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レビュー:『FINAL FANTASY V』 名作がスマホ向けにきっちりリメイク。スマホFF史上最高作品。

FINAL FANTASY V 1,800円 iPhone/iPadの両方に対応
開発:スクウェア・エニックス
評価:3.5(かなり面白い)
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自由度が高く、工夫のしがいがあるバトル。
快適なオートバトル
オートセーブが強力
値段に見合ったボリューム
キャラ絵がミスマッチ
FFファンの間でも人気が高い『FINAL FANTASY 5』(以下FF5)。
そのリメイク版がiPhoneに満を持して登場。
今回はGBA版をベースにしており、その追加要素も楽しむことが可能だ。

FF5の魅力、それは“自由なRPG”ということ。
JRPGとも呼ばれる日本的RPGは「北に行くと◯◯があるのじゃ」と目的地をしめされ、ただまっすぐその場所に行く作業感のある“レール型”の展開にハマってしまうといわれる。
FF5もJRPGであり、ストーリー上でとるべきルートは1本道。
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▲ストーリー展開至上主義

しかし、行く先々の街を散策して宝やちょっとしたイベントを見つけたり、時には目的地を探して次に行く場所を探すことになる。
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そのちょっとしたイベントや積み重ねが楽しくて、目的地は1つなんだけども“レールに乗って進んでいる”というよりも“ゲームの世界を旅しながら次に進んでいる”気分で、プレイヤー主体でゲームが進んでいる感覚を味わえる。
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▲空を飛べるようになった瞬間、突然選択肢が広がる…ように感じる。

最近海外で流行っている、オープンワールド系のRPGのようにどこでも行けるわけではないが、プレイヤーが楽しく自分で行きたい場所に行っていると感じられれば、それはもう1本道ではないというのが自分の意見だ。
1本道でも、1本道と感じずに自由な気分で遊ぶことができる。
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▲プレイヤーが選んでいる感じがすればいいのだ。

バトルの自由度も非常に高い。
このゲームではその時々の状況でジョブ(職業)を変更できる“ジョブシステム”を採用しており、スク無しにジョブを切り替えることでキャラクターの能力を変化させることが可能。

例えば、ボスが魔法しか効かない相手ならば、ダンジョンは戦士で攻略してボス戦だけ全員魔法使いにすればいい。
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▲ジョブは戦闘中でなければ好きに切り替え可能。

ジョブを使い続けているとAP(アビリティポイント)がたまり、ジョブに合わせた“アビリティ”を習得し、他のジョブを選択している最中にそのアビリティを装備して使えるようになる。
つまり、「戦士に忍者の二刀流を使えば攻撃力2倍!」など、カスタマイズを楽しめてこれがなかなか楽しい。
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さらに、特定ジョブのアビリティを全て覚えるとマスターとなり、基本ジョブである“すっぴん”にその能力を引き継ぐことが可能。
たとえば、シーフと戦士をマスターすると素早くて戦士のように力強い“すっぴん”になり、ゲーム終盤では“すっぴん”で戦う方が強くなる。
そこで「じゃあ、ラストまでにどのジョブをマスターさせていくのか」というカスタマイズの面白さを生み、ゲームの序盤から最後までそれが続くわけだ。

普通のRPGではキャラクターのレベルを上げて、一定以上なければ先に進むことは難しい。
が、このゲームではジョブのアビリティや装備の能力の比重が高く、ボスに合わせた攻略方法を試すことで、レベルに関係なくクリアしていくことが可能。
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▲エルフのマント。防御力は低いけど、特殊効果があって最後まで重宝する。

RPGには「ボスには◯◯が絶対効かない」というお約束があるが、FF5ではかなり凶悪な攻撃もボスによっては効果がある。
極めたプレイヤーならボスをハメ殺してほとんどレベルを上げずにクリアするような芸当も可能。
このゲームでは戦闘もプレイヤーの創意工夫する自由があるわけだ。
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▲ボス戦も工夫次第で楽勝に。

というように、冒険と戦闘の自由からなるゲームは面白い。
じゃあ移植はどうだ?
というのがもう1つ気になるところ。

FFシリーズといえば国民的人気RPGシリーズだが、スマホではいまいちぱっとしないところがあった。
FF1と2はスマホゲームとしては完全にイマイチ。
FF3とFF4はDS版を移植してきたため、ボリュームや作り込みの面で他のスマホRPGを圧倒しており、値段にたいするお得感は大きかったが、スマホでプレイすると考えたときに完全に快適とは言いがたかった。

が、今回のFF5は完全にスマホ向けに作り直されており、圧倒的に快適。
まず移動に関してはおなじみのどこにでも現れるアナログスティックで、斜め移動もできるようになっている。
以前のFFの4方向移動よりもだいぶ快適に動けるようになった。
あとは半マス分位の障害物にぶつかっているときは自動で滑る補助などがあれば合格だったのだが、及第点までいっている。
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▲ななめ移動可。

バトルパートでは、オート戦闘を追加。
全員がただ攻撃をするだけでなく、直前に行った行動を繰り返す形式なので多少複雑な行動もできる。
さらにオート戦闘中はバトルスピードが上がってサクサク終わる。
オート戦闘を使ってOKな雑魚戦はスピーディーに、ボス戦はじっくりとバトルすることができて、ストレスがない。
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▲オートバトルは超快適。

また、徹底的に行われるオートセーブの強力さもポイント。
マップを切り替えたときとバトルが終わったときにオートセーブが行われ、全滅してもそこからやり直せる。
FF5は現在の基準に照らし合わせるとバトルが比較的難しいRPGで、パターンを知らなかったり、防御を怠ると全滅もありえるRPGだ。
だが、携帯でプレイしていてはなんどもセーブ地点からやり直しは辛すぎる。
オートセーブによってやり直しのストレスから解放されている。
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▲レベル5デス…レベルが5の倍数だと即死…。

のみならず、試行錯誤でボスを倒していくチャレンジもやりやすくなっており、楽しさにも貢献していると言えるだろう。

気になるところがあるとすれば、キャラクターグラフィック。
FF5はコミカルなキャラクター演出が多く、メッセージウィンドウに現れる天野絵とはいまいちタッチが合わない印象がある。
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▲ON/OFFできれば良かった…。

あとは左右の帯を消すことができれば最高、というぐらいか。

グラフィックに関しては、バッツの立ち絵が一般人ぽいとネットで話題になったが、実際にFF5のバッツはプレイヤーが自己投影できるように無個性になっているという側面があるように思える。
なので、これはこれでいいのではないだろうか。
欲を言えば『FINAL FANTASY All the Bravest』のようなドット絵が良かったが、慣れてしまえば十分なグラフィック。
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▲戦闘中は別に気にならない。

他のキャラクターについては問題を感じないし、少なくとも、オリジナルのイメージを大きく損ねることはない。
キャラクターの動きもよくなるなど演出は強化されている部分もある。
そして、FFファンの間でも評価の高い音楽はそのまま。
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面白いRPGが、現代の人間でもプレイできる改良を加えてスマホに蘇った、というのが自分の印象。
ボリューム、内容、全体を通してスマホのRPGで屈指の内容と言っていいだろう。
1800円が高い?
いやいや、これなら安いよ。
今回のFFは自信を持っておすすめするナイス移植だ。

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FINAL FANTASY V 1,800円 iPhone/iPadの両方に対応

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