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TGSレポート3:GREEブースに見る迷走

さて、前回はGREEブースで見た違和感について書いたが、今度はGREEそのものについて書いていこうと思う。

あくまで自分の目から見た印象だが、GREEがどこに向かっているのかわからない。
GREEブースでは、GREEのゲームの他にOpenFeint対応のゲーム群が「これもGREEです」と言わんばかりアイコンで表示されていた。
JetpackJoyRide』、『ホームランバトル3D』などのiPhoneでお馴染みのゲームだ。
これがどのように関係するのか。

「OpenFeint対応のゲームは全世界で○○もあるんですよ。
 OpenFeintを買収したので、GREEは世界で最も会員数の多いソーシャルプラットフォームです。」
(○○はすごい数だったが、忘れた)

だが、それに何の意味があるのだろうか。
まったくそこからソーシャルへの導線はないし、それらのゲームをプレイするユーザーとソーシャルのユーザーは別物だ。
そして、色々話を聞いてみても何がすごいのか釈然としない。
OpenFeint対応ゲームが多いのが有利に働くならばGameCenterも最高峰のソーシャルプラットフォームだろう。

・GREEはOpenFeintを買収したばかりなので、これから合体していきます。
・OpenFeintにソーシャルを助ける要素は何も無いですが、今後は何か機能が付くはずです。
・海外はこれからやって行くし、サードパーティーがゲームを出していくと思います。

などなど、いちいち要領を得ない。
対するDeNAは非常に明快にヴィジョンを示し、かつ、結果もだしている。

・ngcoreを開発し、プラットフォーム化
・ngcoreにはソーシャルゲームに必要な機能が含まれているだけでなく、ngcoreを利用してゲーム制作を行うことで1ソースでiOSとAndroidのアプリが作成できる。
・海外に複数の拠点を置き、各地域の文化に応じた分析・顧客対応を行う。

なお、DeNAブースで聞いたこれらの話を、ソーシャルゲーム開発者と共にGREEブースを訪れて聞いたものの、やはり要領を得ない回答であった。
DeNAブースは企業向けで、GREEはそうではないという差はあれど、TGSであった多数のGREEの講演を聞いても「どうやれば日本で稼げるか」「稼げるゲームとは?」という話に終始しており、DeNAのように世界を睨んだ動きは見えない。

そして、ゲームに対してもそれらの姿勢が見える。
GREEは多数のソーシャルゲームアプリを出しているが、それは単に既存のソーシャルゲームと変化のないアプリばかりであった。
少なくとも、スマートフォンの特性は生かしていない。
また、海外実績に関してもめぼしいものはほぼない。

対して、DeNAはすでにngcoreのゲームをアプリとして出しているだけでなく、忍者ロワイヤルというスマートフォンならではのソーシャルゲームをリリースしている。
ソーシャルゲームならではのリッチなインターフェースは新鮮だし、アクション性というのは大きな挑戦といえる。
また、すでに海外ではngmocoのゲームにDeNAのノウハウを注入して売上を3倍にあげた実績がある。
Zyngaの売上を5倍にするというのもあながち嘘には思えない。

GREEの巨大ブースによる出展は、OpenFeintの構造改革がうまく進まず、海外戦略が(Mobageと比べて)足踏みしている状態での単なる示威行為に感じられてしまう。
TGSに最大ブースを出したところで、アピールする層は全く違うというのに。
DeNAはそのあたりをしっかりわかっているように見える。

3ヶ月で時代が変わると言われるスピード感のソーシャルゲームで、GREEはすでに巨体を持て余すようになってしまったのだろうか。