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宇宙の始まりから終わりまでを見る壮大な旅のパズル『Last Voyage』レビュー

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壮大で美しい星の旅を描くパズルアドベンチャー『Last Voyage』は素晴らしい面と、どうしようもなくクソな2面を持ち合わせている。
その壮大なビジュアルとアンビエントな音楽だ。プレイを終えたとき、あなたは宇宙の始まりから終わりまでを見たかのような壮大な気持ちになるだろう。素晴らしい。
数百年単位の宇宙史を描く『超人ロック』や『ペリーローダン』シリーズを読み終えたときのような気持ちになるはずだ。
どうしようもない面は……壮大な映像の間に退屈なパズルが挟まることがあるということだ。

『Last Voyage』は全10章のステージを解いていくパズルゲームで、パズルを解くことで旅が進む仕掛けのアドベンチャーである。各章のゲーム部分はアクション要素の強いパズルと奇妙なビジュアルから直感でパズルのルールを理解する「直感パズル」に別れており、バリエーションは豊富。
ただし、どのパズルも解く難易度は低めなので、詰まることは少ないはずだ。ゲームシステムについては、もうこれが全てである。
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続いて肝心のプレイ感はどうなのか、という点に入っていく。
まずはこの動画を見て欲しい。この動画こそが『Last Voyage』の素晴らしい面を見せつける動画である。


無限に続く回廊のようなステージは目を離せないほど印象的。そして、ヘッドホンを装着してプレイしたときの印象は動画を上回る。
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ステージやプレイヤーの操作に合わせ、順を追って壮大さを増すアンビエントBGM音楽は、プレイヤーをいつの間にか興奮状態に持っていく力を持つ。
ビジュアルと音楽の緻密な組み立ては、公式説明にある「映画ゲーム」という単語そのままだ。動かして感動できる映画なのだ。
世界観は100点満点で500点。良い。
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だが、『Last Voyage』は各章の世界をつなげるパズルが長すぎて、少し退屈する冗長さも持ち合わせている。
いや、それだけなら良い。
問題は第7章だ。この章はスマホ本体を傾けて操作するアクションステージなのだが、これがもう細かい操作を要求する長くて面倒なステージになっていて……誰が流麗な世界観を楽しむゲームで、電流イライラ棒をプレイしたいと思うんだよ!アホか!
はい、グリフィンドール-450点!(100点満点中)
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▲傾けて白い球をゴールに持っていく。慣性もつくし、とても面倒。

ふー、興奮してしまった。
ゲームの評価を論じるとき、「どんなにクソでも、最高に良い場所が1つあればいい」などという話しが良く出てくる。
本作に関しては「素晴らしいパーツを用意しても、結合に使われるパーツが1つだめで台無しにしている」という印象である。良いところは印象的な世界観なのだが、それを見せるたびにテンポの悪いパズル(ときには良いときもある)が間に入って世界観を活かせないでいる。
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とは言え、ミニマルな3Dグラフィックと音声による世界観はそれを乗り越えてアプリに価値を与えている。-450点しても、50点は残る。7章をなかった気持ちで遊べば、もっと残る。
上記を知った上で臨むのであれば、がっかりもしないだろうし、素晴らしい映像に酔えるはずだ(7章は見なかったことにして耐えて欲しい)。

評価:6(面白い)

おすすめポイント
直感的に理解できるパズル
ミニマルで想像力をかき立てる映像
アンビエントで壮大なBGM

気になるポイント
ときにイライラする冗長さ
7章は失敗

アプリDL:
Last Voyage (itunes 240円 iPhone/iPad対応)

開発:Semidome Inc(カナダ)
レビュー時バージョン:1.0.2
課金:なし

ライター:ゲームキャスト トシ