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世界で一番人気のカードゲームが日本語化。運と実力の『Hearthstone: Heroes of Warcraft』レビュー

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オンライン対戦カードゲーム、『Hearthstone: Heroes of Warcraft』がついに日本語に対応し、正式に日本サービスを開始した。
その内容は、日本的なソーシャルゲームではなく、プレイヤーの頭脳で戦う楽しい対戦ゲームである。

簡略化された『マジック・ザ・ギャザリング』とでも言えばいいだろうか。たった10分で遊べるのに、駆け引きが深く、楽しい。
そんなゲームがテキストだけではなく、ボイスも含めて日本語化されたのだから、これはやるしかない。

このゲームの目的は、デッキを組んでカードで敵と戦い、敵ヒーローのライフを0にすることである。
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プレイヤーは、まず9人のヒーローから使用する1人を選ぶ。
ヒーローにはそれぞれヒーロー能力と、固有のカードが定められていて、選んだヒーローによって試合の展開が変わってくる。
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ヒーローを選んだら、合計30枚のカードを選んでデッキを作る。
カードの種類は「秘策」、「呪文」、「ミニオン」、「武器」の4つ。

「ミニオン」は、僕を召喚して戦わせるカード。ミニオンは1ターンに1回、ヒーローかミニオンに攻撃力と同数のダメージを与えられる。
ただし、攻撃相手がミニオンのときは相手の攻撃力と同じだけ体力が減り、体力が0になると破壊されて場から消える。
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ミニオンは召喚されたターンには行動できないので、「呪文」と比べると即効性は低い。
だが、体力が残っている限りずっと戦えるので破壊力が高く、その制圧力も強力なミニオンが場に居座るだけで試合に勝てるほど制圧力は高い。
このゲームのキーカードだ。

「呪文」は、使い捨てのカードで、ダメージを与えたり、回復したりとマナコストに応じて強力な能力を持つ。
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秘策は、特定の条件が整うまで効果を発揮しないカードだ。しかし、カード使用後に条件が整えば相手のターンでも即座に効果を発揮する(遊戯王で言う伏せカード)。
対戦相手には秘策の内容が見えないので、使っておくと相手にプレッシャーをかけられる。
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「武器」はヒーローが装備するもので、ヒーローにミニオンと同様の攻撃能力を与える。
ヒーローの体力を減らす可能性がある上、使用は回数制だがミニオンと違い即座に攻撃できるので強力だ。
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デッキを作ったら、いよいよ試合ができる。
このゲームの試合は、逆転が難しく、流れが決まり切る前に主導権を争うゲームになっている印象を受けた。

試合が始まると、毎ターン「マナ」が補充され、このマナを消費してカードを使っていく。
マナの最大値は手番がくるたびに増え、最大で10まで上昇する。
ゲーム序盤はマナが少ないので、小技で場を有利にもっていくことに腐心することになる。
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▲先行はカードが少なく、後攻はカードが多くなる上にマナを一時的に増やすカードが1枚追加されるので条件はほぼ五分。

そして、マナが増えたときに大技を決め、一気に流れを持っていって勝つのがセオリーだ。
大技が決まると逆転は難しいが、それを決めるには小技で有利を積み重ねる必要があり(もちろん、小技の連打で押し切る戦法もある)、そこに駆け引きが存在する。
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マナの最大値がいくつのときに大技を仕掛けるデッキにするのか、序盤の小技と大技、カードの比率をどうするのか。そして、カードを出す手順はどうするのか。
デッキ作りと駆け引きは深く、とても楽しい。
デッキが30枚なので運の要素は大きめだが、対戦カードゲームの面白さは十分感じられる。

ただし、そこに至るまでにカードゲーム特有の問題が立ちふさがる。
基本的に、レア度の高いカードには試合の流れを変えるキーカードが多い。つまり、それが揃うまでランキング上位を争うことはできない。
戦えるカードを揃えるには長い時間かけるか、かなりの課金が必要になる。
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▲レジェンドカードは狂った強さがある。しかし、1デッキに同じカードは1枚のみ。レジェンド未満は2枚まで入れられる

それを解消するのは、ランダムな戦力で戦う「闘技場モード」だ。
これは、すべてのプレイヤーが同じようにランダムでデッキを作り、戦うモードである。
闘技場に入ると、ランダムに選択されたヒーローから使用ヒーローを選択する。
続いて、3枚ずつカードが提示され、その中から1枚ずつカードを選び、デッキに必要な30枚を選ぶまでそれを続ける。
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▲『マジック・ザ・ギャザリング』で言うところの「ドラフト戦」っぽいものが気楽に楽しめる、という感じ

試合を続けて3敗するか12勝すると終了になり、勝利数に応じた報酬が支払われる。
デッキ構築の時点でランダム性の高いモードではあるが、カードやヒーローに対する知識が深まるほどに勝率は高くなる。
ゲーム内通貨が150コイン必要だが、デッキ構築からプレイまでスリルがあり、とても楽しい。
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全体を通してみると、1試合10分程度でも駆け引きが存在し、プレイしやすさと戦術性、やや高めの運要素がいいバランスでブレンドされているように感じた。
さらに、ランキングを競いたいプレイヤーも、それなりに遊びたいプレイヤーも楽しめるように作られている。

毎日クエストでコインを稼げるし、いらないカードをポイントにして任意のカードを作るシステムもあるので、現実のゲームや同系統のスマホゲームの中では課金は厳しくない。
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ガッツリ課金してでも遊びたいプレイヤーが楽しめるのはもちろん、ゆるりと2ヶ月も遊んでいれば、ランキングでも戦えるようにはなるだろう。
(ただし、本格的に遊ぶならアドベンチャーに課金するのは必須。中課金でなんとかなる)
対戦カードゲームとして、とても楽しいので試して欲しい1作だ。

課金に関して以外はゲーム自体は良い。だが、とても残念なことが1つだけある。
日本語対応が遅かったので、他のプレイヤーが育っているのだ。すでに下位のプレイヤーでさえレジェンダリーカードを使って攻めてくるので、初心者がランクバトルで戦うハードルは上がっている。
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▲有料シナリオ(一応、無課金でも手に入る)と、カードなどは購入できるが高い。

もし、このゲームが最初から日本語でサービスしていれば、もっともっと楽しかっただろうに、と思うと残念ではある。

評価:8(かなり面白い)

おすすめポイント
10分で遊べるのに深い戦術性
闘技場モードで課金と関係なく楽しめる

気になるポイント
カードを揃えるのに金か長い時間がかかる
スタート時のログインが分かりづらい

課金
カードパック(10枚で360円〜)、シナリオパック(3000円、カード50枚付き)、ヒーロースキン(勝敗に関係ない飾り)

アプリリンク:
Hearthstone: Heroes of Warcraft (itunes 基本無料 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)

(バージョン3.2.10548、ゲームキャストトシ)