CHAOS RINGS Ⅲ レビュー - 40時間、飽きる暇なし。スクエニの本気を見られる大作RPG。
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- 2014年11月02日
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- 評価9|

いきなり結論から書く。
『CHAOS RINGS III』は、スマホの大作RPGとして有名な『ケイオスリングスシリーズ』の中で、最も楽しめた。
クリアするまで40時間以上もの長丁場を、ずっと楽しく遊び続けられて満足している。
完璧な作品ではないが、1本のRPGとしてとても面白い。
iPhoneで日本風のRPGを1本やりたいなら、この『CHAOS RINGS III』が最もおすすめの1作と言っていい。
今作の舞台となるのは広い星「マーブルブルー」。
まぶしいほどに鮮やかな色使いで、生命の躍動感を感じるマップとなっている。

マーブルブルーには豪雪地帯や大樹など様々なマップがあり、新しいマップに行くたびに地形が変わって目で楽しめる。
最先端のスマホの性能をフルに使っているわけではないが、アートのセンスを注ぎ込んだグラフィックはとても美しい。

▲過去作ではマップの使い回し感があったが、今作はマップが多くて使い回し感が低減している。
鮮やかで広々としたマップに合わせるように、シナリオも変わっている。
今作はイラストレーターに小幡怜央さん(拡散性ミリオンアーサーのメインイラストレーターのNilさん)を採用し、シナリオも今風のライトな空気感だ。

しかし、1章を終えるとシナリオはどんどん加速し、後半に行くほどにケイオスリングスらしいテーマ性が見え隠れする。
BGMもシナリオをうまく盛り上げていて、終盤の盛り上がりも素晴らしい。
過去作と同じ雰囲気を求めている方は序盤のライトさに面食らうかもしれないが、進めていけばシナリオも楽しめるはずだ。

今作はシステム面でも大きく変化している。
『CHAOS RINGS III』は基本無料のRPGとして作られていたが、「このゲームは無料で遊べすぎる」という理由で有料に変化した珍しいゲームだ。
発売前にこのことが明かされたとき、「どんなゲームになるんだ」と不安になったが、蓋を開けてみてびっくり。
重厚なRPGの仕組みにスマホゲーム的なテンポの良さが加わってとても面白いRPGになっていた。
今作では【シナリオモード】と【バトルモード】の2つにゲームが分かれている。
普通のRPGとしてシナリオを進めたいときはシナリオモードを、単にバトルだけを楽しみたいときはバトルモードをいつでも切り替えて遊べる。
そのため、「バトルモードでランキングを競ったりする謎のRPGになるのでは」と不安になっていたが…

バトルモードは、フルボイスの実況つきでバトルを楽しみ、アイテムを獲得できるだけの1人用モードだった。
あくまでお楽しみ要素で、バトルモードで遊ばなくてもシナリオの進行には問題ないが、『幽遊白書』のトーナメントのようなノリで解説がつき、息抜きとして遊ぶモードとして機能していた。
バトルシステムは、前作よりテンポが良くなり、システム的にも深くなっていて、大幅に進化した。
今作では3人パーティーで戦うため、2人組で戦っていた前作よりも戦術に幅ができて純粋に面白くなった。
しかも、演出のテンポが信じられないぐらい良い。
3人パーティーになったのに、2人パーティーだった前作と変わらない軽快さでサクサク遊べる。

ケイオスリングスのバトルシンボル、【Breakゲージ】も健在だ。
Breakゲージはバトルの流れを示しており、攻撃をするたびにプレイヤー側に、攻撃を受けるたびに敵側に傾く。
優勢時はプレイヤー側の力が増大するので一気呵成に攻め、劣勢時は敵の力が増大するので堪え忍ぶ。ゲーム独自の展開も健在。

ただ、今作ではBreakゲージの状態によるダメージ増減が少なめで「劣勢になった瞬間に即死」というバランスではなくなった。
その代わり、敵の弱点属性で攻撃するか、クリティカル攻撃を当てた直後に物理攻撃をすると必殺技が炸裂するシステムが追加され、行動順や敵の弱点を突く戦術がより重要になっている。

もう1つ大きな変化は、成長システムだ。
過去作までは、キャラクターは独自にレベルアップし、ジーンを付け替えると魔法や技が変化するシステムになっていた。
しかし、今作ではジーンにレベルと能力値があり、ジーンをつけるとキャラクターの能力がジーンの能力を継承するようになった。
なお、SRなどのレアリティがあるが、貴重さと言うより成長度合いの目安なのでガチャゲーではない。

このジーンは『女神転生』の合体システムに近い合成システムを採用しており、複数のジーンを合成すると、元のジーンの特技を受け継ぎつつほかのジーンに変化する。
それ自体はいいが、合体時にジーンのレベルが落ち、メインのジーン合成後はパーティーが一時的に弱くなってしまう。
ジーン同士を合成してレベルを上げる【パワーアップ合成】システムもあるが、そこに使うほどジーンはあまらないので、このあたりは配慮して欲しかったところだ。

また、ジーンのレベルのほかにキャラクターの装備、ジーンのコンプ率に合わせて上昇する【パーティーレベル】などの要因でも能力が変化するため、成長システムの把握が面倒になっている。
理解してしまえばいいが、システムの複雑さに関しては基本無料ゲームの悪い点が出てしまっている。
そして、変化ではなく新規に追加された【オンスコインシステム】は、賛否両論のようだ。
このシステムは【オンスコイン】というアイテムを集めると、専用のショップで強力なアイテムを購入したり、10日間経験値や金が1.5倍になるVIP兼を買ったりできるもの。
このシステムが基本無料ゲーム的で気に入らない方もいるようだが、ゲーキャスはこのシステムが好きだ。

このゲームには課金がないので適度にオンスコインが手に入り、部分的に強力なアイテムを購入してバランスを壊すチートっぽさが楽しい。
なお、オンスコインで序盤を楽にすることはできるが、後半は楽勝とはいかない。オンスコイン前提でちゃんとバランスもとられている。
ただ、金の宝箱システムだけは気になった。
まれに、強力なアイテムの入った金の宝箱が出現する。これは金の鍵(オンスコイン2枚で購入)で開けられ、実質的にガチャの役割となっている。
これ自体はいいが、金の宝箱と差をつけるためか通常の宝箱の中身がショボく、マップ探索の楽しみが減っているのだ。

その点を除けば、オンスコインシステムはとてもいいと思う。
言ってしまえば、できることが多い「小さなメダル」システムになっていて、オンスコインを自由に使ってゲームを攻略していく楽しさがあるのだ。
シナリオは後半に向けてどんどん盛り上がるし、バトルシステムは面白くなって、テンポも良くなった。
気になる点はあるが、全体的に言えば、これ以上テンポが良くて面白いJRPGは App Store にはない。
大ボリュームは40時間以上を、飽きずにプレイし続けられたのがその証拠だ。

▲我が家では主人公はトシです。
過去作は「今の時代のスマホでこのビジュアルでゲームできるのか!」という驚き込みの点数だったが、今作は単純にゲームとして良い。
RPGが好きなら絶対試して欲しい。プレイすれば、2,800円という価格が安く思えるだろう。
なお、本作はPS Vita版も出ているが、iPhone5 以上を持っているなら iPhone版がおすすめだ。
Retina対応の画面なので iPhone で遊んだ方がキレイだし、ロード時間も短くて快適になっている。
評価:9(買うべき)
おすすめポイント




気になるポイント


(バージョン1.0.1、GCドラゴン)
アプリリンク:
CHAOS RINGS Ⅲ (itunes 2,800円 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)
動画:
コメント一覧 (6)
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- 2014年11月03日 00:31
- 友だちに勧められてVita版を買いましたが、iPhoneのがキレイなんですね。
面白かったので今から買い直して2周目始めました。
このゲームはもっと売れていいと思うんですけどね
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- 2014年11月03日 04:07
- よりオタク向けの絵になって、対象ユーザからはっきりと省かれたと感じた。2も主題歌でドン引きだった。同じ人はいるかな?
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- 2014年11月03日 09:47
- iPhoneの方が綺麗なのは解像度と後期機種の方が純粋に性能が上に尽きるんですよね
世代関係については完全にiPhone4S移行の方が格上なのでVITAでは太刀打ちはもう厳しいでしょう
元々iOSに最適化されてるのもあるんでしょうが
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- 2014年11月03日 16:38
- >>通りすがりさん
2は主題歌がイマイチでしたね。私も同じ感想です。
しかし、3は日本語の歌を前面に押し出していないので、音楽で言えばシリーズ最高という印象です。
ストーリーも面白いので、初代に及ばなくても3は好きですね。
どう考えても、2より良いです。なので、イメージで毛嫌いせずにやってみるといいかと。
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- 2014年11月28日 15:11
- 声優ゲームに抵抗がある自分としてはエルルの声が耳障りだった。
ただ、それ以外は完璧。残念なのが、ドライ6を今作で倒せなかったこと。次回作が待ち遠しい。
これって課金入れようと思ったら色々な所に入れられそうだから、有料にして良かったと思う。