Appleの為替相場改訂にてアップルドル問題、一旦終了したが…ゲームへの影響は?
- つぶやき
- 2011年07月16日
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アップルドル問題とは、アップルの用意している円・ドル変換の相場が実際の為替レートと大きく剥離していた問題。
少し前まで日本では115円のアプリが、米国だと0.99$(現在の相場で約80円)。
USのユーザーの方が日本のユーザーよりも30%も価格でアプリが購入できてしまう問題だ。
さすがに現実との剥離が大きくなってきたためか、先日ついに現実の円高を反映した下記のレートへ改訂。
ついにゲームセンターの1ゲームよりもAppStoreの買いきりゲームの方が安くなってしまった。
実相場よりも5円程度高いが、3年前にレートが定められた時も110円の相場に対して115円が設定されており、不自然に高いというより為替の変動リスクを抑えるための予防措置的なものだろう。
日本では一気にアプリ価格が下落した反面、イギリスなどでは14%程度割高になるなど世界各国悲喜こもごも。
今回は日本のユーザー、メーカーそれぞれに与える影響を考えてみる。
ある日突然値段が下がった少し前まで日本では115円のアプリが、米国だと0.99$(現在の相場で約80円)。
USのユーザーの方が日本のユーザーよりも30%も価格でアプリが購入できてしまう問題だ。
さすがに現実との剥離が大きくなってきたためか、先日ついに現実の円高を反映した下記のレートへ改訂。
US$ | 旧レート | 新レート | 実相場 |
$0.99 | 115円 | 85円 | 80円 |
$1.99 | 230円 | 170円 | 160円 |
$4.99 | 600円 | 450円 | 400円 |
$9.99 | 1200円 | 850円 | 800円 |
$12.99 | 1500円 | 1100円 | 1040円 |
ついにゲームセンターの1ゲームよりもAppStoreの買いきりゲームの方が安くなってしまった。
実相場よりも5円程度高いが、3年前にレートが定められた時も110円の相場に対して115円が設定されており、不自然に高いというより為替の変動リスクを抑えるための予防措置的なものだろう。
日本では一気にアプリ価格が下落した反面、イギリスなどでは14%程度割高になるなど世界各国悲喜こもごも。
今回は日本のユーザー、メーカーそれぞれに与える影響を考えてみる。
「変更する当日夜中にレート変更のメールがきていて、気づいたらゲームの価格が変更されていました」
(とあるゲーム開発者)
この変更はほとんど事前通知がなかったようで、スクウェア・エニックスのような大手メーカーですら変更後即座に対応できてはいなかった。
アプリ販売者の収入はアプリ価格の70%なので、突然収入が大幅に減る恐ろしい状況。
特に電子書籍などは1冊売れるたびに版元にいくら払う、というような契約で成り立っているものがあり、価格変更で売れるほど赤字という状況があった模様。
世界中のマーケットで、商品の値段を突然変更する…こんなことが許されていいのかと思うが、これが現実。
App Store で販売する際の規約でメーカーは文句を言えないのだが、「本日から御社の製品の仕入れ値を変更して、販売価格も変えます」と突然やってのけるのは普通の商習慣ではありえない。
言ってしまえば Apple の独占によるリスクの1つ。
いつも思うけどえげつない。
日本のメーカーには辛い変更
グローバルな売上を考えると、世界共通でアップルのレートに変換されるこの仕組みはつらい。
例えば、スクウェア・エニックスはレート変更後にも日本向け英会話ソフト以外値段を戻してはいない。
アプリ価格を変更してしまうと、主戦場であるUSでの価格も連動して上がってしまうからだ。
ゲームロフトの高級なゲームも800円から600円に大幅に値下がりした。
彼らにとっては日本市場が突然25%吹っ飛んだにも等しい。
カプコンやケイブなど日本と海外で別アプリとしてリリースして個別に値付けをしている会社やケムコのRPGなど、一部の日本の作品はゲーム価格をもとに戻している。
日本語のRPGがプレイしたければ600円でもプレイするだろうし、ケイブのシューティングゲームは1000円でも売れるだろう。
日本で値ごろな価格に日本のメーカーは合わせざるをえないが、その価格は海外では高すぎるため今後は日本と海外で価格を別々に設定するアプリが増えると思われる。
そして、すでに世界共通で出してしまったアプリについては涙を飲んで値下げ。
しかし、グローバルなメーカーのゲーム価格が下がるので長期的にはユーザーの考えるアプリ相場が変わる。
EAのセールで85円のアプリ、通常価格でも85円〜350円程度のよくできたアプリと「日本語である」という付加価値だけで高額商品を売りつけ続けられるか。
安くなってもクオリティが上がり続けているゲームロフトのゲームよりもリッチに見せられるのか。
すでに小規模のメーカーでは日本市場だけで売上が立つほどの市場が出来ていた時期にこれは痛い。
前向きに言うと、この機会に日本だけでもとを取る考えではなく海外に通じるクオリティ(例えばKRPGなんか比べものにならないぐらいJRPGはいいと思っている。単純に日本メーカーは海外に良いゲームを出していないだけだと思う)のゲームを出していってほしい。
広告モデルへの移行が加速
アプリの価格が安くなったということは相対的に広告モデルの価値(アプリが安くなっても広告収入には変化がない)が高くなったわけで、広告モデル・フリーミアムへの移行が一層加速することと思われる。
良いゲームがあっても「それにはアプリ内課金を入れる要素はあるの?」と聞かれてしまうこのご時世。
ほんと、無駄に伸ばしたりストレスになるほどの難易度で課金させるんじゃない、完成されたゲームがプレイしたいけど逆風かな。
個人的には辛いけども、ゲーム会社の方がこの状況を逆手にとって楽しめる凄いゲームを作ってくれることも期待したい。
ユーザーは大喜び
ユーザーとしてはこの変更で安くゲームを変えるようになるわけで、両手を挙げて歓迎すべきことだろう。
毎月2万円オーバーのアプリを購入している私にとってみれば20,000円→15000円でものすごい節約。
ただし、Appbankのようにアフィリエイトで生計を立てている会社は辛いものがありそう。
ゲームキャストは大して影響なし。
最後に、AppStoreの売上は一度$換算されてから日本円に直して振り込まれるという話を以前書いたのだが、現実は売上のそのまま70%が開発側の取り分だった。
確認が甘い情報を流してしまい申し訳ない。
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コメント(5)
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コメント一覧 (5)
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- 2011年07月16日 17:36
- 別に世界的に値段が下がったわけではないし、国際的な企業は、プラマイゼロで売上も結局そんなに変わらないのでは?
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- 2011年07月16日 17:50
- ▼?さん
国際的な企業に関しては変わらないと思いますが、日本に国際的企業が少ないなかでの変更なので、やっぱり辛いと思います。
日本のメーカーは日本を中心にしている所が多いので(小さいと言われていますが、結局日本子女は日本のメーカーを支えています)、世界よりも日本が重要でしょう。
その日本が地盤沈下を起こせば、より辛い状況になる…というつもりで書きました。
分かりづらくてすみません。
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- 2011年07月16日 17:56
- すいません、勘違いしてました。
多分これの影響だと思うんですが、ケムコは今まで日本語のゲームをそのまま海外市場にも出してたんだけど、今はそれすら引っ込めちゃってますね。
海外に住んでる日本人にはそれなりに需要があったと思うのですが、、残念です。
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- 2011年07月16日 20:40
- >>ゲームロフトの高級なゲームも800円から600円に大幅に値下がりした。
>>彼らにとっては日本市場が突然25%吹っ飛んだにも等しい。
これは大きな間違いです。彼らはもともと$6.99で売っていたのです。
それなのに日本だけ現実のレートではなく、$1=115円というおかしなレートが適用され、本来よりも売上は落ちていたのです。
海外メーカーのアプリの価格が正常化したことで、彼らには大きなメリットがあるでしょう。
日本人にだけ高く売りつけたいという強欲企業は、別アプリにして売ればいいだけです。
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- 2011年07月16日 20:48
- ▼fpさん
海外メーカーのゲームは値下げで正常化して本数を伸ばすのは間違い有りませんね。
安くなってより多く売れればすべての企業が万々歳だと思うのですが、そこがどうなるかは今後注目と思っています。
ゲームロフトの新作が600円というのは本当にインパクトありますね。
私も9mmプレイして思わず「安い!」と思ってしまいました。
▼?さん
多分、日米別価格で売る作戦になるのでしょうね。
日本でだけ高く売れるほどの付加価値のあるゲームを提供できるかが鍵だと思いますが、本国だけ高いという現象は腑に落ちないものがあります…。
コメントありがとうございます。