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美しい未来都市の最後とその謎を追う物語。『Transistor』レビュー

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オープンワールド系のRPGが流行する現在、「一本道のRPG」とは悪い意味で使われることが多い気がする。
しかし、一本道だからこそ素晴らしいゲームもある。
『Transistor』は一本道であることを逆手に取り、最高のタイミングで音楽とストーリーと舞台演出を見せつけ、巧みにプレイヤーをゲーム世界に引きずり込むゲームだ。

謎の化け物「プロセス」が街に出現し人々を襲う中、声を失った歌手のレッドは、しゃべる剣「トランジスタ」と出会い、それを手にする。
『Transistor』はレッドを操作してトランジスタを操り、プロセスと戦うゲームである。
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『Toransistor』の魅力は、その世界観と音楽、物語にある。
SF的な世界は硬質な空気になりがちだが、『Toransistor』の世界は淡い色で柔らかく、美しい。
この独特のビジュアルがまず目を引き込む。
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それを彩るBGMもまた素晴らしい。
全編にわたってゆったりとしたテンポのBGMが流れ、その世界を最大限に引き立てている。
場面に応じてBGMが変化するだけでなく、プレイヤーの操作に応じて音が足される小技もあり、隙なく世界観を形作っているのだ。
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▲レッドは声を失っているが、自由に鼻歌を歌える。この行動に意味はないが、閑散とした世界で1人歌う姿は心にくる。ぜひ、3分ぐらい鼻歌を歌って欲しい。

世界作りに隙がない反面、ストーリーでは情報が圧倒的に足りない。
プレイヤーは、トランジスタの語りとステージの様子から背景を推測しなければならない。
なぜ戦っているのか、なにが起きていて何が本当の敵なのか、ゲームが終了しても謎は残る。
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▲声のない歌姫と多弁な剣。この組み合わせが何とも良い。

しかし、それはプレイヤーの想像の余地が多いことの裏返しで、不思議な後味を残しつつも気持ち良くゲームを終えることができた。
淡く寂しい世界、想像の余地を残すストーリー、この組み合わせは素晴らしい。

物語を一度終えてから2周目を遊び、1周目の推測を裏付けていくプレイもできて、システムとしても上手く機能している。
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一方で、バトルシステムもまた面白い。
バトルは4つのファンクション(スキル)を使いわけて戦うアクションの体裁をとっている。
が、実際にプレイするとシミュレーションゲームのようなプレイ感だ。
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バトルの鍵は「ターン()」と呼ばれる技がにぎっており、ターン()を使用すると周囲が暗くなり、時間が止まる。
そして、プレイヤーは時が止まっている中で自由にスキルを使用し、移動できるのだ。
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Transistorの固有名詞はプログラミング用語を採用している。ターン()はネットスラング的に馬鹿にしているのではなく、プログラム上でファンクションを呼び出すときに使う()から来ている。

行動するたびに画面上の「ゲージ」が減り、ゲージの許す範囲で行動を設定することとなる。
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コマンドを入力し追えると時間が再び動きだし、入力した行動を一気に行う。
行動をすべて終えるまで敵はほぼ行動できないので、ターン()は無類の強さを誇る。
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普通にアクションとして戦うこともできるし、それが効果的な局面もある。
しかし、ターン()を使うことがバトルの基本にあるので、時を止めて効率良くゲージを使い切るシミュレーションのように感じるのだ。
少々複雑だが、敵の背面をとって奇襲したり、上手い位置取りでターン()を発動してみたりと慣れれば戦術性が高くて面白いシステムだ。

1つのファンクションには「アクティブ」、「アップグレード」、「パッシブ」の3つの効果と占有する「メモリ量」が決められている。
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ファンクションをアクティブに設定すると、バトル中に任意で使える。
パッシブに設定すると、何もしていなくても効果を発揮する。
アップグレードは少し特殊で、アクティブのファンクションにくっつけるとアクティブファンクションの効力を上げられる。
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これらは、ファンクションのメモリ合計量がレッドのメモリ量を超えなければ自由に組み合わせられる。
2つのファンクションにパワーアップをつけまくって1点突破型にしてもいいし、さまざまなファンクションを組み合わせて戦っても良い。

一本道を進んでストーリーと世界を味わいつつ、戦術性の高いバトルを楽しむ。
1周でわずか5時間程度のゲームだが、世界観にハマれば濃密な時間を過ごせる。
モバイルゲームとして見ると高いゲームだが、公式動画を見て世界観が気に入ったら手を出して損はないだろう。


唯一の問題は、システムが分かりづらいことと序盤のバトルが退屈なことか。
システムを理解しても、序盤はファンクションが少ない上に敵が弱く、戦術もあまり発揮できない。
2週目になると敵が強化され、かつ1週目の能力を引き継いだまま戦えて楽しいのだが……「2周目からが本番」と割り切るのが良さそうだ。

最後になるが、本作は電車の中で片手間に遊べるゲームではない。
世界観を楽しむゲームなので、十分な時間を作り、できればiPadの大画面を前にしてヘッドホンで最大限にはまり込んで欲しい。
欲を言えば、MFiコントローラーも用意するとさらに良い。よりレッドと一体になって遊べるからだ。

休日を1日使って、一気に遊べれば最高だ。

評価:3.5(かなり面白い)

おすすめポイント
戦術性の高いバトルシステム
淡い色使い世界とゆったりしたBGM
味わい深いストーリー
美しいイラスト

気になるポイント
一本道なので世界観に入れないとツライ
序盤は退屈。

(バージョン1.00、ゲームキャストトシ)

アプリリンク:
Transistor (itunes 1,200円 iPhone/iPad対応)

コメント一覧

    • 1.
    • 2015年06月16日 03:34
    • 一周目でもリミッターを導入した状態だと、終盤かなり厳しくないですか?
      なんとかラスボスまで行きましたけど、どうしても勝てないから最後だけはリミッター全解除しちゃいましたw

      最初は雰囲気ゲーだと思ったんですが、ファンクションの組み合わせを模索して、ターン()中の行動を最適化することで効率良く敵を撃破出来る、なかなか楽しいゲームですね
      「中の人」が誰なのか、二週目だと明かされるんでしょうか?そこらへんは謎のままなのかな
      取りあえず全ての要素を解放する為に二週目行って来ます
    • 2. みたらしだんご
    • 2015年06月16日 13:31
    • レビュー楽しみにしておりました!
      ターン() は説明してもらわないと
      どこかのサイキック坊やの
      「カードを場に伏せて俺のターン()終了だ!」
      と勘違いするところでした

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