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呪われた王となり、国という化け物を治めよ。『Reigns』レビュー

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玉座とは、常に血に塗られたもの。
『Reigns』は、呪われた王の血族となり、教会、人民、軍事、国庫。その4つのパワーバランスを保ち、王国を運営するゲームである。
そのプレイは、持ち込まれる政策を「イエス」と「ノー」で決定するだけの簡素なものだが、もしプレイヤーが十分に聡明ならば、呪われた王国の秘密を知ることになる。
単純なゲームに、驚くべき奥深さも隠し持ったおすすめゲームなのだが、少し前までは英語のみの対応で遊びづらかった。
が、ついに日本語訳がなされたので、ここに紹介したい。

プレイヤーは、呪われた血族の末裔。
歴代の王たちがどんな決断を下し、どのような最後を迎えたのか、全てを記憶する存在となり、死ぬたびに新しい王に宿って国を統治する亡霊だ。
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あなたの国では、「教会」「人民」「軍事」「国庫」の4つの勢力が複雑なバランスを取って成り立っている。
それらの勢力のバランスを取りつつ、さまざまな判断を下し、長く国を保つのがこのゲームの目的だ。

政治、と言っても仕組みは簡単。1年に1回、国の方針について1つ提案がなされる。
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それに対して、左スワイプすると「いいえ(もしくは否定的な答え)」、右スワイプすると「はい(比較的肯定的な答え)」が表示され、その回答影響がメーターの上に曖昧に表示される。
そして、指を離すと回答が決定され、4つの勢力のメーターが上下する。
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▲メーターが増減する場合、回答前にメーター上にマーカーがつく。

1つの選択が終わると次の選択を迫られ、これを繰り返して国が運営されていく。
そして、いずれかのメーターが0になったとき、あなたは玉座を追われる。
人民のメーターがなくなれば人民の暴動で殺され、軍事のメーターがなくなれば隣国の軍勢に国が占領され、いずれも王は悲惨な最期を迎える。
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▲国はすっかり荒れ果て、商人と諸侯に乗っ取られてしまいました……。

しかし、あなたは歴代の王の記憶をすべて受け継いでいる。だから、次回以降は「やってはいけないこと」を学び、国をより良い方向に導ける。
そうして、国が豊かになり、各メーターが満タンになると……。

やはり、あなたは死ぬ。教会が最大になれば宗教国家になって王が牢屋に放り込まれ、軍事が最大になれば軍事政権が立ち上がり、どれか1つの勢力が強くなりすぎてもダメ。
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▲この聖なる国は強行軍の統治下に置かれます。これぞまさに、地上の楽園!

つまり偏らず、常に中道で国を治めなければならない。
が、政治や人間の感情というものはなかなか難しく、良かれと思ってやったことが裏目に出たり、色恋にとらわれて「愛の奴隷」として、愛人の言うことを聞くだけになってしまうことも。
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とはいえ、死んでもペナルティはないので、あなたは何度も倒れ、イベントをこなして政治を学ぶだろう。
また、死ぬたびにミッションが提示されるので、それをクリアしているだけでもゲームに習熟できるようになっている。
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そして、歴史を進め、イベントを数多くこなしていくと、ゲームのイベントに少し規則性があることに気づく。
また、医者や道化師、スパイなど、新しい人材がやってきてイベントが増え、今までと異なる道が示されることもある。
そして、それに気づくと『Reigns』の真の姿が見えてくる。
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何度もプレイし、少しずつ異なる選択を選ぶことで、この国の背後に隠された秘密や人々の思いが明らかになっていくのだ。日本的に言うなら「ループものの物語構造」を『Reigns』は持っている。
政治ゲームに見せて、国の謎を解き明かすアドベンチャーでもある。それが、『Reigns』の真の姿なのだ。
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▲もちろん、寿命で死ぬこともある。退位寸前は、耳が聞こえなくて大変。

シンプルな2択を繰り返す内容ながら、延々と王国の歴史を作る重厚な空気感で楽しませ、繰り返しのプレイに報いるストーリーも持っている。
架け橋ゲームズが日本語訳を担当しており、ネイティブの日本人が作ったのではないかと言うほど違和感ない翻訳もそれを助けている。
PCでもプレイできるが、1プレイは短時間でサクサク遊べてスマホ向けに仕上がっているので、ぜひスマホで遊んでみて欲しい。

評価:7(面白い)

おすすめポイント
簡単なのに重厚な歴史を体験できる
知識を蓄えて上達する体験
少しずつ、巧みに明かされるストーリー

気になるポイント
難易度はやや高く、2週目以降は少し面倒

課金
なし

(バージョン1.02、ゲームキャストトシ)

アプリリンク:
Reigns (itunes 360円 iPhone/iPad対応)

動画: