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遊びごたえ抜群のシューティング+タワーディフェンス『BlackKnight』レビュー。やりたいこと盛り盛りの同人ゲーム

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「スマホゲームで“達成感”や“やりごたえ”を感じて欲しい」
『BlackKnight』は、そんな目標を掲げて同人ゲームサークル“Re:Arium”(リアリウム)からリリースされたゲームだ。
実際にプレイしても、砲台を配置しながら自らも射撃で戦う「タワーディフェンス+ディフェンスシューティング」を組み合わせたバトルはやりごたえ抜群で、“お手軽気持ちいい”というスマホゲーの流行キャッチコピーから大きく外れている。
さらに意味深なSFストーリーまでついてきて、「同人(同好の士が集まってやりたいことをする)だから、やりたいことを全部詰め込みました」というメッセージを感じる実直な作品だ。

本作の舞台は地球を周回する人工衛星ブラックナイト。
記憶を失った状態で目を覚ましたプレイヤーは、しゃべる白衣“ブラウン”に、ブラックナイトで地球外生命体フラクタルと戦わなければ人類が滅亡することを告げられる。
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ストーリーは結構楽しめるもので、舞台設定や地球の様子など、気になる点はプレイヤーをうまく焦らすように隠されている。
フラクタルと戦う理由や、地球におきた事件の概要が戦ってステージを攻略するたびに明かされていくので、必然的にプレイヤーの意識は戦いに向く。

で、その戦いは画面内に次々と出現する敵を撃ち落とすシューティングと、砲台を配置して敵を倒すタワーディフェンスを合体させたゲームとして描かれる。
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ブラックナイトはその名の通りチェスのナイトの駒の形をしており、地球の周囲180度を左右に移動しつつ、オートでショットを撃って地球を防衛する。
敵を倒しそこね、一定数の敵が地球に到達するとゲーム終了となる。
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ブラックナイトの基本のショットは直線的でシンプルだが、一部のフラクタルは属性エネルギーをドロップし、バトル中に2つのエネルギーを組み合わせて“特殊ウェポン”を利用できるようになる。
なんと、その組み合わせは15通り。5種類の属性に対するフラクタルの相性も存在するが、安直に属性が異なるウェポンを作ったのではなく、爆発や貫通、散弾など、どのショットにも特徴がつけられている。
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また、敵を倒したときに入手できるエネルギーで、4種類の砲台を配置することもできる。
砲台は基本的な攻撃ユニット“ポーン”、敵を遅くする“ルーク”、各駒を強化する“ビショップ”、1度しか配置できないが強力な“クィーン”の4種類。
いずれも一定時間で消えるが、それなりに強力な力を持つ。強力な特殊ウェポンがあってもブラックナイトだけでは地球を防衛するには手が足りないので、この配置もまた重要になる。
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本作のプレイ感は、忙しくも楽しいディフェンスゲームの王道を行っている。
敵は適度に手ごわく、手を抜けばすぐに地球を攻撃されてしまう。必死にプレイして、それでようやく何とか切り抜けられる難易度になっている。
また、最初に書いた通り舞台設定が気になるので、遊ぶモチベーションも高くなる。
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▲ざっくりとしたグラフィックだが、雰囲気は出ている。

物語にひかれてゲームを進めると、戦術性も付加されて面白くなっていく。
最初に各砲台に属性能力を付加することができるようになり、「地球の右側は火属性の敵が出るから氷属性を付加したポーンで対処し、左側をブラックナイトで撃ち落とす」とか、「貫通弾が手に入らなかった時のため、貫通属性を付加して運要素をカバーする」などの戦術が楽しめるようになる。
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▲右はポーンで、左はブラックナイトで。一部のステージではタワーで倒せない敵も出現する。

また、攻略方法として1つ敵に対して複数の特殊ウェポンが有効にできており、「敵がたくさんいるが、貫通ウェポンが手に入らないから、次善の爆発ウェポンで巻き込んで倒す」とか、「とにかく今はバリアを張ってよいものが出るまで待つ」など、プレイヤーの機転でその場を制することができるようにもなる。見た目は地味だが、確かにゲームは面白い。
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▲爆発には最後までお世話になった。

一方で、粗さも気になった。
プレイ開始後の直後から11種類もの特殊ウェポンが使えるが、それらの効果を見せつける誘導がなく、効果を覚えきれずに何となく遊んでしまうとゲームは面白くなくなる。
チェスのコマも配置していれば何となく効果を発揮してくれるため、試行錯誤するプレイヤーでなければ有効な使い方を見出しづらい(実際には配置や属性でかなり差が出る)。
演出の地味さもあって上手にプレイできているかわかりづらく、考えずにプレイすると「気づいたら何となく勝っていた」という面白くない状況に陥る。
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▲どう見ても地味なんですよ!

システムを理解すれば効果的な戦いができるし、特に後半になってショットの使い分けが重要になると使い分けが楽しかったが、「ゲームに前向きな人が遊ぶ前提」で作られている印象を受けた。
ただ、『BlackKnight』が同人ゲームと考えると、ゲーム好きな人が訪れる同人イベントで販売するならクリアされるはずで、ある種の同人スピリッツな作りなのかもしれない。
親切さよりも、SFストーリーやらオリジナル音楽やら、盛り盛りなゲーム内容に力を注いだゲーム。「やりたいことを詰め込んだ感」に、同人らしさを感じる。

この『BlackKnight』の「やりたいことはやった」は独りよがりで終わっていない。プレイヤーこそ選ぶものの、「スマホゲームで“達成感”や“やりごたえ”を感じて欲しい」という制作目標は達成されている。
私なんか1回クリアした後にもう1度プレイしたい衝動にかられたし、クリア後の知識を持ってもう1度攻略すると、1度目よりはるかに楽に遊べることが楽しかった。
本作はディフェンスゲームやタワーディフェンスが好きなプレイヤーにはお勧めなゲームだ。積極的に試行錯誤して、ゲームを遊んで楽しんで欲しい。

評価:6(面白い)

おすすめポイント

特殊ウェポンの使い分けは楽しい
意外に後を引くシナリオ、音楽も効果的に使われている

気になるポイント
演出は地味
プレイヤーに前向きさを要求する
タワーの使い方が単調になりがち

アプリリンク:
BlackKnight (itunes 240円 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)

開発:Re:Arium(日本)
レビュー時バージョン:1.2.0
課金:なし
公式ページ:http://black-knight.rearium.com/
ライター:ゲームキャスト トシ

動画: