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レビュー:[RPG] Wicked World #1 受け継がれるWizardryの系譜、マゾゲーマーに超おすすめ

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タイトル [RPG] Wicked World #1
ジャンル RPG
価格 170円
アプリ内購入 なし
日本語対応 あり
販売元:アエリア | Version:1.0 | GameCenter:なし | 対応機種:iPhone / iPod touch / iPad |レビュアー:トシ
評価:2.5(価格通りに楽しめる)
独自の戦闘システムと魔法システムは工夫しがいあって楽しい
Wizardryを初めてプレイするときのような緊張感
キャラクターが成長していくのが楽しい
操作が最適化が不十分
現段階ではバグに遭遇する
人によっては難易度が厳しすぎる
テキストとワイヤーフレームのみで構成された、3Dダンジョンで繰り広げられるハック&スラッシュ系(敵を倒して強くなっていく)RPGの元祖『Wizardry』(以下、Wiz)。
これがはやった当時は今のようにゲーム機はただゲーム機ではなく、プログラムを打ち込んでプレイする時代で、Wizにはまったゲーム少年たちが次に行うのはクローンゲームの作成。
当然、ゲーム内容の改造で「俺ならこうするね!」とダンジョンのマップを改造したり、新システムを導入してみたりと様々な[俺Wizardry]が見られた。
今回紹介する『[RPG] Wicked World #1』もそんな、[俺Wizardry]直系のゲームである。

キャラクターを作ってパーティーを組み、3Dダンジョンを冒険していくRPG。
ストーリーを感じさせるものはちょっとしたテキストがあるのみで、イラストや音楽などの装飾は一切なし。
ダンジョンを探索してキャラクターを成長させて先に進むことを楽しむ、ハック&スラッシュRPGの根源的な面白さだけに注力したゲームになっている。
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キャラクターメイクでは人間やエルフなどの6種類の種族と、戦士や盗賊など7種類の職業を組み合わせて作成するが、[年齢]という要素を強力に押し出している。
高齢であるほど能力値が高くなって成長率は悪くなる仕組みで、単純に高齢ほど初期は強く、ランダムで決まる要素はない。
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▲高齢ほど強いが、成長は遅い。でも初期は高齢キャラ必須の厳しさ

このゲームでは宿屋に泊まって回復するときだけでなく、魔法で回復するときにも、回復したキャラクターが年老いていくペナルティがある。
これが…本気でつらい。死んで復活すると1歳分、回復魔法で14日分。
オリジナルのWizでは年齢にほぼ意味がなかったが、「年齢が形骸化しているWizに俺ルールを加え、年齢に意味あるようにしてやったぜ」という作者の声が聞こえてくるようだ。
種族が人間だと寿命が短いため、本気でクリア前に老衰死することもあるので、人によってはこれを
嫌うかもしれないが、ゲームに緊張感を加えているのも確かだ。
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▲宿屋に泊まってレベルアップ&回復。安く済ませると年を食う…。

続いて独特なのが魔法と戦闘システム。
魔法は大気中に存在する[マナ]を消費するもので、キャラクターにはMPなどはない。
では使い放題かというとそうでもなく、その空間にあるマナの総量[空間リソース]が足りなくなると使えない。
しかも、使用した後は時間(ダンジョンを1歩くごとに)回復していくので、ダンジョンで魔法を使うペースを考えないとボスと戦うときに空間リソースがなくて魔法が使えないということも。
この空間リソースは敵味方共有なので、逆に魔法が強い敵と戦うときに意図的に魔法を連発して空間リソースをなくすことで、魔法を防ぐなどの作戦も使える。
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戦闘システムはセミリアルタイムで、すべての行動に必要ターン数が決められており、行動を入力すると一定ターン経過後に実行される。
ここで重要なのは魔法と攻撃のバランス。魔法は強力だが時間がかかってしまう。そして、魔法を準備している最中に攻撃を受けると行動がキャンセルされてしまうことがある。
魔法を使うまでいかに仲間を守るか、逆に魔法を使おうとしている敵に対していかに妨害をかけるかという駆け引きが発生し、戦闘は後半になるほど戦略性が増す。
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▲斜め線が入っている□は魔法が効果を発揮するまでの時間

戦闘の難度が高いこともあり、戦闘1回ごとの緊張感と、1回の探索を通じてどのようなペースで[空間リソース]を使用するかマネジメントする要素が合体してダンジョン探索の緊張感はかなりのもの。
この難易度と新システムのおかげで、Wizを初めてプレイしたときのような難易度への驚き、そしてルールを覚えて上達していく楽しさを再び感じてはまってしまった。
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▲難易度は超きついです。

実際、私はメインのパーティーが全滅して、それを救助(全滅した場合は死体がその場所に放置されるため、救助しに同じ場所まで行く必要がある)するパーティーが全滅して、それを救助するパーティーを育成するはめになったが、それでもやる気が持続するぐらいハマっている。
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▲キャラクターが永遠に使えなくなるロストもあり…。

難点は難しすぎるかもしれないこと、画面下部の十字キーとA・Bボタンで行うようになってときおり操作しづらく感じるなど、タッチパネル用の操作に最適化しきれていないこと。
操作についてはアップデートでの改善を期待したいが、難易度についてはそれが面白さでもあり、人を選ぶところだ。
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▲下部分の十字キーとボタン…ちょっとつらい。

見た目はWizardry、中身はオリジナル、プレイ感覚はやっぱりWizardry。
ゲーマーが本気で改造したハードでマゾくて楽しい3DダンジョンRPG。
ゲームとしての魅力によるプラスと操作性のマイナスを差し引いて評価は2.5にしておくが、オールドゲーマーや、歯ごたえのあるゲームを探しているならば迷わずおすすめだ。
なお、難しすぎると思ったら作者ページのヒント(ネタバレはなし)を見たほうが良い。

[RPG] Wicked World #1の詳細・DLはこちら(itunes)

注意!
現バージョンではキャラクターが消失するバグがある。
街の酒場でパーティーメンバーをはずした直後、武具屋で武器を購入・売却、宿屋に泊まるなどの処理を行い、アプリを終了させると発生する。街で冒険を終える場合はゲームを記録してから終わるようにしよう。
なお、このバグについては現在申請中のバージョンで修正されるとのこと。