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アプリ開発者の記録:snabboの挑戦

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マッチパズルアプリ、Snabboを作成したGarry氏のブログ記事がアプリの売り方に苦心する小規模開発者の等身大の悩みという感じで興味深かったので概要を紹介。
なお、引用元のブログには画像で売上など様々なデータが示されているので、興味があればそちらもどうぞ。
元の記事が消されてしまったようで、現在は確認できない。
まだGoogleのキャッシュから画像以外を確認できる。

リリース時
AppStoreでアプリを販売するのは野球でバットを一振りするようなもの」と忠告されたという。
アプリは人気を得て一気に売れるか、埋もれてしまうかのどちらか。

埋もれないためには★5のレビューを書いてもらうのが肝心、ということでGarry氏は予めフォーラムなどで宣伝しつつSnabboをリリースした。
(Appleレビューの1週間後にはリリースされ、Steamのような同種のサービスよりはるかにリリースが簡単だったというのが印象だという)

それはうまくいき、当日リリースされたほかのアプリよりもレビューがついており、リリース当日178本だったがTop100内に入ることをGarry氏は確信していた。
が、翌日には50本を販売。
1週間後には1日あたり平均7本のセールスとなっていた。
1日あたり5$の利益で、使用していたunityエンジンのライセンス料を払うだけで2年、絶望的な数値だ。


改善
この結果にくじけることなく、Garry氏はチャレンジを開始した。
まず、アプリのサイズが20.1MBで3G回線でのダウンロードができなかったのを改善。
そして、ゲームに金を支払わない層を狙った無料の広告付きバージョンのリリースだ。

無料版は初日1,061ダウンロードを記録し、翌日には1870はダウンロードとなった。
そこからは安定して1日あたり350のダウンロードを保つようになったという。
Garry氏はその数を「多くはないが妥当」と言っている。

iAds
iAds は Apple の広告で、1クリック1$以上という高額が売り。
だが、表示しようにも広告がないことが多い(元記事によればFillRateが11.80%、10回に1回程度しか表示されていないようだ)。
Snabbo では iAds のリクエストをして、広告がなければ Google の AdMob を表示する手法を取り、1日に6$を手に入れられたとのこと。
1日あたりのSnabboからの収入は11$となり、Unity のライセンス料が払えるまで1年という計算(それでも泣けるほど収入は少ない)になった。
注目すべきは「広告付きバージョンは正規版の販売に何も影響はありませんでした」という一文。
無料ユーザーと有料ユーザーは客層が違うようだ。


AdMob
AdMobはGoogleの広告。
これは広告が多く、表示確率は高いがCPM(広告の1クリックあたりの報酬)が非常に低い。
リリースしてからリクエスト数は安定していたものの、1日あたり約1ドルという速いペースで収入が低下していったとのこと。
(おそらく、アプリの使い方に慣れて広告をクリックしなくなったのだろう)


新たな挑戦

やはりこのままでは永遠に開発費のもとが取れない。
より多くのユーザーにダウンロードさせ、より多くのユーザーに広告を見てもらうことで収入を得るアイデアを考えていた。
より多くDLされればAppStoreでもランキングの順位が上がるし、そうなればもっとダウンロードされるという好循環に入るはず。
Garry氏は新たなアイデアを実行に写した。

つまり、資金を投下して広告をうつことにしたのだ。
Appstoreカテゴリの1つで20位以内に入れば、確実に広告の支出を埋め合わせるぐらいの十分な数がDLされるというのが彼の目算だった。

まず、admob広告を1000ドル投入した。
広告は無料のゲームをしている人々のiPadとiPhoneに対して表示されるという。
無料ゲームユーザーなら、別の無料ゲームをプレイしたがっているだろう、というのが彼の考えだ。

そして、結果が出た。
まず、広告の表示回数は566万220回。
そのうち3万4684が広告をクリックし、790人がインストール。

なんと、1回DLさせるために約1.2$を払った計算になってしまう。

広告からAppStoreを見たうちの98%のユーザーは
無料だが、インストールする価値を見いだせない
と判断したわけだ。

彼らのアイコンは他の無料ゲームと比べて目立たなすぎ、Snabboのアイコンやスクリーンショットは地味すぎたのが原因と見ている。

違法コピー
またGarry氏が驚いたのは当初300本の販売に対し、スコアランキングには600人がエントリーしていたということ。
Appleはリリース時に5MBもする保護機構を付け加えたにもかかわらずだ。

--------------------

最終的に、SnabboはGarry氏の給料を含めず50万$かかったが、500$の売上もあげあられなかった。
が、これでいろいろなことを学び、その目的にはかなったとのこと。
他の開発者の参考になるようにブログに記事を書いたということらしいので、開発者の方は元記事を読まれてはいかがだろうか。

Snabbo HDの詳細・DLはこちら(itunes)
Snabbo Freeの詳細・DLはこちら(itunes)


個人的には「広告付きバージョンは正規版の販売に何も影響はありませんでした」という一文に非常に興味を感じる。

私の見る所Snabboはどちらかと言えば面白いが、すごい面白いというわけではなかった。
そして初期のアイコンは地味すぎて私だったら絶対にDLしないものだったと思う。
やっぱりゲームはアイコンとスクリーンショットで9割決まるなぁ。
Dungeon Raidぐらい面白くないと、地味な見た目では死んで終わりという教訓…な気もする。


178本を販売し、Top100内に入った→Top100以内に入ると確信に変更。
原文がきっちり確認できない中での誤訳申し訳ありません。

 コメント一覧 (7)

    • 1. ファンさん
    • 2011年08月07日 22:19
    • リンク先のブログが見つからないと出るのですが....
    • 2. トシ
    • 2011年08月07日 23:13
    • ▼ファンさん
      どうやら何かあって消えてしまっているようです。
      GoogleでSnabbo Garryなどと検索するとその名残があるぐらいですね。
      http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:dDkfGBedaY4J:www.garry.tv/2011/06/02/the-story-of-snabbo/+garry+snabbo&cd=1&hl=ja&ct=clnk&gl=jp&source=www.google.co.jp
      のキャッシュで見ることができますね
    • 3.  
    • 2011年08月07日 23:49
    • ゲームを作るんじゃなくて
      WEBページと同じで、会社の宣伝のための広告アプリを受注して開発するのが一番いいのかもしれませんね。売上関係なくまとまったお金が入りますし。
      別にAPPSTOREがどうとかじゃなくて、個人や弱小会社の作ったゲームがゲームメーカーと同じ土俵に立って、お金を稼げるわけがないですからね。
    • 4. 通りすがり
    • 2011年08月08日 09:55
    • なんかこの記事に限らず、しばしばAPPSTOREのシステムが悪い、APPLEは悪いみたいな表現が見受けられるけど、別にマーケットがAPPSTOREじゃなくても、個人が大手メーカーに勝てないのも、思ったように利益が得られず埋もれるのは当然の事では?
      むしろ、誰でも配信できるこのシステムのおかげで、曲りなりも企業とおなじ場所で物を売れるんですから。昔に比べたらはるかに個人開発者にもチャンスが開かれたと思うんですが、、。 なぜそこまでAPPSTOREを目の敵にするんですか?
    • 5. トシ
    • 2011年08月08日 16:21
    • ▼?さん
      ゲームは技術力と資本がモノを言う部分が非常に大きいので(他のアプリもそうですが、見た目については非常にそう感じます)、厳しいですよね。
      中小は大企業と比べるとスピードはあるので、コストとスピードで勝負するしかない気がします。
      コメントありがとうございます。
      ▼通りすがりさん
      この記事に関しては、AppStoreについて中立に書かれていると思っています。
      個人的な感想やSnabboについて書いているにとどめていますし。
      AppStoreには素晴らしい面と、そうではない面があると思っています。
      前者は通りすがりさんのおっしゃる通りです。
      今、開発者にとっては過去これ以上ないぐらい市場は開かれていると思います。
      ただ、AppStoreに関してはレビューのシステムがイマイチであるとか、アプリの説明文が十分見やすくはない(重要箇所を強調するぐらいは欲しい)とか、改善箇所がいくらでもあるだろう、というのが不満です。
      独占的小売として固定だったレートをある日突然変更するなど、そういった点も気になります。
      Androidという市場はあるものの、半「独占」にあぐらを書いている気がするというのが感想です。
      また、無秩序な競争は文化にとってよくないものだと思っています。
      一番心配なのは、ゲームそのものを破壊しないか、ということです。
      例えば100円ショップで食器が買えるようになり、安くものが買えるようになった反面、日本の伝統工芸の食器は壊滅的な打撃を受けました。
      自分が好きなゲーム文化、というものが破壊されないかが気になっています。
      考え過ぎなのかもしれませんけど。
      コメントありがとうございます。
    • 6. 通りすがり
    • 2011年08月09日 09:19
    • APPLEが独占しなくなったら、他企業のマーケットが乱立して、更に値下げ合戦になるのでは?
       APPLEは独占してるおかげでこの程度で済んでる気がします。
       他にもマーケットが出来ると言うことは売上が分散されるということで、結果色々な所に配信しなくてはいけなくなり、もっと制作に掛ける予算や時間が削られていく気がします。
       APPSTOREに関しても、レビューのシステムは解りませんが、アプリの説明文を凝れるようにすると、個人開発者はそこにも気を掛けなくてはいけなくなり、もっと不利になるだけだと思います。
       
        
    • 7. トシ
    • 2011年08月09日 11:40
    • ▼通りすがりさん
      まず、値引き価格については独占とはあまり関係ないというのが私の意見です(長くなるので申し訳ありませんがここで理由は示しません、何かの機会にブログに書くかもしれないです)。
      さて、AppStoreは確かに全体を通してみると素晴らしいと思います。
      売上の分散問題についてはおっしゃるとおりだと思いますし、個人的にはアダルトコンテンツの締め出しも独占がなければできない素晴らしい事だと思っています。
      ただ、全てが素晴らしいわけではないし、行き届いていないことも多いので、その点については常に指摘していきたいと思っている次第です。
      レビュー問題というのは、荒れやすいレビューを正常化する手を売っていないということですね。
      Amazonのようにベストレビュアー制度などを試す価値はあると思うのですが…。
      また、多数のユーザーがアプリの説明文は読まず、レビューを頼りにするという現状があり、長らく対応策は取られていません。
      Appleを嫌っているのではなく、素晴らしいAppStoreがもっと素晴らしくなって欲しいと思っています。
      ハードからマーケットまで垂直統合しているので、他にはないことがもっと出来るはずですし、将来は他のマーケットを寄せ付けない何かをしてくれるのではないかと期待もしています。

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