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Card Dungeon レビュー - CGなのに上質なモノ感。ボードゲーム風ローグライク。

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『Nethack』のようなローグライクゲームは面白い。
しかし、本格的なローグライクの多くは見た目が弱く、アイテム管理やコマンドが複雑で気軽に始めるのは難しい。
そこで、アナログゲームのようなビジュアルでプレイヤーを引き込み、面倒なコマンドやアイテムの持ち替えを廃した、入門向けローグライクとして作られたのがこの『Card Dungeon』だ。

さて、冒頭で述べた「見た目で人を引き込み、簡易なシステムで遊ばせる」チャレンジの結果はどうだったかというと、少なくとも半分は成功していると言える。
紙のコマや、ボードの質感を再現したグラフィックはアナログゲーマーの興味を引き、リリース前からこのゲームは注目を浴びた。
そして、発売と同時に多くの国のストアで有料ゲームのトップや上位に並んだのだ。

実際にプレイしても、コマの動く音までアナログ感にこだわっていてとても満足感が高い。
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音楽も雰囲気がありつつも聞き飽きず、とても良い。

ゲームについても、また面白くできている。
プレイヤーは、スタート時に「長所」と「欠点」を1つずつ選んでキャラクターを作る。
最初は長所も欠点も1種類しかないが、冒険して「知識の石」を手に入れるとだんだんと増え、キャラクターをカスタムできるようになる。
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キャラクター作成が終わると、いよいよメインとなるダンジョン探索の開始だ。
7つのダンジョンを踏破し、ドラゴンを倒せばこのゲームはクリアとなる。

ダンジョンの操作はシンプルに作られており、移動と画面下の3つのカードを使うほかの操作はない。
「アイテム」だとか「魔法」だとか、そういったコマンドはすべて画面下のカードに集約されている。
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▲移動は、タイルをタッチするだけ。

カードには単純な攻撃、罠を外すなどの行動から、テレポートや雷の魔法、神の奇跡まで、およそあらゆる行動が記されている。
カードの左下には消費MPが青く記されており、強力なカードほど消費MPが大きい。
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▲poor、common、fine、superiorまで4段階のレアリティがあり、同じカードでもレア度が高いほど強い。

しかし、MPは1ターン休むと5も回復するので、計画的に使えばMP切れにはならない。
それよりも、カードの管理することが大変だ。
カードには多くの種類があるが、同時に3枚までしか持ち歩けないからだ。
例えば、バトルで重要な「攻撃・防御・回復」この3つのカードをそろえるとトラップ解除ができない。
プレイヤーは、手持ちカードに足りない要素をフォローするように行動し、戦わなければならない。
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しかも、強いカードをそろえたらそれで終わりかというとそうではない。
カードは使う度にボロボロになり、最後には使えなくなってしまうのだ。
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ダンジョンで【赤い杯】を見つければカードの使用回数は復活するが、いつかカードは使えなくなる。
そのため、強力な切り札を温存して、普段は使い潰せるカードで戦うようなリスク管理が必要だ。
切り札がつきると苦戦は必至で、突然緊張の展開がやってくるのもこのゲームの面白さだ。
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▲なお、主人公コマの位置に示される青い数字がMP、赤い数字がHP。

また、まれにカードではなく、装備が出てくることもある。
武器であれば「命中率を上げる短剣」とか「単体攻撃を範囲攻撃にするワンド」など、カードの効果に影響を及ぼす。
防具は「防御力」や「回避力」を上げたり、HPとMPの上限を上げたりする。
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装備は装備したらなくならないので、装備を拾い集めてキャラクターの方向性を固め、それに合わせてカードを集められるようになると、プレイが安定する。
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7つのダンジョンにはそれぞれ3フロアが用意されており、それぞれのフロアにはボスが待ち構えている。
このボスを倒すと次のフロアに進む階段が出現する。
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▲ダンジョンが変わると敵の出現傾向や、ドロップするカードも変化し、進むほどにゲームの展開が変わる。

全体として、個性豊かなカードと装備を整える「アイテム集めの楽しさ」、劣化していくカードの管理する「ゲーム独自の面白さ」が融合していて、ゲームの土台は面白くなっている。

ただ、現状では手放しで褒められない。
まず、説明が不足と画面の見づらさ。
このゲームの操作説明は、吹き出しで小さく説明されるだけ。しかも、iPhoneの小さな画面では読みづらいサイズなので見落としがちだ。
例えば、下の図では敵が近くにいるのに一切見えていない。
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しかし、2本指で円を描くようにジェスチャーすると、視点がぐるりと回転して見やすくなる。
ゲームでは重要な点なのだが、最初に説明を見落とすと「視点が見づらい」とかレビューに書かれてしまう。
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▲キャラクターの残りHPとMPはこの角度から見えない。モノ感にこだわるのはいいけど、ここは見えるようにして欲しかった。

この記事を見た方はシステムや操作方法に困らないと思うが、それ以外でも難点が2つある。
1つはアプリが落ちやすく、落ちた後は最後に入ったフロアからやり直しになること。
ボスを倒した後に落ちるとかなり辛い。

また、敵の行動が遅く、大量の敵が画面に出ているとゲームのテンポが悪くなる点も気になる。
致命的ではないし、基本的なシステムは面白いので楽しいのだが、「もっと面白くなれるのになぁ」と思うと残念な点だ。
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現時点ではやや難点もあるのでアナログゲームが好きで、その雰囲気を楽しむだけで満足できる方にしか勧められない。
ただし、今後大幅なアップデートが予定されているので、欠点についても解消が期待できる。
2014年10月5日現在、リリース記念で半額となっているので今のうちに買っておくのも悪くない選択だと思う。

評価:2.5(価格通りに楽しめる)

おすすめポイント
アナログゲームのような質感
上質の音楽
カードの管理が楽しい

気になるポイント
落ちたらフロアの最初からやり直し
操作説明などが不足している
敵が多いとテンポが悪い

(バージョン1.0、GCドラゴン)

アプリリンク:
Card Dungeon (itunes 200円 iPhone/iPad対応)

動画:


2014/10/5 16:55修正:
回転処理について「説明がない」という記述を修正。