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物語を読み進める“仕掛け絵本パズル”『Gorogoa』レビュー。読むように進むゲームという新しい体験

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子供の頃、仕掛け絵本にはまった記憶はあるだろうか。
ページに穴が開いていてほかのページと重ねられたり、折り曲げて他のページとつなげられたり、ページとページを越えた仕掛けを用意して、物語を語る絵本のことだ。
『GOROGOA』は仕掛け絵本のような仕組みをゲームならではの自由さで再現したパズルゲームで、幼少期にそういった絵本を愛した人々の心をくすぐる大人のためのパズルだ。

ゲームを始めたとき、目の前には怪獣が街を練り歩くイラストが1枚あるだけだ。
しかし、このイラストの“-”ボタンをタッチしてみると……。
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イラストの視点がスッと引いていき、窓枠が登場して部屋のイラストになる。
先ほどまで見ていた光景は、少年が窓から見ているものだったのだ。そしてまた、イラストをタッチすると本を読んでいるようにストーリーが進む。
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少し進むと、今度はどこをタッチしても変化のないイラストに切り替わった。
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ここで左のイラストをドラッグしてみると、なんどイラストが分裂して庭園の建物と街中の建物の2つのイラストに変化する。
そう、このイラストは2つの絵が重なって作られたものだったのだ。そして、片方のイラストは重ね合わせでイラストを作るために白い空白部分がある。
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空白部分のあるイラストは、他のイラストと重ね合わせることでイラストの持つ意味を変えることができるイラスト。仕掛け絵本の定番、ページの重ね合わせってヤツだ。
ドアの部分にこの建物イラストを少年のいる家に組み合わせると……。
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家にいる少年のイラストが、家から出ようとしている少年のイラストに変化する。
そのまま少年は家を出て、再びイラストを2つに戻しても元のイラストからはいなくなる。これで少年が外に出て、また物語が進むわけだ。
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こんな風に、イラストを重ねたり、シーンを変えてみてみたり、ある時は2枚のイラストをつなぎ合わせたりしてゲームは進んでいく。
漫画のようなコマトリックもあれば、風景を急に切り替えてプレイヤーを驚かせる仕組みもある。パズルを解くとプレイヤーの想像を超える何かが見えることが気持ちいい。
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▲イラストをつなげるパズルもある。

難易度は低めになっていることもあり、絵本をパズルにしているというよりも絵本を読んでいるようなプレイ感。これもまた本当に独特だ。
本をパズルにしたゲームと言えば、漫画のコマを入れ替えて物語の展開を変える『FRAMED』が有名だが、こちらはめくるたびに何が飛び出すかわからない仕掛け絵本パズルで、iPadなどでプレイするとより本に近い感覚がある。
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▲縦持ち横持ち両方対応。

ゲーム内にヒント機能はないが、イラストを触っているだけでゲームが進むので操作はわかるし、先ほど書いたように謎の難易度は低めに設定されている。
だから、普段はゲームをプレイしないが西洋風の絵本が好きだとか、単に変わったパズルを遊んでみたい方、そして雰囲気ゲームが好きな方……多くの方に勧められる。
また、タッチ操作との相性も良く、マウスよりもタッチパネルで遊んだ方が楽しいのも素晴らしい。
スマホらしい良いゲームなので、ぜひ遊んで欲しい。

評価:9(すごく面白い)

おすすめポイント
水彩調の絵本のようなイラスト
言葉も使わずに進むストーリー
イラストに変化を与えるたび、世界が変わるオドロキ

気になるポイント
ボリュームは少なめ(本を買ったつもりで買おう!)

アプリDL:
Gorogoa (itunes 600円 iPhone/iPad対応 / GooglePlay / Steam)

開発:Annapurna Interactive/thatgamecopany(US)
レビュー時バージョン:1.0
課金:なし

ライター:ゲームキャスト トシ

動画: