ただの面白いだけじゃない。物語を語るパズル『Zenge』レビュー
AppStoreにおいて、良いパズルゲームの条件は単に「楽しい」だけではない。パズルゲームには、付加価値が必要だ。
なんせ、App Storeにはすでに多くのパズルアプリがあって、普通に楽しめるという条件であればいくらでも選べる。
この中で「良いパズル」と言うためには、パズルが楽しいだけでなく付加価値が必要だと思うのだ。
そして、その付加価値を分かりやすく持っているパズルゲームが『Zenge』である。
本作は、ブロックを動かして枠にはめ込むパズルだ。
ゲームを開始すると、画面にブロックとレール、そしてブロックと同じ形の白い枠が表示されている。
ブロックはレールに沿って動かすことができ、レール上の穴の位置まで持ってくると「シュッ!」っとハマり、ブロック上にイラストの断片が表示される。
レールがつながっていても他のブロックに遮られていると、枠にはめ込むことはできない。
つまり、ブロックを動かす順番や位置を考えるパズルになっている。
上の説明だけを見るとシンプルに見えるが、先に進めば様々なトリックも出現する。
たとえば、だまし絵のトリック。下の画像、一番下のブロックに注目して欲しい。この状態では、レールがつながっていないので、これ以上左には移動できない。
だが、上段のブロックを移動させ、真ん中に移動させるとくっつけると、レールがつながっているような絵面になる。
見た目上つながっていれば、実際につながっていなくてもOK。
レールを通り、右側のブロックは左に移動できるようになる。
その他にも、ブロックを反転させたり、ワープさせる仕組みも登場し、進むほどに工夫の余地が増えて飽きない。
解いてみると「ああ、こうだったのか!」という発見もあり、パズルとして十分楽しい。
もちろん、最初に言ったとおりこれだけでは「どこにでもある良いパズル」で終わってしまう。
だから、これから冒頭で語った付加価値について語ろう。
『Zenge』では、ステージをクリアするたびにイラストが表示される。これが、付加価値だ。
パズルを解くたびに神秘的なイラストが表示され、それはステージをまたがって続く物語となっている。
宇宙を見るこびと。
宇宙を、奇妙な船で旅するこびと。
ゲートを発見し、遠巻きに見るこびと。
彼は何を考え、何のために旅をするのか。
パズルを解くたび、静かな音楽とともに新しいイラストが表示され、ストーリーが少しずつ明かされる。
単にパズルとして楽しいだけでなく、イラストのできも良いし、物語も気になる。
解いた瞬間に「解けた!」という楽しさだけでなく、「先に進めた!」という喜びも加わり、2倍楽しい。
▲宇宙まで続くこの塔はいったい……?
良質なパズルと、物語。静かな音楽の中で、これを楽しめる『Zenge』は、間違いなく付加価値のついた良いパズルゲームである。
「パズルが遊びたい、しかし、普通では嫌」。
そんな方でも楽しめる、高品質以上のゲームなので、ぜひ手にとって遊んでみて欲しい。
評価:8(とても面白い)
おすすめポイント
サクサク解けるが、ときおり頭を悩ませるパズル
神秘的なイラストで語られるストーリー
豊富なギミック
課金
なし
(バージョン1.0、ゲームキャストトシ)
アプリリンク:
Zenge (itunes 120円 iPhone/iPad対応)