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Valve、Steamのゲームが遊べる携帯ゲーム機『Steam Deck』発表。AMDと提携でZen2/RDNA2世代のカスタムAPUを搭載し、Steam OS3.0採用でWindows向けのゲームも動作

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Steam の運営で知られる Valve より、Steam のゲームを遊べるポータブルゲーム機 Steam Deck が発表された。
価格は $399 からで、2021年12月より、アメリカ、カナダ、欧州連合、イギリスで出荷開始し、その他の地域でも2022年に出荷予定となっている。
OS には Linux をベースとした Steam OS3.0 を搭載しており、Windows 向けゲームを実行可能にする Proton 互換によって開発者は移植作業なしでゲームを実行できるという。
メインとなるチップは AMD と提携して Zen 2 / RDNA 2 世代のカスタム APU を制作しており、Valve は「最新の AAA タイトルの実行にも充分なパワーを発揮します」としている。

実際に公式ページで性能を見ると、CPU は最大 448GFlops、GPU は最大 1.6TFlops、RAM16GB とされている。。
CPU / GPU の性能で言うと、PS5 は 896Gflops / 10.28TFlops、PS4 Pro が 136.3Gflops / 4.2TFlops、初代 PS4 は 102.4Gflops / 1.84TFlops(※PS4、PS4 Proの性能はITMEDIAの記事より)
ストレージが高速だとか、RAM が16 GB(PS4は8GB)などの要素はあるが、乱暴にグラフィックにおいては PS4 程度の性能は持っており、CPU に関しては現行世代に近い性能を持っている携帯ゲーム機と言えそうだ。
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今までのところ、PS5 や Xbox Series X など、最新のゲーム機に供給されるゲームは AAA タイトルであっても PS4 / Xbox One 版が提供されているから、PS4 並にグラフィック設定を落とせば充分に動くはずだ。
設定を落としたとしても、小さい7インチの画面であれば大画面でプレイするときよりも気にならないだろう。
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▲公式ページでは『二ノ国 白き聖灰の女王リマスター』などがプロトタイプハードで動いている様子が確認できる。

一方、当たり判定や物理演算など複雑なゲーム処理をこなす CPU は現世代機に近いから、CPU性能不足から苦しんだと言われる『Cyberpunk 2077』のようなゲームでも動くことが予想される。
グラフィックは PS4 並(あくまで数字からの予想)、CPU 強い設定は良い落とし所でではなかろうか。
少なくとも、私は「AAAタイトル実行に充分なパワーを発揮します」という言葉に一定の真実味を感じた。

ディスプレイは7インチ、1280 x 800px(アスペクト比16:10)の光学結合 LCDで、400 nit、リフレッシュレート60Hz。
Bluetooth 5.0でコントローラーやヘッドセットなどのアクセサリと接続可能。
Wi-Fi は、2.4GHzおよび5GHz、2 x 2 MIMO、IEEE 802.11a/b/g/n/ac。
microSDカードを挿してストレージを拡張可能。
サイズは298mm x 117mm x 49mm、重量約669g。
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▲参考までに、Nintendo Switchが398g、Switch Liteが275g。ゲームギア電池込みの510gを越える重量感。

コントローラーとしては4ボタン、2スティック、左右に2つずつLRグリップボタンを配置。
十字キーと、タッチパネル、さらにはトラックパッド(マウス的な動作を補助する)、ジャイロセンサーを搭載し、往年の Steam コントローラーのように PC ゲームが遊べそうだ。
キーボードは仮想キーボードを使用する。
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また、ステレオスピーカー、マイクを内蔵しており、単体でボイスチャットでゲームも楽しめる。
USB-Type C 端子が1つ付属しており、これを通じてヘッドセット、ディスプレイ、コントローラーなどの接続も可能。
バッテリーは40Whで、公式には2~8時間のプレイが可能とされている。
ゲームストリーミング、小規模な2Dゲーム、Webブラウジングのような軽い使用の場合は最大7〜8時間の使用が期待できるとのこと。

気になる価格は、最安の eMMCストレージ 64GB モデルが $399。
高速ストレージを採用した256GB NVMe SSDモデルは $529。
最上位の 512GB NVMe SSDモデルは $649 となっている。

なんだかんだで Steam のセールで積みまくったゲームは多いわけで、それをどこでも消化できるのは嬉しい。
ただ、まだ Steam Deck について、動作パフォーマンスと互換性には懸念点がある。
Windows 向けゲームは、Valve が開発した Proton が Windows の動作を真似ることで動く(互換動作)。
Proton による動作パフォーマンスが Windows 10、そして今後リリースされる Windows 11 と比較して同等になるのか。
Proton リリース時は互換性が十分ではなく、とくに新しいゲームがエラーで動かないなども報告されていたが、互換性が十分改善されたのか。
これは重要な問題だ。
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▲公式ページに多数のゲームのスクリーンショットがあり、かなり互換性の問題が改善されていることは容易に想像されるが……。

とは言え、日本にやってくる2022年頃には製品の評判もはっきりするだろうし、楽しみに待ちたい。

関連リンク:
Steam Deck