲しい。

追記:
2015年に似たようなことを書いていた……年取って忘れっぽくなっているのか……まあ、これは国内版の事情ということで。
スマホゲーマーは「広告削除」オプションを買わない!? 開発者が実態を明かす。