課金：なし
開発：Spike-Chunsoft CO, LTD.
評価：2.5（価格通りに楽しめる）
＋ 名作と言われたストーリー。
＋ 繰り返しプレイが快適なシステムの充実と操作。
＋ 臨場感あふれるサウンド。
－ もとのゲームの独特の雰囲気がなくなった。
－ 電子書籍と同じスタイルの文章表示。
文字に加えてサウンドとイラストの演出でストーリー語られ、ときおり現れる選択肢を選んで進んでいくアドベンチャーゲーム“サウンドノベル”。
中でもスーパーファミコン(以下SFC)で発売された『かまいたちの夜』は、発売当時としては飛び抜けたクオリティで、このジャンルの金字塔といってもいい作品。
昔、プレイして思い出に残っている方も多いのではないだろうか。
そして、今回紹介する『かまいたちの夜 Smart Sound Novel』はそのリメイク作品となる。
ストーリーなどはSFC版を踏襲しているが、リメイクにあたって細部を現代風に修正。
猛吹雪で外部から隔離されたペンションを舞台にしたホラーサスペンスというところは変化していないが、持っている携帯電話がスマホになったり、主人公が大学生ではなく契約社員だったりと細かい設定や小道具が変更されている。
オリジナルのファンとしてはちょっと複雑かもしれないが初めてプレイする人が違和感を感じないですむように配慮されている。
画面構成はメッセージウィンドウに人物のシルエットというスタイルから一変し、高解像度の写真をバックに、ブログや電子書籍風に読み進めるスタイルへ変化。
ページを上下スワイプしてストーリーを進め、次ページへ進むには画面の下でさらにしたスワイプするか、画面左右をタッチするだけ。
一新されたサウンドはiPhoneのスピーカーで聴ける以上に作りこまれており、ヘッドホンをつけて聴くと臨場感ばっちり。
むしろ、ヘッドホンでプレイしないと面白さ半減という勢いだ。
▲文字を音が助ける。これぞサウンドノベル！！
すでに進めた章の頭からプレイできる目次機能や、セーブスロットを分けてのオートセーブなどの便利機能が充実しているほか、ページをどんどん飛ばしていける快適操作のおかげで繰り返しプレイがサクサクできるのも特徴。
お手軽なプレイ感、と言う意味でスマホ向けにきっちり作り直したことが見て取れる作りだ。
▲自由にセーブも可能。
オプションで文字のサイズや明るさの設定が可能、文字はフォントも明朝とゴシックを選ぶことができ背景の写真で見づらいといった場合も調整可能。
残虐表現の強弱を選ぶことができるが、これは死体などがボカして見えるかくっきり見えるかといった感じ。
こういったところにも電子書籍風を狙ったというのが見て取れる。
ゲームはプレイヤーの選択によって分岐するマルチエンディング方式で、1プレイの時間は長くはないものの、初回のプレイでは表示されない分岐やおまけシナリオを含めるとボリュームもかなりのもの。
色々なエンディングやアナザーストーリーを楽しむゲームに仕上がっている。
▲多彩な選択肢で分岐
全体としてSFC版に比べてサウンドもよくなり、スマホでサクサクプレイできているということで感触はいいのだが、1つだけ難点を言えば個人的には怖さは下がってしまったように思う。
理由は2つ。
1つ目はグラフィックの変化。
今回はシルエットを廃止したことで、「得体のしれない人型が近づいてくる」感じや、臨場感が落ちてしまっていること。
SFC特有のグラフィックの粗さが想像力をかき立てていたという所があったが、それが無くなってしまったようにも思える。
2つ目は文章の表現方法の変化。
SFC版は文字が順番に表示されていくことが主人公のリアルタイムな葛藤やドキドキ感を感じさせていた。
が、今作ではページ切替時のみの演出となり、その感覚が足りない。
▲カーテンが風ではためいたりと演出面で頑張っているのは分かるが、SFC版がすぐれている部分も
それでも名作のストーリーはほぼそのままで、サウンド面ではより良くなっているので1000円と考えれば悪くはない。
少なくとも、少なくともiPhoneの安いノベルを3本分の値段で、安ノベル3本よりよっぽど楽しめるはず。
当時プレイした人もサクサクプレイしつつ昔を懐かしむことができるつくりに充分なっていると思う。
ただ、それでもやっぱり焼き直しであり、最近のチュンソフトによる大作サウンドノベルは遥かに完成度が高いので、少し値段が高くても『４２８ ～封鎖された渋谷で～』などがサウンドノベル初心者にはおすすめ。
アプリリンク：
かまいたちの夜 Smart Sound Novel (itunes)1000円
iPhone/iPadの両方に対応動画：
