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彼女の人生を覗き、探し、暴く。心に刺さる物語『Her Story』。

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舞台は1994年。とある女性の夫が行方不明となり、その妻は1ヶ月の間に7回も事情聴取を受け、警察はその記録動画を作ってデータベースに収めた。
『Her Story』は、そのデータベースを検索して動画の断片を閲覧し、さまざまな角度から事件の謎に迫る推理ゲームである。

感情を揺さぶるストーリー、プレイヤーの推理力が試される(それでいて、誰でも進められる)謎、そしてゲームならではの表現。そのすべてがこのゲームに詰まっている。
『Her Story』は推理ゲームが好きなら、英語のハードルを乗り越えてでもやるべきだ。

あなたは、開始と同時に警察のデータベースにアクセスするが、そのすべてを見ることはできない。
閲覧権限が限られているため、いちいちワードを入力し、検索して動画を探さなければならないのだ。
例えば、「MURDER(殺人者)」で調べると……。
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関連する動画が4つ検索される。
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ウィンドウをタップすると、動画が再生される。
被害者の妻は、「I didn't murder Simon(私はサイモンを殺していない)」と証言しているようだ。
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と言うことは、被害者の名前はSimonだ。
次は、新しい登場人物「Simon」を入力して検索する。
ちなみに、動画はほぼ10秒〜30秒程度に断片化されていて、1つの動画から得られる情報はとても少ない。4つの動画を見て得られたワードは「Simon」だけだった。
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Simonですると新たな動画が表示あれ、Simonに関する情報が少し明らかになる。
そして、そこからまた新しい検索ワードが浮かび上がってくる。
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▲気になる動画は5つまで面下に保存しておける。

と、このように情報を少しずつつなぎ合わせ、事件の輪郭を明らかにする推理ゲームが『Her Story』である。
これだけを見ると、古えのテキスト入力型のアドベンチャーのように見えるかもしれない。

だが、少しプレイするとこのゲームは急変する。
情報を集め、事件の概要が見えてくると動画の持つ意味が変わるのだ。
それに気付いた瞬間から、あなたは動画の変化や話し方から文章以上の情報を引き出せるようになり、急速にゲームにハマる。
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あのとき、彼女はどんな気持ちで愛の言葉を語ったのか。
それは本当なのか、嘘なのか。
自分の推理は正しいのか。
気になり始めると、夜も眠れない。

少なくとも自分は、動画1つ1つにタグをつけ、登場人物と動画の順番とタグの対比表を紙に記し、辞書を片手に明け方まで一気に遊んでしまった。herstory_rr - 1
▲動画にはタグをつけられる。タグ付けした動画は、そのタグで検索できるので、上手い名前で整理すると良いだろう。

クリアまでの道のりは、自由だった。
普通に情報からワードをつなげるだけでなく、「Kill(殺す)」とか「Weapon(凶器)」とか、事件に関係しそうなワードを適当に入力しても良いのだ。
新しいワードを見つけるたびにゲームが進み、自分自身の推理がダイレクトにゲームを進行させている手応えを感じられて充実していた。

自分は遠回りにジワジワと動画を閲覧して真相に迫ったが、あなたが勘の良いプレイヤーなら30分で確信に迫るワードを突き止め、事件の真相に到達するかもしれない。
しかし、どのようにクリアするにせよ、このゲームは面白いだろう。
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▲データベースウィンドウの裏に隠されているDB Checkerを起動すると、動画の総数と見た動画の数が確認できる。この動画がすべて埋まると……?

また、第3者の視点で他人の人生をのぞき見るような感覚も、このゲームにひと味加えている。
あなた自身は動画を見ているだけなので、彼女に何も質問できない。事件の内容が分かっても、その奥に存在する感情については、考えるしかない。
すべてが説明されないことが、なんとも言えない余韻を残していた。

役者の演技、すぐれたストーリー、そしてプレイヤーの検索を見越したかのようなテキスト。
多くの事を語りたいが、語ること自体がこのゲームのネタバレとなり、面白さを奪ってしまう。
英語のゲームだが、細切れの動画はどれも字幕付きで、文章も簡単だ。
だから、英語ゲームにアレルギーがなければぜひ遊んで見て欲しい。

余談になるが、このゲームをプレイしているときほど言語の壁を感じたことはなかった。
英語が簡単だから楽しく遊べたが、辞書を引かずに遊べればもっと楽しかったはずで、それが悔しかった。

評価:3.5(かなり面白い)

課金について

なし

おすすめポイント
動画をつなぎ合わせ、事件を推理する仕組み
余韻の残るストーリー

気になるポイント
日本語ではない

(バージョン1.0、ゲームキャストトシ)

アプリリンク:
Her Story (itunes 600円 iPhone/iPad対応)