非日常の世界への案内。星の人を導き、スペイン建築家の手による奇妙な通路を歩く『Starman:Tale of Light』レビュー
- パズルゲーム
- 2017年11月15日
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- 評価8|

孤独を感じられるゲームは幸せである。
なぜなら、そのゲームはプレイヤーと外部との接触を断ち切り、ゲームの中に埋没させるほどの体験を持つものという証明だからだ。
星の人を導いて、薄暗い世界を進むパズルアドベンチャー『Starman: Tale of Light』は、そんなゲームである。
建築家でもあるnada studioが設計した建築物の存在感、あらゆるフィードバックを利用した設計はプレイヤーをゲーム世界に埋没させ、プレイヤーを現実世界から切り離す。
本作は星の人を導いて建築物の奥を目指すゲームだ。
星の人はプレイヤーが指示した位置に移動し、物をタッチすればそれを持ち上げる。

物を持った状態で画面を長押しすると持っている物をその場に置く。
基本操作はそれだけで、箱の高さを利用して通路を作ったり、ステージそれぞれの仕掛けを読み解いて進むオーソドックスなパズルアドベンチャーとなっている。

これだけでは普通のポイントクリック型のアドベンチャー……なのだが、本作はその世界の作りこみによって非凡な存在になっている。
最初に書いた通り、建築家でもある開発者が作り上げた建物は不思議で、謎の存在感に満ちている。
すべてのステージが印象的で、スクリーンショットに残したくなるほど特別。実際、私がゲームを終えた後に気づいたら、すべてのステージのスクリーンショットを撮っていたことに驚いた。

この印象的な建物にはエネルギーが通っておらず、白いエネルギー体を所定の場所に置くことで初めてエネルギーが通う仕組みになっている。
その作業がパズルになっているのだが、パズルの完成とともに光が灯って動くさまは荘厳で、この建築物に命を吹き込んでいるかのような錯覚を覚える。この建築物が、パズルを特別にしているのだ。

音と光を使ったフィードバックも最高だ。
物に触れたときの何とも言えない触感、水の上を歩いたときや仕掛けを動かしたときの環境音……世界が薄暗いのと対照的に音と光の輪郭がより強調され、強い存在感を放っている。
それがこの世界に奇妙な現実感を与え、プレイヤーの意識をゲーム世界に引きずり込む。

あまりに没入感が高いため、『Starman:Tale of Light』をプレイした者は孤独に建築物をさまよっている錯覚を覚えることだろう。
これは比喩ではない。本当に現実とは異なる世界に迷い込んだような錯覚を覚えるのだ。

私にとって、ゲームは非日常への旅という面がある。現実ではありえないものをみることは、とても楽しい。
だからゲームキャストでは「雰囲気ゲー(雰囲気で楽しませるゲーム)」をしばしば高評価している。
そして、本作はまさに非日常の旅だ。本作をプレイしている間、私は外のことを完全に忘れてこの世界に迷い込んだかのように無心でプレイできた。おそらく、多くの方がそれを味わえるだろうと信じて紹介している。
他のことを忘れて没頭できるほどのゲームを遊べるのは、幸せなことだ。
ぜひ、現実世界を忘れるほどの幸せを皆さんにも体感してほしい。

仮にそこまではまり込めなくても、この奇妙な建築物の中を進む経験はそれだけで楽しめることだろう。
星の人の足が遅いことは気になったが、パズルの解法は理にかなっていてゲームとしても楽しい。そういった意味でもおすすめである。
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コメント(1)
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コメント一覧 (1)
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- 2017年11月15日 01:46
- ゲームは旅に納得。RPGも旅なんだけど、プレステ時代のように沢山の特徴的な町を歩けるゲームが欲しい…