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優しさと懐かしさのRPG、『イースIクロニクルズ』レビュー。

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JRPGと呼ばれるジャンルを確立した立役者の1人、『イース』がスマホにやってきた。
今でこそ「RPGなんて誰でもクリアできる」と言われるが、初代イースが発売された1987年、PC向けRPGの難易度はとても高く、選ばれた人間だけがクリアできるゲームだった。

そこに「頑張ってやればみんなクリアできるRPG」を提唱し、「ゲームは優しさの時代へ」というキャッチコピーで登場したのが『イース』だ。
これは難しいRPGに飽きたプレイヤーたちに受け入れられ、以後RPGの難易度は下がっていく……。

本作は、そんな『イース』をリメイクしたPSP『イースI&IIクロニクル』から『イースI』部分を抜き出したものである。
イースファンにお勧めなのはもちろんだが、RPGの歴史的にも遊ぶ価値がある1作だ。

本作は、燃えるような赤毛の冒険家「アドル」の冒険譚を綴ったシリーズの1作目。
見下ろし視点のマップでアドルを操作して戦い、イベントをこなし、古代王国「イース」の秘密に迫るアクションRPGとなっている。
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ゲームの作りとしてはとてもシンプルで、街で話を聞いてイベントを発生させ、その解決を行うイベントクリア型RPG。
イラストは現代風に描き直されており、画面からは古くささを感じないリメイクとなっている。
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フィールドには敵がうろついており、アドルが正面からぶつかると剣を振って攻撃できる。
つまり、敵に向かって「体当たり」するだけのバトルとなっている。
敵の正面から体当たりすると反撃を受けてしまうので、側面や背後から攻撃するのがバトルの基本だ。
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▲HPはその場でじっとしていれば回復する。

「半キャラずらし」と呼ばれる高等テクニックもある。
正面からぶつかっても、キャラクターの軸がずれていれば敵からダメージを受けない。
それを利用して正面から敵をガンガン倒していく戦法である。
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▲実際には正面からキャラクターをずらすより、斜めに体当たりをかけた方がいい。

体当たりで攻撃ができるので、操作はバーチャルスティックのみ。
Dot Emuの移植作品はバーチャルスティックに難を抱える印象があったが、『イースI クロニクル』の移動操作はかなりキビキビしている。
バーチャルスティックの動きには微妙な違和感を感じたが、30分程度遊んだら気にならなくなった。
操作性は、「慣れれば十分楽しめる」範囲だ。

また、ゲーム開始時に難易度が4段階から選べ、Easyはかなり簡単な作りとなっている。
そのため、スマホでのアクション操作が苦手なプレイヤーでも十分遊べる。
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アドルは剣、盾、鎧、リングの4つを装備でき、ボスとのバトルでなければいつでも付け替え可能。
リングをのぞいては後半に手に入るものが強いので、装備を付け替えて工夫する要素はない。
しかし、装備を変えると段違いに強くなるので、「新しいものを手に入れた」感動はある。
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アイテムはメニュー画面で使うのではなく、メニュー画面で装備してから画面右下のボタンで使う仕組みとなっている。
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全体的に見た目や操作感はリファインされて近代ゲームに近いが、システムやイベント構成などの基本は当時のまま。
移動が「ダッシュ」になって早くなり、体当たりバトルも演出が強化されて爽快感が増し、古いゲーム特有の「面倒さ」を感じない。
今プレイしても楽しめるように改良されていて、古いゲーム特有の「面倒」を廃して懐かしさだけを感じられる作りだ。

「PC88版」、PC版の「オリジナル」、クロニクル用アレンジの「クロニクル」の3種類のBGMを選択できるだけでなく、キャラクターイラストも近代風の「クロニクル」とPC版の「オリジナル」の2つから選択できるファンサービスもある。
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▲個人的にはPC版のイラストが好きだが、古さは否めない……これが時代の流れか。

ただ、PSP版の移植なので動画やドットの粗さは気になる。
せっかくなので、色合いや動画、イラスト素材を調整して欲しかったが……それは欲張りというものだろうか。
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▲他のリメイク版を持っていれば、無理に遊ぶ必要はないかも。

最後に少しだけ気になる点を書いてしまったが、本作はイースファンには間違いなくおすすめだ。
筆者にとってはPC Engine版以来の『イース』なのだが、1980年代ファンタジーの空気感とPC8801の音源がそのまま青春だったので、懐かしさに浸りまくって遊べた。
遊びやすく修正されているので、今プレイしても快適に楽しめる。

また、「ゲームの歴史を感じたい」と思っている方にもおすすめしたい。
古いゲームの空気感を残しつつ、今プレイして面白いゲームは少ない。
現代のRPGよりも少し不親切とはいえ、1980年代のファンタジーの空気感や音楽の良さを堪能できるはずだ。

初期バージョンでは日本語が一部おかしかったり、ダームの塔で進行不能になるバグがあったりで良くない噂を聞いた方も多いと思う。
しかし、バージョン1.01ではこれらが修正され、現在は普通に遊べるので安心して購入して欲しい。
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▲タイトル画面のあれは相変わらずだが……。

評価:3.0(面白い)

おすすめポイント
体当たりなのに爽快感のあるバトル
1980年代懐かしのファンタジーの空気感
PC88版のBGMやPC版のイラストも選べる

気になるポイント
良くも悪くも昔のゲーム
イラストや動画は画質を上げて欲しかった

(バージョン1.01、ゲームキャストトシ)

アプリリンク:
イースIクロニクルズ (itunes 600円 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)

 コメント一覧 (8)

    • 1. 名無しのメガドライバー
    • 2015年04月30日 01:06
    • DotEmuの平常運転っぽい移植だけども、ファルコム作品とは言え600円は安いなーと。
      今のご時世だと、値段たけぇとか言われそうだけど……。

      私の原体験はMSX2版とセガ・マスターシステム版なので、PSGも入らないとって感じですが。

      隠しボスとかで、偽ダルク・ファクトとか入ってたら笑えるけど、流石にそれは無いだろうなぁ。
    • 2. オールドゲーマー
    • 2015年04月30日 02:40
    • 優しさ元祖なのは、パソコンゲームにおいてではあったけどね。
      DQやFFなど、ファミコンのゲームが頑張ればクリアできるのがでてきたけど、パソコンゲームは相変わらず難しかった時代。

      とはいえ、DQ1もイース1も、今の基準だとつまり易いポイントは多い。
    • 3. 通りすがり
    • 2015年04月30日 12:47
    • > 半キャラずらし」と呼ばれる高等テクニック

      ケチを付けるようでなんですが、高等テクニックじゃなくて必須テクでは?
    • 4. ああああ
    • 2015年04月30日 12:52
    • iOS版が600円なのにAndroid版は500円なんですね。iOSでは600円を選べないからだとは思うけど、それならAndroidを合わせろよと。
    • 5. 管理人
    • 2015年04月30日 15:06
    • ▼オールドゲーマーさん
      おっしゃる通りですね。少し修正させていただきました。
      ご指摘ありがとうございます。

      ▼通りすがりさん
      クロニクル版では斜め攻撃でやり過ごせるので、半キャラずらしは必須ではないと判断しました。
    • 6. 対処法
    • 2015年04月30日 22:04
    • 3 ダームの塔11階の回廊で落ちる奴、前もって柱を壊してから回廊に行けば落ちずに進めます。でも、これは直して欲しいですね。
    • 7. 管理人
    • 2015年04月30日 22:41
    • ▼対処法さん
      情報ありがとうございます。
      無事クリアできて、記事に追記させていただきました。
    • 8. 華英雄
    • 2017年06月27日 00:50
    • 4 コウモリの奴め相変わらずイラっとするわ!攻撃可能なタイミングは0.5秒しかおらず、タッチパネルで画面の一部も見えなくて当たりが外れて更にブツブツ ブツブツ...
      でも〜 コウモリを締めた際に、ラスボスを倒す以上の爽快感を感じた!

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