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レビュー:今でも通用する美しさ、驚きの操作性、時を超えてiOSに蘇った ソウルキャリバー

ソウルキャリバー (itunes 1700円 iPhone/iPad対応)
開発:NamcoBandai Games
評価:
2.5(価格通り楽しめる)
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美しいグラフィック
ドリームキャストからの高い移植度
使いやすいバーチャルスティック、キャラクターは操作していて楽しい
1人用モードがもう少し欲しい。

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ソウルキャリバーは魔剣ソウルエッジとそれを求める戦士たちの戦いを描いた3D対戦格闘ゲーム。
デビューはアーケードだったが、ブレイクしたのは1999年に移植されたドリームキャスト版で。
圧倒的に美しいグラフィック、おまけモードの追加などでゲーム雑誌で満点を連発。
ヨーロッパでも異常に売れ、以後ナムコの看板ゲームとなった。
今作はドリームキャスト版の移植となる。

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操作はガード・キック・縦切り・横切りの4つボタン+移動用のスティック1つ。
最大の特徴は自由にフィールドを動き回れる8Wayrunシステムで、スティックを倒した方向にキャラクターが自由に動き回れ、格闘ゲームとしては当時画期的なシステムだった。

単純に移動できるだけでなく、8Wayrunに対して強力でかわされやすい縦切り、8Wayrunを阻むが威力では劣る横切りという2つの攻撃方法を絡めて3次元的な攻防のゲームとしてゲームにも組み込まれていた

また、移動方向に応じて強力な技が1ボタンで出るようになっており、「とりあえず強力そうな技を出して戦ってみるか」というプレイが可能。
「大量の技がありすぎて覚えられないしなかなか出せない」と言った3D格闘ゲームの常識を覆したゲームでもある。

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プレイしてまず感じるのは今も色褪せないグラフィックの美しさ。
iPadの大きな画面でも十分見られるだけでなく、iPhoneのスクリーンに縮小するとことさら綺麗に見える。
これでなんと、iPod touch 4G と iPhone 4S でグラフィック面の差異は感じられないから驚きだ。
iPhone4/iPod touch 4G では処理落ちすることがあるものの十分プレイできる感覚だし、iPhone4S や iPad2 であればまったくドリームキャスト版と遜色ない。
この時期のゲームは「フル3Dにすると性能が足りないのでうまくごまかして綺麗に見せる」テクニックを駆使して作られていたが、まだまだ性能が足りないスマートフォンにそれがきっちりマッチしているのだろう。

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次に驚くのは操作のしやすさ。
バーチャルスティックなのにかなり正確に方向入力が可能。
少なくとも、波動拳コマンド程度であれば問題は感じない。

さすがにそれ以上に複雑なコマンドとなると難しく、私が家庭用で出せた「収束する世界(ソウルキャリバーで一番複雑なコマンドの技)」は何回もチャレンジしたが出なかった。

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ボタンは初期配置では同時押しが厳しい。
が、コンフィングで同時押しボタンを1つ作ることができるほか、ボタンの配置を変えられる。
iPadならばボタンを半分重ね合わせるように配置すると、重なった部分を押したときに同時押しになるので便利。
iPhoneでもボタン同士の距離を縮めるとそこそこいける。

快適なスティックと配置を変えられるボタンのおかげで、アーケードと遜色ないとはいかずとも十分すぎるほど快適な操作ができる。
元々複雑なコマンドを必要としないゲームの作りと、丁寧なコントローラー調整がマッチしたといえるだろう。
素直に驚いた。

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iOS版のプレイモードは8人の敵と戦ってエンディングを目指す「ARCADE(アーケード)」、一定の体力で何人倒せるか競う「SURVIVAL(サバイバル)」、一撃で勝負が決まるサバイバル「EXTRA SURVIVAL(エクストラサバイバル)」、クリアまでの時間を競う「TIME ATTACK(タイムアタック)」、コマンドを見て練習できる「PRACTICE(プラクティス)」CPU同士の戦い、キャラクターの演舞が見られる「MUSEUM(ミュージアム)」の6つ。

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1人用のやりこみはアーケードでクリアしたキャラの人数によって追加キャラクターや追加ステージが解放されること、タイムアタックやサバイバルの成績を競える程度。
プレイ時間はそこそこあるものの、1700円が定価のゲームと考えるとさすがに厳しい。
また、ドリームキャスト版に存在した「ミッションモード」・「アートギャラリー」・「オープニングエディット」は存在しない。
XBOX版は880MSP(約1300円)でiOS版の方が定価が高く、せめてXBOXと同等、できればおまけが付くぐらいが欲しかった。
ここについては「今後、さらにモードが追加予定です」という公式アナウンスを信じて待ちたい。

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また、iOSのゲームとして考えると少し気になる点もある。
まずチュートリアルなどがいまいち充実していない。
縦切り・横切りの要素や、8wayrunの概念を説明するようなチュートリアルが欲しかった。
さらに、中断機能がないためサバイバルなどが途中でやめられない。
少し空いたときにプレイすることもあるiOS版には中断機能も欲しい。

操作も問題を感じないし、見た目も美しい、そしてiPod touch 4Gでも動くし、動かして楽しい。
これは本当に素晴らしいのだが、格闘ゲームは対戦してなんぼ。
それがないなら1人用のやり込める要素が必要だが、現状では価格に対して足りていると思えない。
現状での評価は質の高さと値段の高さを考えてぎりぎり3.0寄りの2.5(価格通り)としたい。
ファンならば買っても損はない(私もその一人だ)が、新規のプレイヤーには強くオススメはしない。

(ゲームキャストトシ Ver1.1)

スタッフコメント
トシ:

ゲームセンター、ドリキャス版と渡り歩いた私でも合格点をあげられる操作性(アイヴィー使いじゃないからかも…)。
見た目についても文句なしで、ソウルキャリバーファンなら買って損しない。
これまでイマイチだったナムコの本気をようやく見られた感じ。

弟:
XBOX版のほうが安くて優れているのでそっちを買えばOK。
対戦しないでどうしても持ち歩きたい人向け。
家庭用機で配信されると「懐かしいゲームが1000円だし買うか」となるのにiOSだと「1000円は高いな」となる不思議。

アプリリンク:
ソウルキャリバー (itunes 1700円 iPhone/iPad対応)

動画: