登場人物の台詞を入れ替えて行動を変えるパズル・コミック『Fate of Kai』レビュー。1時間強でスッキリ終わる、遊べる漫画単行本
- アドベンチャー
- 2021年03月23日
Fate of Kai (App Store 490円 / Steam 1,220円)
1冊のコミックとして冒険を表現し、その登場人物の台詞を変更することで結末を変える、言うなれば"遊べるコミック”とでも言うべきゲームが『Fate of Kai』だ。
主人公の少年 Kai は、寝るたびに不思議な世界にいる夢を見る。何度も夢の世界に迷い込み、あるとき夢の世界こそが現実で、現実が夢の世界であるかのように感じ始め、夢の世界に深くのめり込んでいく。
プレイヤーは、そんな少年を現実に引き戻すため、登場人物の台詞に手を加えてコミックをハッピーエンドに導かねばならない。
冒険は1冊のコミックとして表現されて、プレイヤーは電子書籍を読むように、ページをめくって物語を進められる。
日本語には対応していないが、ストーリーは絵を見ていればわかるので、ほぼ英語力は要求されない。
夢の世界だけあって物語の舞台は次々と変化する。
謎のひまわり畑に始まり、仮面をつけた男たちの街、地下強制労働場などが見られるのも特徴だろうか。
しかし、そんなコミックも読み進めるとあるところで物語が破綻して冒険が終わってしまう。
プレイヤーは、コミックの展開を書き換え、この物語を完結させなければならない。
本作では主人公を直接操作することはできないが、プレイヤーは登場人物の吹き出しに手を加え、台詞を変更して間接的に物語の展開を変えられる。
下のページではネズミが種をつかんで食事をしており、吹き出しには“GRAB(掴む)”と書いてあって、右には空の吹き出しがある。
▲吹き出しの単語は、常に1語なので英語がわからなくても単語が検索できれば遊べる。というか、絵を見れば単語の意味も想像がつく。
左側の“GRAB”をタッチすると、吹き出しからその単語が消え、プレイヤーのメモ帳に保存される。
ここに保存した単語は、好きな位置の吹き出しに配置できる。
試しに、宝箱の吹き出しに“GRAB”を貼ってみると……。
少年 Kai は宝箱を掴み……そして、宝箱から伸びてきた鎖に捕まってしまう。
GRABするって、宝箱が少年をつかむのかよ!
ちなみに、空の吹き出しのまま放置してページをめくると「少年は面白そうな宝箱に興味を示さなかった。物語は終わりだ」と、バッドエンドを迎える。
と、こんな感じで登場する単語を集めて、適切なシーンで使うことで物語は進む。
最初こそ単純だが、だんだんと「この単語を使えば2ページ先の展開が変わるかも」「同じような単語だけど、順番を変えたら結果が変わるかも」と細かい単語の使い分け、展開に対する想像力が試されるパズルになっており、なかなかに楽しい。
また、ゲームは短いがギュッと詰まっており、新しい仕掛けも次々に登場する。
たとえば序章から少し進むと、橋が壊れている。そこで砂時計が出てきて……。
これをタッチすると過去の回想シーンへ(過去に戻るので、左にページを読み進める必要がある)。
そして、過去を変えることで現在が変化するとか、過去の人間から言葉を取り上げて現代に持ってくるとか、そういった工夫も楽しめる。
1プレイは1時間強だろうか。
退屈する間もなく物語の舞台は変わり、パズルの仕掛けは次々登場し(比較的簡単なので、詰まることも少ないと思う)、エンディングを迎える。
夢をテーマにした物語はありきたりではあるが気持ちよく終わり、鮮やかに彩色された総計700コマのコミックはなかなかに見応えがある。
価格はSteam 版が1,220円(ハードカバー書籍が買える!)に対して、スマホ版は内容が変わらないのに490円。
「1時間のゲームに490円は出せない!」と思う方もいるかもしれない。
だが、退屈せずに最後まで楽しめるるフルカラー仕掛け付きコミックと考えると安い。
ここまでの紹介を見て興味がわき、ジャンプコミックス1冊分程度で1時間以上もパズル付きコミックが読める、と考えられる人なら試して損はないと思う。
プレイ動画:
概要:
夢の世界に迷い込んだ少年を導くコミック。コミック内の吹き出しの台詞を切り貼りして展開を変更するパズルも楽しめる。評価:7(要チェック)
おすすめポイント


気になるポイント

アプリリンク:
開発:TRYLIGHT(アルゼンチン)
HP:https://www.trylightgamestudio.com/レビュー時バージョン:1.0
課金:なし
ライター:寺島壽久(ゲームキャスト トシ)
ゲーム紹介サイト、ゲームキャスト管理人でゲームライター。
アクション、新しさのあるゲーム、旅を感じるゲームが好き。
Twitterでも情報発信中。
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