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レビュー:高い自由度を楽しむ大作RPG Aralon:Sword and Shadow HD

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タイトル:Aralon:Sword and Shadow HD
ディベロッパー:Crescent Moon Games
プレイ時Version:3.0.1
ジャンル:RPG
価格:1200円
Aralon: Sword and Shadow HDの詳細・DLはこちら(itunes)

Aralonはオープンワールド系と呼ばれる、自由な冒険を楽しめるタイプのファンタジー大作RPG。
父の仇を討つ王道ストーリーだが、多くのサイドクエストが用意されていてそれぞれのプレイヤーなりに楽しめる。
また、町で物を盗んだりダーティーなこともできるのが面白い。
普通のRPGに飽きてきた方は試してみるといいかも。

オープンワールド系RPG
Aralon: Sword and Shadowは国に仕えていた父の死の真相を明かし、やがては国を救うという王道ストーリーのファンタジーRPG。
最大の特徴はオープンワールド系のRPGで自由度が高いという点。

オープンワールド系RPGとは、物理法則や社会があるかのように設定された「箱庭」のような世界で自由に遊べるRPGのこと。
要するにゲーム的な制限を少なくし、「リアルな世界をゲーム的に作り出そうとしている」RPGと言えるだろう。

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そこでは「モンスターには攻撃できるが、町の人には攻撃できない」と言ったような制限はなく、プレイヤーはいつでもどこでも同じように振る舞うことができる。
例えば、町の人が財産を蓄えた宝箱をダンジョンの宝箱をあけるかのように鍵開けし、そのまま盗むこともできる。

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しかし、現実世界のように社会組織があるのでそのまま泥棒として追われる立場を体験する、といった具合だ。

最終的な目的は決まっていることが多いがそこに至る道はいくつもあることが多く、「50LVぐらいで魔王を倒せる」ならば、ひたすらモンスターを倒して強くなってもいいし、順にいろいろなクエストをこなしてもいい、というようにプレイヤーごとに自由気ままに楽しめるのが魅力のRPGだ。

自由に工夫する
さて「Aralonで楽しめる自由とは何か?」と言うと、「箱庭」の中で「プレイヤーが自由に冒険する楽しさ」と言えるだろう。
オープンワールド系の特徴として、プレイヤーの行動にかかる制限が少ないので、何かに挑戦する自由も、何かを達成するときのやり方もプレイヤーやキャラクターによって変わってくる。

例えば、ドラクエなどでは後半に行く場所は何かのイベントをこなさない限り絶対に行けない。
それに対して、Aralonでは相応に強力に守られているが、それをくぐり抜ければいつでもそこに行ける。

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例えば、比較的初期から行ける下水道(10LVぐらいで行ける)には35LVの吸血鬼が守る宝箱がある。
取れれば後半まで使える強力な装備が手に入るが、なんせ35LV。
攻撃されれば即死、普通に考えれば「後半になってからのお楽しみ」だ。

通常のRPGではあきらめる状況だが、オープンワールド系ではこう考える。
「何とか裏をかいて宝を手に入れられないか?」
ゲーム世界の法則を駆使してうまくやる方法を考えはじめるのだ。

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結果、ローグなどのクラスではステルス(敵に気づかれない能力)を駆使して見つからないように宝を盗む。
また、ある人は防御スキルを駆使して敵を倒してしまう。
魔法使いはエレメンタルを召還し、敵を引きつけてその隙に宝箱を開ける。
そして、召還もステルスもない戦士は悩んだ末に…町の人を雇い、町の人が襲われている隙に宝箱を盗む

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この試行錯誤やゲームルールの裏をかいてやった感じが何とも言えない楽しさ。
全5種ある職業ごとにできること=ゲームルールが変わる。
これにはまるとオープンワールド系はやめられない。

生きている感覚がある世界

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オープンワールド系の特徴「箱庭を作り込み」について、Aralonが携帯機最高峰と言ってもいい。
環境音を作り込み、地形を作り、小動物(ゲームには何も影響しない!)を出したりして生きている世界を体験させようとする。

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実際、主観視点で冒険していると別の世界があるかのように感じられて不思議な気分だ。
何もないけど泳いで地下を見たり、変なところにモンスターの巣があったり、ゲームに大きく影響しないけれども、探索する楽しみがある。

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他にも釣りをしたり、パイプを吹かしたり、薬を調合したり、いろいろな乗り物にも乗れる。
仲間を金で雇うこともできるし、鍵開けスキルがあればいろいろな箇所の鍵を開けて楽しむこともできる。

基本システムは普通
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いきなり「普通のRPGとは違う!」という説明から入ったが、それはゲームの自由度の話で、Aralonの基本は普通のアクションRPG。
攻撃ボタンがあり、防御ボタンがあり、バーチャルパッドで移動するスタンダードな操作。

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アイテムやスキル、魔法の使用はショートカットで最大10個まで登録することができ、操作性に関してもそんなに苦労しない。

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敵を倒したりクエストをクリアすると経験値がたまってレベルアップ。
スキルと能力値に自由に値を割り振るという、至って普通のシステムだ。
難易度も3段階から選ぶことができ、「普通なシステムで自由度の高い世界を楽しむ」という間口は広めのRPGにはなっている。
英語というハードルはあるものの、英語も文法自体は中学レベルの簡単な物で収まっているため、やる気があれば読み取れる。

AppStore屈指の大作
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全体を通してみると、メインストーリーを通すだけでも十数時間、サブクエストをプレイしていくと20時間以上のボリュームの大作。
プレイマップも広く、できることも多い。
ただ、広大で普通のRPGよりも多くのことができる世界を作るゲームだけにデバッグが追いつかないのか、バグが多めなので5つあるセーブスロットを使ってこまめにセーブする必要がある(落ちることがある)のは難点。

それでもFF3、ケイオスリングスがストーリー重視系の大作RPGとしたら、こちらはオープンワールド系の大作RPGとして、AppStoreでも最高峰の大作ということができる。
ちょっと違った感じのじっくり遊べるRPGを探しているなら、このゲームがおすすめだ。


トシの評価(5段階)
アップデートがきっちりされており、グラフィック修正、クラスの追加、その他様々な物が着実に良くなっていった点も評価したい。
リリース時にプレイしてバグやゲーム動作の重さで積んでいた方もプレイしなおしても良いと思うほど変わった。
驚くべきことに全機種対応だが、3Gなどの旧機種はグラフィックなどの質を落とす必要がある(今回のスクリーンショットは比較的良い設定でとったもの)ので注意。

総合:3.5(かなり面白い)
+冒険している感じのある作り込まれた世界
+職業ごとにゲームプレイが変わる
+いろいろなことができる
+幅広い機種に対応
-バグで落ちることがある