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神となって魔物の住む大地に降り立つアクション、弱い人間を導くSLGの2つが一体となって生み出す物語ゲーム『アクトレイザー・ルネサンス』。原作と比較せず、新作としてレビュー

アクトレイザー・ルネサンス (App Store 2,440円 / GooglePlay 2,440円 / Steam 3,520円)
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神となって魔物と戦い、人が生きられぬ土地を切り開き、人類を繁栄へ導く『アクトレイザー』。
1990年にスーパーファミコンで登場し、今なお根強い支持をもつ作品が『アクトレイザー・ルネサンス』としてリメイクされ、令和に登場した。
魔物と戦う骨太のアクションパート、人間たちを導いて文明を発展させるクリエイションパート(シミュレーションパート)の2つを行き来するシステム、神の視点で人間と接する物語は、リメイク版でも高い独自性と魅力をはなっている。
今回は、そんなリメイク版を前作と比較をせずに1本の新作として紹介していく。

ゲームの舞台は人間が滅び、魔物が栄える大陸。
ここを人間であふれる場所にすることがゲームの目的となる。
大陸はほぼ人間が住めない状況なので、プレイヤーはまず危険な土地に切り込み、その地を支配する魔物を討伐し、人間の住める土地にしなければならない。
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この討伐は2Dの横スクロールアクションで描かれる。
ステージは大陸に存在するさまざまな地方の特徴がそのまま舞台になっており、見た目、仕掛けもバリエーションは豊か。
大陸に存在するさまざまな風景、個性豊かな敵や仕掛けを見ることも本作の楽しみと言えるだろう。
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ステージのラストに待ち構えているボスも地方の特性を反映しており、使い回し一切なし。
それぞれが個性的な攻撃パターンを持つ。
ダメージを受けて力尽きる前に、このボスを倒せればステージクリアだ。
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アクションパートの操作はスティックによる移動、ジャンプ、剣を振るう攻撃、バックステップ、そしてMPを消費して使用する切り札魔法の1スティック4ボタン。
攻撃ボタン上フリックで上昇切り、ジャンプ中にしたフリックでの急降下切りも使用できる。
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ステージは敵がいるだけでなくトラップも多く、ジャンプのタイミングをミスすると針の上に落下してしまったり、敵の攻撃を受けてしまったりとそれなりに手応えはある構造。
筆者自身はタッチパネルだけでクリアしているが、大画面・コントローラーで遊びたいゲームであると感じた。
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▲正直、ハードモードはタッチパネルでやりたくない。

ゲームの傾向としては、ややキャラクターの動きが硬いが、動かしていて楽しいゲームではあった。
バックステップの移動距離が長く、無敵時間(ダメージを受けない時間)がバックステップ後も少し続くため、アクションになれたプレイヤーならスラスラ快適に進めるだろう。

一方、コツコツクリアする手段も用意されている。
ステージ内で“オーブ”を集めると最大で5段階まで攻撃・魔法ダメージが上昇する仕組みになっており、ボスが難しくてもこれを集めれば突破は容易になる。
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▲オーブを集めきると金のオーラに包まれ、攻撃力は2倍に!しかも、倒れても1回その場で復活可能。

さらに難易度がEASY・NORMAL・HARDの3段階用意されており、EASYなら無限にやり直せるし、敵から受けるダメージも低いのでアクションが苦手でもプレイ可能。
NORMALは普段アクションをプレイしない層でもなんとかクリアでき、HARDならパターンをある程度覚えないと攻略できないし、アクションゲームを好むプレイヤーでも多少苦戦する難易度。
ストーリーを主体に楽しみたいプレイヤーも、手応えを楽しみたいプレイヤーにも応える柔軟な作りで、この点でスタッフはかなり良い仕事をしている。
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▲エフェクトをOFFにすると画面が見やすくなるので、見づらいと思ったら切るといい。

旧作のステージ構造を引き継いでいるため現代にそぐわない(床が見えないなか飛び降りを強要され、角度によってはトラップにかかるなど)場面があったり、一部の敵やトラップが見えづらいなどツメの甘い部分も見られるが、アクションパートは充分楽しめるものに仕上がっている。

さて、アクションパートでボスを倒すと土地が浄化されて人間が住み始め、天使を操作してそれを導く“クリエイションパート”が始まる。
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このパートは、人間文明の発展を手助けし、見守るパートだ。
『シムシティ』のように都市を造るのではなく、神が行うのはあくまでも手助け。
土地を切り開き、人間たちに開拓する方向を示すと、見ているだけで勝手に街ができあがっていく。
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▲天使を使って開拓方向を指示する。

ちまちまと人間が動いて町を作る様は見た目に楽しい。
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また、神に祈る人間とその反応、人間たちの中でも大きな力を持つ英雄との会話を通じて各地域ごとに完結した物語も用意されており、クリエイションパートは見て楽しめるモードと言えるだろう。
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もちろん、神の役割はただ見ているだけではない。
人間たちは、日々の生活で困ったことがあるたびに神頼みする。
「息子が家出してしまいました!」
「森を切り開けません」
などなど。プレイヤーはこれらを解決するため雷を落として森を焼くなどの奇跡を示したり、天使を操作して魔物を撃ち倒したりと、忙しく動き回ることとなる。
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▲土地にあわせて住人の姿も変わる。

土地には魔物を生み出す“魔物の巣”があり、この上に入植するときも神の出番だ。
ここのときは、狭く短いステージで”魔物の発現器”を破壊するアクションパートに移行する。
序盤は簡単だが、後半になるとボスキャラクターと弾幕を張る”魔物の発現器”が同時登場し、HARDでプレイしていればアクション好きならばきっと気に入るだろう。
EASY・NORMAL ならごり押しでクリアできるので、アクションが苦手でも短いイベントとして楽しめるはずだ。
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▲右上の黄色い円が魔物の発現器。弾幕を張る上に魔物も襲ってくる。

楽しいことが多いクリエイションパートだが、残念な部分もあった。
それは、魔物の群れから町を守る“魔群侵攻”だ。
“魔群侵攻”は、時間経過で攻め寄せてくる魔物に対して、街に建築した砦や砲塔を軸に、英雄という特別強力なユニットを移動させて防備を固めつつ、限られた資源で柵を作ったり、奇跡を起こして敵を攻撃して敵を全滅させるタワーディフェンス風の遊びとなっている。
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町を作るパートで、作った町を利用したタワーディフェンスが始まるというアイデアは良い。
が、魔物の侵攻ルートや特性はわかりづらく、説明も少なく、プレイヤーに与えられる情報は少ない。
そのうえでアドリブで出来ることは限りがあるので、戦術を試されていると言うより初めてでは対処できない攻撃パターンを繰り返す「初見殺し」の連打。
序盤は簡単で気にならないが、中盤以降(とくにマラーナ)では難易度が上がってストレス度は高い。
全体的に見てプラスかマイナスかで言われるとクリエイションパートは楽しいのだが、この“魔群侵攻”がテンポを損ね、ゲームとしての面白みを大きく削いでいる。
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アクションパートは粗があるが楽しめる、クリエイションパートは大きな欠点があるがギリギリ遊べる。
それだけ聞くと、「どちらも遊べる程度なら、買う理由もないのでは?」と思う方もいるだろう。
しかし、それは違う。
なぜなら、この2つのパートが渾然一体となって生み出される物語体験が特別だからだ。
プレイヤーは神としてアクションパートで魔物を倒し、クリエイションパートでは奇跡を起こし、天使で魔物を撃退して、苦労して人間を助ける。
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しかし、人間たちに神は見えないから、魔物の巣を封印して犠牲者が出れば「なぜ、神は助けてくれないのだ!」と言うし、身近にすぐ助けになるものがあれば即物的に頼り、神をないがしろにもする。
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神が確かに存在する『アクトレイザー』の世界では人間の信仰心も強い。
が、それでも困ったときに都合良く神頼みする面もあり、日本にありがちな「困ったときの神頼み」を頼まれる神側の視点で感じられる。
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プレイヤーが苦労して魔物のボスを倒し、手間をかけて人間の望みを叶えるからこそ「こんなに頑張っているのに、人間は!」と、強く神の視点に感情移入して感じられるのは『アクトレイザー』ならでは。
そういった意味では、苦痛を感じる”魔軍侵攻”のパートすら物語を彩るものとも言えるだろう。
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▲ほんと、神がこんなに頑張っているのに人間ときたら……。

同時に、プレイヤーは人間だから、そんな身勝手さを見せつつ悪と戦って成長していく人間たちにも感情移入できる。
ゲームに登場する人間は完璧ではないが、それでも前に進んでいく。
人間であるプレイヤーの視点、神であるゲーム内の視点、両方を同時に感じることで「人間という生き物の素晴らしさと、勝手さ」について改めて感じられる独創的な物語体験が生まれている。
これは原作から評価が高い部分だったが、『アクトレイザー・ルネサンス』にも形を変えて受け継がれ、いまも輝いている。

『アクトレイザー・ルネサンス』はスクウェア・エニックスの販売作品だが、粗く独自の魅力が光るインディーゲームのようなものだ。
スマホなら1,200円で、PCでも2,500円程度で名作インディーゲームを買える現在、総合的な完成度の高いゲーム、特定のジャンル……例えば純粋にアクションだけを楽しみたいなら『アクトレイザー・ルネサンス』を選ばず、他のゲームを選ぶべきだ。
だが、その2つが一体となった神と人間の物語体験はユニークだし、そのついでにアクションも楽しめるゲームとなると『アクトレイザー』しか私は思い浮かばない。
そういった体験を知りたいなら、選択肢に入るゲームとは言えるだろう。

プレイ動画:


概要:
神となって人間を導くゲーム。魔物と戦うアクションパートと、人間を導いて街を作るクリエイションパートの2つを行き来し、人間と神の視点で物語を体験する。

評価:6(面白い、ただしスマホの小さい画面だと5)

おすすめポイント
 神と人間の視点を同時に考えられる物語体験
 腕前に応じて楽しめるアクションパート
 BGMはスーパーファミコン音源、アレンジ音源の2種が選択でき、どちらも良い

気になるポイント
 魔群侵攻は明確に出来が悪い。
 アクション、クリエイション、どちらも単体では専門ゲームの方が完成度が高い
 タワーディフェンスはない方がマシな作り

アプリリンク:
アクトレイザー・ルネサンス (App Store 2,440円 / GooglePlay 2,440円 / Steam 3,520円)

開発:Sonic Powered(日本)
販売:スクウェアエニックス(日本)
レビュー時バージョン:1.0
課金:なし

ライター:寺島壽久(ゲームキャスト トシ)
ゲーム紹介サイト、ゲームキャスト管理人でゲームライター。
アクション、新しさのあるゲーム、旅を感じるゲームが好き。
Twitterでも情報発信中

 コメント一覧 (2)

    • 1. ななし
    • 2021年09月27日 10:34
    • 最後の金額表記間違いかな?

      レビューありがとうございます。
      買う踏ん切りがつきました!

      多少の粗は良いんでこの勢いでクインテット三部作もリメイクしてくれたら嬉しいんですけど…笑
    • 2. なかう
    • 2021年09月28日 20:09
    • レビュー内容に対して点数が辛口気味という誠実な姿勢に笑いました。
      思い出補正抜きだとこんな感じですよね

      レビュー本文でも触れてもましたが今はインディーズの質が高く軽快なアクション、町の発展、だけなら面白い作品多いですよね

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