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『ドラゴンクエスト ダイの大冒険 -魂の絆-』レビュー。ビジュアルでファンを納得させ、押し込みアクションバトルでゲーム好きも喜ぶ堅実なるアクションRPG

ドラゴンクエスト ダイの大冒険 -魂の絆- (App Store 無料 / GooglePlay 無料)
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週刊少年ジャンプで『ドラゴンクエスト』のスピンオフとして連載され、独自の世界観・ストーリーで人気を博した『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』がついにスマホRPGに!
連載当時はゲーム化されず、まさか令和になってからスマホゲームになるとは……
しかも、今回は原作ストーリーに加え、プレイヤーの分身となる主人公“絆の勇者”もゲームオリジナルストーリーが楽しめるという。もちろん、新規ストーリーは漫画の原作を務めた三条陸さん監修のもの。
ということで、もうファンとしてはプレイせずにいられないゲームが『ダイの大冒険 ~魂の絆~』と言うわけだ。
そして、そのゲームはかなりのところ期待に応えてくれた。

本作のプレイにおいて、最初に目につくのはやはりグラフィック。
スマートフォンの性能は数年前の時点で(カタログスペック上は)プレイステーション3を追い抜いており、充分な映像を見せてくれる。
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アニメから抜け出してきたようなキャラクターが同時に3人で戦うし、アバンストラッシュなど奥義演出もバッチリ。
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ストーリーモードはアニメカットではなく、この3Dモデルで動きをつけてやって欲しかったと思う。
それぐらい良くできている。
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ゲームとしては、原作のストーリーを厚めにしており、新規に追加された絆の勇者の物語は薄味。
ダイの世界と繋がった裏の世界が存在し、裏の世界が消えると表の世界も消える……という設定で、ダイやヒュンケルなど表の世界で仲間になったキャラクタ-を召喚し、共に戦うものとなっている。
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プレイヤーの分身であり、オリジナルキャラクターでもある“絆の勇者”と、アバンやヒュンケルなど原作キャラクターが一緒に戦う整合性を取るための世界と感じられて少し拍子抜けしたが、まあビジュアルも含めて原作再現性が高いので、原作ストーリーを追っているだけでファンとしては楽しい。

さて、ゲームのメイン部分……スタミナ値を消費して挑むクエストはバトルアクションになっていて、これが面白い。
先ほど書いたように、アニメから抜け出たようなビジュアルで描かれるバトルの迫力も良いが、単純に遊んでいて気持ちいいのだ。
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バトル時はメインで戦う絆の勇者と相棒キャラクター、さらにお供の仲間2人でパーティーを組んで出撃する。
絆の勇者と相棒はプレイヤーが直接操作するキャラクター、お供はAIが自動操作するキャラクターとなる。

クエストのフィールドは3レーンに分かれた直線コースになっていて、パーティーここを走って進み、敵を射程内に捉えるとキャラクターが自動で攻撃を行う。
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通常攻撃と前身はオートだが、アクションとしては攻防の駆け引きが上手く作られており、左右のスワイプでレーンを移動して敵の攻撃を避けたり、赤い攻撃予告が出たときに後ろスワイプで飛び退いたり、そして上スワイプで再び間合いを詰めたりと移動の重要性は高い。
また、操作キャラクターはスキルを2つまで装備してバトルに参加でき、スキルで敵にとどめを刺すとダッシュして次の敵まで一瞬で接近し、高速でステージを攻略できる要素も(しかも、スキル使用回数も回復する)。
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▲キャラクターは大別して勇者、戦士、魔法使い、僧侶に別れており、それぞれに専用装備やスキル、操作が存在する。勇者なら長押しでガード、戦士なら溜め攻撃などが可能。

ボスが登場すると、雑魚とは異なる押し引きのバトルが始まる。
多くのボスの背後には壁があり、この壁までボスを押し切ってぶつけるとボスが“BREAK”して気絶するのだ。
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ボスが大技を繰り出そうとしていてもBREAKすれば止められるため、これがボス戦では最重要。
ボスの攻撃を見切って“チャンス”の表示が出た瞬間にスキルをたたき込むと一気に吹っ飛ばし、攻撃するたびにたまる奥義ゲージをためて奥義を当てることでもボスを押し込み、ダメージよりも押し引き重視での戦いが展開される。
逆にボス側も前身攻撃、吹っ飛ばし攻撃などで前に出ようとするので、適切に防御したり、攻撃をかわしたりするアクションの駆け引きが重要となっている。
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これがかなり良くできていて、演出の気持ちよさも含めて質の良いアクションRPGのような作り。
『ダイの大冒険』と言えば強敵とのバトルの印象が強いし、バトルが面白いのは大きなプラスだ。

ちなみに、アクションの影響度合いとしては「多少戦力が足りなくてもうまければアクションで補って攻略できる。プレイヤーが下手だと本来勝てる相手も勝てないが、圧倒的な戦力があれば勝てる」程度となっている。
要はガチャプレイでも先に進めるが、アクションとしてうまく遊べば恩恵もある、良いあんばいになっている。
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▲唯一不満があるとすれば、壁の数に限界があること。ヒュンケル戦で壁が出てきてBREAK不可になり、絶望したプレイヤーも多いだろう。

マルチプレイにも対応しており、イベントでは3人のプレイヤーでボスを倒す協力プレイが楽しめる。
1人用でもマルチでクエストに失敗すると消費したスタミナ・マルチプレイチケットは返却されるため、あまり肩肘張らずに挑戦できるのは嬉しい。
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さて、もう1つ、ゲームの楽しみを挙げるとすれば膨大な育成要素だろうか。
ガチャで手に入れる武器防具、さらにはスキル、これまた1日1回の無料ガチャから手に入れる“魂”による能力アップなどガチャ系要素の他にも盛りだくさん。

戦ってレベルアップ(経験値素材は存在しない!)、仲間を使い続けて親密度を挙げると開放される育成ボード(プレイヤーが選んで成長させられるスキルツリー的なもの)、特殊ボス討伐で手に入る”討伐の証”、”魂”を装備して戦場に出ないと強化されない”魂スキル”など、ガチャだけで終わらない育成要素が満載だ。
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▲魂スキルを育てると、攻撃力が25%などかなり上がる。

特定のキャラクターの衣装違いバージョンを育てると、そのキャラクターが全体的に強くなる(つまり、ひいきのキャラを極限まで強くできる)仕組みなどもあり、やり込み満載。
『ダイの大冒険~絆の勇者~』は、グラフィックに優れ、アクション面でも楽しく、尖った部分はなくとも堅実なRPGに仕上がっている。

ただ、ガチャに起因する大きな欠点もあり、それがゲームの足を引っ張っている。
まず、レア度の低い★3武器は最大近くまで限界突破しないと最高レアの★4武器の威力に追いつかず、序盤は★4武器“パプニカのナイフ”を引けたかどうかで快適さが大きく変わってしまう。
引けなければゲームの進行は途中で止まり、ストレスの元になる。
スタミナも最近のゲームとしては早めに尽きる(回復薬は結構もらえるが)ので、プレイ回数も足りないように感じてしまう。

さらに、“パプニカのナイフ”はゲームの進行速度だけでなく、目玉であるアクションバトルの面白さにも影響を及ぼす。
★4武器“パプニカのナイフ”には強力な奥義技“アバンストラッシュ”を利用する能力も付属する。
このゲームは相手の体勢を崩して奥義をたたき込むアクションが楽しいわけで、その楽しさは強力な奥義あってこそ。
必殺技を叩き込んでも爽快なダメージが入らないアクションなんて、面白みに欠けるのだ。

ガチャから★4装備の出る確率は3%だが、★4防具があたると攻撃力が足りなくなるので、体感的には武器が当たったときだけが当たりに感じるのも厳しい。

しばらくプレイすると★3武器はドロップで手に入るから必要装備をすべて限界突破させられるし、ゲームを進めるほどにボード解放、スキルレベル向上など、課金に頼らない育成要素の比重が大きくなるため、中盤まで行けばプレイ時間を裏切らない作りであることには気づく。
だが、そこまでが「0.5%で当たるパプニカのナイフがあれば楽しいゲーム」というのはあまりにもツライ(他の★4武器は見劣りする)。
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▲ボードの解放もプレイ回数による解放のため、装備が手に入らないときはボードを解放するために足踏みする感覚が出てしまう。

本作はやり応え、やり込み甲斐ともにあるゲームだが、序盤に印象がとにかく悪いし、面白さが運に左右される。
私自身、『ダイの大冒険』が好きだから金を払って★4確定有料ガチャを利用したが、そこで★4防具を得てしまったり、“アバンの剣”が当たってしまって残念な思いをした。

レビューでこれを書くのは気が引けるが、リリース時点の状況で言うなら“パプニカのナイフ”が当たるまでリセマラ(アカウントを作り直して、良いアイテムが引けるまで序盤を繰り返すマラソン)してから遊んで欲しいとすら思う。
以上を承知で遊ぶのであれば、ファン向けに堅実に作ってあり、『ダイの大冒険』が好きなら新アニメ、原作漫画、関係なくおすすめとは言えるだろう。

筆者がファンとして個人の希望を言うなら、かつて漫画で構想がありながらも実現しなかった魔界編(漫画版のラスボスのライバルであった冥竜王ヴェルザーと戦う予定だったらしい)がゲーム内で実装されることを期待したいのだが……現在のところヒュンケル加入までのストーリーしか実装されていないので、2年、3年先の話だろうか。
自分は原作ファンなので地道に続けていきそうだ。

プレイ動画:


概要:
ダイの大冒険をベースにしたアクションRPG。バトルは駆け引きがあり、爽快でもある。

評価:5(楽しめる、ただし良い武器を持っているなら+1、ダイ大ファンなる+1)

おすすめポイント
 適度に腕がモノを言うアクションバトル
 原作ファン納得であろうアニメのようなグラフィック

気になるポイント
 目新しさはない
 リリース時点で言えば序盤、パプニカのナイフが当たらなければ面白さが目減りする

アプリリンク:
ドラゴンクエスト ダイの大冒険 -魂の絆- (App Store 無料 / GooglePlay 無料)

開発:DeNA(日本)
販売:スクウェアエニックス(日本)
レビュー時バージョン:1.0
課金:なし

ライター:寺島壽久(ゲームキャスト トシ)
ゲーム紹介サイト、ゲームキャスト管理人でゲームライター。
アクション、新しさのあるゲーム、旅を感じるゲームが好き。
Twitterでも情報発信中

2021.10.05 修正
ガチャから出るアイテムで序盤の面白さが左右されるとき、普通にプレイして手に入る確率が低い場合(序盤をプレイしてガチャで引いて半数のプレイヤーは手に入らないだろうと思われるとき)は低い基準で評価するポリシーへ改め、その前提で終盤の欠点の文章を修正し、評価を7から5へ変更しました。