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Apple、アプリストアの独占禁止法違反を指摘する集団訴訟で和解。アプリ外での支払い誘導許可、ストア検索の改善、アプリ審査不服申し立てのガイドライン追加などを発表

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Appleは、App Store のルールが独占禁止法に触れるとして争われていた集団訴訟で和解にいたり、App Store のルール変更などを行うことを発表した。
この訴訟は手数料や最低価格の義務付け、アプリストアの独占など、App Store のルールが独占禁止法に違反するとしていたもので、Epic Gamesとの訴訟とは別に2019年6月より、カリフォルニア州北部地裁で争われていた。
Apple は他のアプリストア許諾、手数料などの項目は認めなかったが、外部決済の案内メールの許諾、小規模開発者支援、アプリストアの透明性の確保など、複数の約束している。
以下に、主なものを箇条書きでまとめておこう。

1.開発者は、Apple の提供する決済以外をメールなど外部で案内できる。
2.年間売上100万ドル未満の企業が手数料15%となる割引を3年は継続する。
3.開発者が、App Store 以外での支払いオプションについてアプリユーザーとアプリ外のメールなどで案内できる。
4.App Storeは価格設定が現行の100未満から500以上へ変更される(現行では0.99ドルから1ドル刻みだが、例えば1.49ドルなどの細かい設定が用意される)
5.App Store の検索について、新しくて質の高いアプリが発見される機会を作る方法などのテストを行う。
6.アプリメーカーが App Store の審査で不当に差し止められたと感じたとき、その決定に異議を申し立てられる。この仕組みを維持し、App Store Review Guideline に手順を書き加える。
7.Appleはアプリの審査落ちの割合、検索クエリ、その他の開発者の問題に関する情報を含む年次報告書を公開し、透明性を確保する。
8.米国に限り、COVID-19で苦しむ小規模開発者向けに1億ドルの基金を設立し、規模に応じて250ドル~3万ドルの支援する。

この中でも目立つのは、「開発者は、Apple の提供する決済以外をメールなど外部で案内できる」という項目だろうか。
これは単純に「アプリ外で決済できることを告知しても良い」という通知の権利だ。

Apple が App Store でアプリ内で電子アイテムを提供する場合、Apple の決済を強制していて、アプリ内から外部決済への誘導も許していない。
そのため、電子書籍アプリ Kindle などでは本をアプリ内で購入できないなどの弊害を生んでいることは有名だ。
しかし、実態としてはさらに厳しく、アプリ開発者はアプリ外に購入手段(たとえば、Youtube プレミアムなどの視聴サービスは、アプリ内購入だけでなくウェブサイトから申し込める)を案内することも禁止されていた。

これに対して、ようやく「アプリからは購入できない、もしくは手数料がかかるからWEBサイトで購入してね」とユーザーにお知らせすることが許諾されたわけだ。

「そんなこともできなかったのか!」

と驚かれる方も多いかもしれないが、それほどの強権に対して、小さいながらもメスが入った形となる。

また、これまで小規模開発者が苦労して情報を得ていた検索ワードの公開は開発者に嬉しいはずだし、新作が探しづらい(Appleがフィーチャーするアプリをのぞいて導線がない)と言われていたアプリ検索についても何らかの改善が加われば開発者もユーザーも助かる。
この発表は、Apple をのぞく企業やユーザーにとっては小さくとも朗報と言えるだろう。

関連リンク:
Apple, US developers agree to App Store updates - Apple
Apple will allow developers to email customers to bypass App Store billing

2021.08.27 18:40 修正
アプリ外部決済について誤解を招かないよう、より詳細に記しました。