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リアルだが現実感のない世界。心を打つ脱出ゲーム『The Room Three』レビュー

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神秘的な箱の謎を解き、部屋を脱出するゲームシリーズ『The Room』。
Apple Awardで2作連続で獲得した作品の3作目『The Room Three』は……そんな過去2作を凌ぐ完成度のゲームであった。
脱出ゲームが好きならばもちろん、そうでない方でもぜひプレイして欲しい1作である。

スマホの脱出ゲームは、行き着くところまで行ってしまっている感がある。
どのゲームを見ても、気になる場所をタッチして調べ、アイテムを集め、謎を解いて先に進んでいく共通の様式がある。
『The Room Three』だって、その基本は変わらない。
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▲気になる場所をタッチして調べるのだ

しかし、同じような操作でも作業感漂う脱出ゲームもあれば、ハマる脱出ゲームもある。
その差は、どこにあるのかといえば、世界観とグラフィックだろう。
プレイヤーが世界感にひたり、シチュエーションと一体化して謎解きを味えれば、脱出ゲームは面白くなる。
そして、世界観とグラフィックに関して言うなら、『The Room Three』が最高の1作だ。
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このゲームの物体には、圧倒的なリアリティがある。
とくに金属の質感は、実物かと勘違いしてしまうほど。
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▲真鍮人形の質感は必見。

影だってもちろんリアル。
しかしながら、ゲームの世界には動物の気配がなく、ひたすら無機質。浮世離れした世界が、徹底して描写される。
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そんな中で動くものは、機械だけ。
人がいない中で、なぜ機械は動いているのか。いや、この機械はなんの目的で作られたものなのか。
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謎を解くたび、次々と出現する新しい部屋。不可思議で、使用目的もわからない機械たち。
進むたび、畳み掛けるように新しい風景が出現し、飽きる暇もない。
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▲奇妙な装置が浪漫を刺激する。

さらに、シリーズを通して登場する「レンズ」もいい味を出している。
レンズから風景をのぞき込むと、普段とは異なるものが見え、ときには触れることもできる。超常的な世界を垣間見られるのだ。
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普段はリアルな世界なのに、レンズを使った体験はすべて超常的。
この館も、機械も、魔法的な仕組みも、一体何のために作られたものなのか。
気になったら、もうとまらない。一定時間以上悩むと、ヒントを表示する機能もあり、適度に悩みつつもゴールまで一気に遊んでしまう。
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このように、『The Room Three』は、圧倒的な世界観にプレイヤーを引き込み、遊びきらせてしまう脱出ゲームである。
最初に書いたように、脱出ゲーム好きならば、絶対プレイすべき1作である。そうでなくとも、プレイする価値がある。
2015年のゲームでも、10本の指に入る1作だ。

幸い、ストーリーは英語だが謎解きに高度な英語力は必要ない。
シンプルな英文を読めれば大丈夫なので、高校生ならば辞書がなくても遊べると思う。英語の壁を恐れず、チャレンジして欲しい。

評価:4.0(すごく面白い)

おすすめポイント
マルチエンド
美しい風景と、神秘的な世界観
適度に悩み、詰まりづらい難易度(おそらく、シリーズで一番簡単)

気になるポイント
ストーリーが英語

課金
なし

(バージョン1.0.1 ゲームキャストトシ)

アプリリンク:
The Room Three (itunes 600円 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)