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上達し、克服し、クリアする。1990年代アクションの魂をスマホに昇華したレトロ風アクション『SphereKnight』レビュー

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「スマホにはゲームらしいゲームがない」などと嘆く暇があるなら、『SphereKinght』を遊ぶといい。
"ゲームらしいゲーム"がスーパーファミコンやPS時代のアクションRPGや、アーケードのアクションを指しているなら、このゲームは間違いなくピッタリはまる。
職人のこだわりか、難易度は高めだが面白さも最高クラス。
まさか、スマホにこんな直球の骨太アクションゲームが楽しめると想像していなかった。
1990年代のカプコンスタッフを呼んできて「スマホ向けに骨太アクション作ってください」と頼んだらこんな感じになるのかもしれない。

ゲームを始めると最初にストーリーデモが始まるが、簡素ながら古のアーケードゲームをそのまま踏襲した流れがもう良い。
“呪われし仮面”がとりつくという禁忌の地、滅びの国“レブラリア”に騎士(スフィアナイト)が降り立つ。

という文字だけの物語だが、『カオスシード』や『エストポリス伝記 よみがえる伝説』などの中島享生さんによるBGMがこれでもかと期待を盛り上げる。
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で、ゲームを遊んでみるとこれまた素晴らしい。
これを作ったムギメシロウさんは、ゲーム業界の古参ディレクターだったのだろうか。アーケードライクな骨太の作りは、1990年代のドット絵アクション全盛期のあの作りだ。
▲Youtubeに動画がなかったので自分で参考動画作った。

ゲーム内容は、スワイプ操作でボールを転がすように主人公を転がし、体当たりで敵を倒すアクション。
画面左上に表示される敵のカタログを見て、"○"と表示される敵は体当たりで倒せて、"×"の敵は触れるとダメージを受けてしまうというシンプルなもの。
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▲画面左上の灰色の球がスフィアナイト。ここでも効果音がいい仕事してる!

画面を2度同じ方向に連続でスワイプ(時間は空いていてもかまわない)すると、オーラをまとった体当たりができ、これが攻撃と防御両方に活躍する。
ただし、ダッシュが終わるまでは方向転換できないため、判断をミスすると倒れてしまうことも。
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▲オーラで攻撃範囲が広がるし、オーラには喰らい判定もないので利用価値大。

操作はこれだけ。非常にシンプルなのだが、ゲームに絶妙な緩急があってプレイが止まらなくなる見事な作りとなっている。
ステージが始まってしばらくは倒せる敵が少なく、プレイヤーには慎重な操作が要求される。
しかし、一定の数の敵を倒すとレベルアップして倒せる敵が増え、これまで倒せなかった敵も一気に足せるようになり、爽快な無双タイムが始まる。
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が、また少しするとステージに新しい敵が登場して苦戦する時間がやってきて、この流れがゲーム中ずっと続く。
つらい場所を抜けると必ず楽な場所が待っており、「苦戦→楽になる→苦戦」のサイクルが絶妙な緩急でやってきて中毒性が高い。

道中のアイテム配置も計算され尽くしている。
全てのアイテムが超強力で、危険を冒してでも取りに行きたくなるほど強い。 リスクを冒してでも取りたい便利アイテムを頑張って取る→気持ちいいという、ステージ構成に共通する作りがここで小さく作られている。
さらに、アイテムにも使い方が色々あって、ステージの特定の場所で使うと本来倒せない高レベルの敵を倒すなど、裏ワザ的な要素も。
最初は取るだけで楽しく、プレイヤーが成長すればもう1段奥深く使いこなせる習熟の面白さもある。

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難しいが、到達したときは超爽快。本作では昔ながらの「リスクをとってリターンを得る」作りが徹底されている。
そう、懐かしのアーケードゲーム、近年で言えば『ダークソウル』をプレイしているときのように、チャレンジの快感をプレイヤーに提供する作りになっている。


そして、そんな道中を抜けてラストに待ち受けているボスの作りがまた渋い。
単に個性的なアクションでエンターテイメントを提供するだけでなく、何回も挑んで攻略方法を見つけると楽になる古のゲームの作りそのまま。
ひたすら快感を追求するスマホ流行のゲームではないが、ひたすら面白い。
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初期バージョンでは難易度調整が厳しかったが、現在は難易度が高すぎた部分が修正され、文句なしの作りになっている。
最新バージョン1.5では初期レビューで指摘したすべての欠点が解消されており、個人的には「スマホで遊ぶなら最高級のアクション」と自信を持って言える。

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▲3面で殺すアーケードの鉄則を守っていたが、ちょっと簡単になった。あと、アイテムは死んでも持ち帰れるようになった。

で、ボスを倒すと新しいステージに挑めるようになり、集めたお金でアイテムをパワーアップしたり、新しい装備を購入したりできる。
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▲プレイヤーが高度な挑戦をするほどクリア時の報酬がガンガン上がり、どんどん成長できる

また、やり込み要素としてモンスターやアイテムの図鑑を集める要素があり、これもまたプレイヤーの腕に連動した内容になっている。
モンスターやアイテムはランダム出現ではなく、一定時間内に攻撃を当て続けるコンボの継続数に応じてルール通りに登場する。
Sランク評価でクリアしたとき限定の装備なども存在するため、プレイヤーの上達が図鑑埋めに反映されるわけだ。
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この図鑑も良いご褒美要素で、"遺品"と呼ばれるアイテムの説明文がものすごく面白い。
魔獣が氾濫する国の過去が断片的に、少しずつちりばめられており、プレイヤーの上達して良いアイテムを取るほどに間が補完される(出現順番も絶妙)。
単なるアクションかと思いきや、ラストまで楽しくストーリーを集め、クリア後も完全に物語をするためやり込んでしまう。
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全体的にみて、ほぼ死角がないというか「ゲーセンで人気だったアクションに、家庭用にストーリー要素をつけて移植しました」って感じの素晴らしい内容。
ただし、長所の裏返しでもあるが、難易度が高い。すごく面白いのに人の心を折るというか……アーケード世代や『ダークソウル』系のチャレンジ精神がたぎる難易度。
スワイプという微妙に不自由な操作が絶妙な面白さを作っているのだが、同時にストレスもあるのでやや画面が大きいスマホを持っている方が楽しめるだろう。
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無料でも十分楽しい(広告はプレイ中邪魔してこない)し、600円と言われても余裕で「安いですね」と言える内容。
プレイヤーの上達を感じて遊ぶアクションゲームを探しているなら、迷わずこれ、と胸を張って言えるゲームである。
真面目に遊ぶほど応えてくれるゲームなので、ぜひ1度は試していただきたい。

評価:9(とても面白い) 

おすすめポイント 
プレイヤーの上達が目に見えるアクション

先が気になるストーリー
素晴らしいレトロサウンド
普通にSwitchの500円アプリで売れる

注意点
難易度は高め
 
アプリDL: 
SphereKnight (itunes 無料 / GooglePlay)

開発:PepperBomb(日本) 

WEB:https://twitter.com/mugimeshi_001
レビュー時バージョン:1.5
課金:広告削除360円

ライター:ゲームキャスト トシ