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レビュー:Grand Theft Auto:Vice City 作りこまれた世界が引き起こす、偶発的かつ圧倒的な楽しさ

Grand Theft Auto: Vice City (itunes 500円 iPhone/iPad対応 / GooglePlay 450円)
開発:Rockstar Games
評価:3.5(かなり面白い)
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1980年代アメリカの沿岸都市を再現した雰囲気
芸の細かい街の人の動きや反応の作り込み
さまざまなミッションや隠し要素を見つけるのが楽しい
マフィア題材の犯罪に関わるストーリーなので、向かない人もいる。
中盤以降難易度が高めなので気軽にはプレイできない
麻薬や殺人など犯罪的な内容を扱った“クライムアクション”として有害図書指定されるなど問題視されつつも、“オープンワールド系”(広い空間で自由に遊べる)ゲームとして世界的に大ヒットした『グランド・セフト・オート』シリーズの4作目。

他のゲームと一線を画すのは何と言ってもそのストーリー。
海岸の街 Vice City で主人公トミーがマフィアの一員として非合法な仕事をこなしていくミッションクリア型のゲーム。
イカれた登場人物たちが、平然と悪事を依頼してくるのは普通のゲームではありえない内容。
今作では主人公は悪人であり、善良な市民を殺すミッションもある。
そのような話が嫌いであればまずプレイすべきではない。
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▲一般人を交通事故に見せかけて消す、などは朝飯前

そして、もう1つ語っておかなければいけないのが自由度に動き回れる広いマップ。
今回は1980年代のアメリカを意識した架空の街が本当にいい雰囲気で作られている。
街を走っているドライブしているだけで、なんとなくいい気分。
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車に乗ると流れるラジオや音楽も当時の雰囲気を再現しており、TOTO の Africa(実在するUSの音楽)を聴きながら走るのは格別な良さがある。
オリジナルのプレイリストにも対応しており、“VICECITY”という名前でプレイリストを作っておけばプレイヤーが用意した音楽を再生することもできる。

ゲーム中に出てくるものには現実の物理法則をシミュレートする物理エンジンが組み込まれており、車が衝突すれば玉突き事故を起こしたりもするし、電柱が壊れたりもする。
登場人物は AI でさまざまなリアクションを返し、車を避けたり、街なかで喧嘩を始めたりするのはもちろん、長くプレイしていても「えっ、こんなことに反応しているのか!」と驚く小ネタが大量に仕組まれている。

例えば、今回 iOS 版をプレイしてはじめて知ったのがやじうま AI。
爆発事故を起こしたところ、周囲の通行人が集まり、ドライバーが車を降りて事件現場をのぞきに集まる。
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▲こんな作りこみが…。死体はさすがに避けないけども。

また、道行く車から人を引きずり出して車を盗んだり、通行人を殴ったり撃ち殺したりも自由。
他のゲームでは特定のミッションでだけこういった行動が行えるものだが、このゲームではできることは全ていつでもできるのだ。
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ただし、やりすぎるとミッション中でも警察がやってきて逮捕されてしまう。
場合によっては射殺もありうるので注意。
こういったところも現実と同じである。
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ミッション中にも通行人が意外な反応を見せる影響で大事件が起きてしまい、警察がやってきたりする。
「おい、なんでそんな AI の反応作り込んでいるんだよ!」
と悪態をつきつつ、その作りこみににやりとするのがこのゲームの正しい楽しみ方。
犯罪的なストーリーをこなしていくゲームという面と、奇妙なまでに作りこまれた街を楽しむという面と、2つが渾然となって楽しめるのだ。
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▲ミッション中に街の人の動きで予測不能な展開が生まれることも…。

操作はアナログスティック+ボタン。
乗り物に乗っているときは左右キー+アクセルなどのボタンとなる。
そこまでやりづらくはないが、車に乗っているときはボタン以外の画面を長押でバックミラー画面になるので、ボタンの位置と指がずれると事故が起きやすいのが難点か。
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▲結構事故る

前作である『Grand Theft Auto:3』との差は新規サブミッションが追加されたこと、ヘリコプターなどの乗り物が追加され、街の中での遊びに幅ができたことか。
マップなども前作よりわかりやすくなっており、前作より遊びやすくなっている印象がある。
大枠では変わらないが遊びやすくなっているので、どちらから遊ぶか選べと言われるならば Vice City がおすすめだ。
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そして、毎回話題になるゲームロフトのGTAこと『ギャングスター:RIO』との比較では、圧倒的にこちらのほうが面白いと感じた。
人物のグラフィックやストーリー、操作性やシステム的な遊びやすさでは『ギャングスター:RIO』が優っている部分もある。
だが、街の作り込み、人々の反応、ラジオの雰囲気、町並みのリアルさなどこのゲームの核となる“オープンワールドとしての楽しさ"が圧倒的に Vice City の方が上。
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▲一部の建物の中がちゃんと歩けるのもまたいいところ。

動作は iPhone 4S 以上、iPad2 以上であれば軽快で、特に問題は感じない。
それ以外の対応端末ではグラフィックの質が落ち、iPod touch 4G ではかなり落ちる頻度が高く感じた。
個人的に気に入っているのはクラウドセーブ。
セーブが iCloud に対応しており、外で iPhone 、家で iPad などという遊び方ができる。
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前作『Grand Theft Auto 3』は初めて3Dになったシリーズで、衝撃的ではあったけどもこなれていないゲーム、と言う印象で遊びやすくはなかったように思う。
犯罪などの表現が嫌いでなく、シリーズに興味が有るのであれば遊びやすくなっているこちらをおすすめする。
評価としては iPhone ではギリギリ3.5(文字が小さく見づらいのと迫力の面で)、 iPad であれば文句なしで3.5だ。

(ゲームキャストトシ Ver1.0)

アプリリンク:
Grand Theft Auto: Vice City (itunes 500円 iPhone/iPad対応 / GooglePlay 450円)

動画: