格闘家であった父の仇を討つため、自らもまた格闘家となって父と同じ道を歩む……そんな、格闘生活シミュレーターが『Punch Club』だ。
設定はハードなものの、ゲーム中のストーリーは映画やゲームのパロディだらけでC級感満載。
それでいて育成システムはカイロソフトのゲームに近く、「ダークなC級映画テイストのカイロゲー」という貴重なゲームができあがっている。
『Punch Club』の物語は、主人公が格闘家を志すところから始まる。
ただし、あくまで目的は父の仇を討つこと。父の仇を見つけるため、格闘リーグで頂点に上ってもいいし、薄暗いアリーナで荒くれ者を相手にして戦って頂点に上り詰めてもいい。
街を移動していると、いくつかのサブストーリーも用意されており、それをクリアしていくと意外な方向に話が進むこともある。
仇討ちという目的は決まっているが、進め方はかなり自由。
ピザを配達に行ったら、下水道にニンジャワニがいたり……。
恋愛も可能だ。エイドリアンというヒロインは、最初は$40のプレゼントで喜ぶのに、主人公が金持ちになると高いプレゼントを要求し、「あの頃には戻れないのね」感も出してくれる（いらない）。
そのほか、さまざまな映画やゲームのパロディがふんだんに盛り込まれており、急で安っぽい友との別れ、バットマンのようなヒーローになるなど、C級感あふれるイベント盛りだくさんだ。
と、面白そうなところばかり書いてみたが、ゲームは堅実な育成ゲームである。
キャラクターが生きていくためには食べなければならず、食べるためにはお金を稼がなければならない。
イベントをこなすにも、父の仇を討つにも、まずバイトで資金稼ぎだ。世知辛い。
そして、合間合間にトレーニングをして能力値を伸ばしたり、イベントをこなしつつ、試合に備えることとなる。
▲自宅でもトレーニング可能だが、ジムを使うことも可能。ただ、高い……。
なお、能力値は1日ごとに衰えるため、毎日トレーニングしなければ弱くなってしまう。
とくに序盤は収入を得るのが厳しく、慣れるまではトレーニングもおぼつかないハードな展開が続く。
▲後半になると、下がる量が増えてびびる。
そうこうして、十分にトレーニングしたらいざ試合へ。
試合はオートで進むが、プレイヤーは最大で5つまでの技と、バトルスタイルを選んで戦い方を定めることができる。
▲一定時間ごとに試合が中断されるので、展開に合わせて組み替えることも可能。
見ているだけの試合だが、技の組み合わせで「スタミナ切れを狙う耐久型」や「攻撃をすべてかわすカウンター型」、「とにかく1発のダメージで倒す一撃型」など、バトルの展開は多少変わる。
試合終了後は「スキルポイント」が手に入り、これを消費して様々なスキルを覚えられる。
勝った場合は（多くの場合）ストーリーが進み、次の展開を見ることもできる。
バイト、トレーニング、試合。
効率よく時間を使って育成し、パラメーターを上げてオートで戦わせるプレイ感覚はカイロソフトに近い。なので、作業感はありつつも、育成ゲーが好きならきっちり楽しめる堅実なゲームとなっている。
ボリューム的も価格的にも満足な内容ではある。日本語訳もほぼOKで、日本語にすべきではない箇所は訳さない配慮も。
▲All your baseって、まだ海外でまだ許されていなかったのか……。
唯一の欠点は、バグが多いこと。
操作不能バグ（メニューに戻ると直る）に出会ったり、イベントの進行が狂ったりと、普通にプレイしていてもクリアまでに数回バグに遭遇することだろう。
致命的なものには遭遇しなかったが、買う前にそれだけは心しておいて欲しい。
それさえ許容できれば、堅実な育成系ゲームと、C級感あふれるイベントの数々を楽しめる良作だ。
本来600円のところ、現在セールで360円になっているので、遊んで奇妙なイベントの数々を味わって欲しい。
評価：7（要チェック）
おすすめポイント
C級感あふれるイベントの数々 厳しいが育成が楽しい気になるポイント
バグが多い 序盤はかなり厳しい課金
なし
（バージョン1.10、ゲームキャストトシ）
アプリリンク：
Punch Club (itunes 360円 iPhone/iPad対応)
