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剣と魔法の戦記シミュレーションRPG『キングダムオーダ‪ー』レビュー。PS・サターンならフルプライスの内容を持つ骨太作品

キングダムオーダー (App Store 無料 / GooglePlay 無料)
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かつて、剣と魔法が力を持つ世界で、さまざまな勢力が入り乱れて戦うファンタジー国盗りゲームが多く出ていた時代があった。
『ドラゴンフォース』や『スペクトラスフォース』など、セガサターン、プレイステーション時代に登場した剣と魔法の世界を舞台としたシミュレーションRPGたちの時代だ。
将軍を集めて最強の軍団を作って国盗りをする面白さ、各勢力のそれぞれのドラマが別視点で楽しめる良さがあったのだが……いつの間にか、あまり市場で見なくなっていったように思う。
が、今日紹介する『キングダムオーダー』は、久々に見つけたそれらの系譜に連なる力作。上記のタイトルでピンときた方は、DLして損はない1作だ。

本作は、内政で国の軍事力を上げて他国を侵略し、30年以内に大陸を統一するゲームとなっている。
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ゲーム開始時、プレイヤーは異なる特徴を持つ7つの勢力から1つを選んでゲームを開始する。
正義のために立ち上がる国もあれば、他の国を蹂躙したい国も、君主がかつて奴隷だったトラウマから行動に出る重いシナリオの国もある。
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また、各勢力には複数の将軍が所属しており、それぞれに兵士を指揮する指揮官としての能力、指揮官の補佐をする副官としての能力、内政時の能力が設定されている。
この将軍の好みで決めるのもまたいいだろう。
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ゲーム時間は春夏秋冬の四季を1ターンとして、季節が巡るたび内政と侵略の2つを行い、これを4回繰り返すと1年が経過する。
まずは内政から説明していこう。
本作の内政は軍事リソースの強化に特化しており、内政時に行えるのはコマンドは将軍の能力を上げる“訓練”、土地を探索して武装や在野将軍を見つける“探索”、兵士を探し出す“徴兵”の3つだけとなっている。

このうち特に重要なのは将軍を見つける探索で、内政も侵略も将軍がいるほどに有利になる。
本作の侵略時は将軍を多く連れていくほど有利になり、内政時は配下の将軍の人数と同じ回数まで探索や徴兵ができる(なお、内政を行った将軍はそのターン侵略できなくなるので注意)。
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また、将軍や兵士を雇うと国の収入を圧迫するが、兵士につける装備は維持費がかからず、探索で見つけるだけ得する。
兵士や将軍を限界まで雇い入れたあとでも探索は重要となる。
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続いて“徴兵”は戦争して土地が増えると重要になるコマンドだ。
戦争して土地が増えたら、より多くの兵士が雇える。兵士が多い方が有利だから、土地が増えるたび収入限界まで兵士を集めるわけだ。
なお、兵士にレア度があり、同じ兵士を2体合体させるとよりレア度の高い兵士が生まれる。
収入が許す限り徴兵し、合体させ、兵士を雇おう。
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▲徴兵だけでなく、戦争時に兵士や将軍を捕縛し、仲間にできることもある。

将軍のレベルが侵略時に重要となるため、主要な指揮官は“訓練”することも忘れずに。
本作では指揮官・副官・兵士の総合力で部隊の力が決まる。
指揮官は将軍は「弓兵の攻撃力+15%」などの指揮官能力に加え、戦闘時に1回だけ強力なスキルを使える。
副官は最大3人まで設定でき、それぞれに副官能力がすべて発揮される。
また、部隊には“統率力”という値と同じだけ兵士を所属させられるが、この値は指揮官の統率力+副官の統率力の3分の1。
強い指揮官、強い副官を揃えることがとても重要だし、訓練するほどスキルの威力と統率力も上がる。
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▲指揮官や副官がいないと強い兵士を部隊に入れられない。兵士が弱いと指揮官が強くても戦場で活躍できない。

で、内政コマンドを決定すると次は侵略フェーズがやってくる。
このフェーズでは、自国の領土と地続きの土地に攻め込んで侵略できる。
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戦争は半オートで進行し、時間とともに画面左側からプレイヤー側の舞台が、右側から敵部隊が事前に設定した編成で一定時間ごとに自動で出撃し、勝手にぶつかり合うごちゃキャラバトルとなっている。
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プレイヤーが介入する要素は2つ。
1つ目は、兵士Pを消費して特定の部隊を即座に再出撃させる“出撃”。
兵士Pとは、国の軍事力のようなもので1ターン経過するたびに蓄積していく。少し戦争をやめて兵士Pをため込んでから侵略すれば、兵士を出撃させまくって大勢で攻撃できるわけだ。
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2つ目は、指揮官スキル。
戦争時は時間とともにSPが増えていき、このSPを消費して指揮官スキルを使用できる。
指揮官スキルは戦場全体に大きな影響を及ぼすものもあり、出撃で兵士が大量に出ていても一気に殲滅できるときもある。
スキルと出撃の使いどころで、戦局はかなり変化する。
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で、最終的に兵士が画面右側の拠点を破壊すれば土地はプレイヤーのものとなり、300秒経過するか、画面左側
の味方拠点が破壊されれば敗北となる。
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珍しいことに、本作では敗北時したときはペナルティがない。
しかも、敗北しても侵略した土地は防衛補正が戦争被害(基本的に長く戦うほど)に応じて下がるのでメリットの方が大きい。
防衛補正が高い土地は敵が強くなるが、連続で攻め込むと防衛補正が100%を切って兵士が弱体化し(戦争に疲れて本来の力を出せないようなイメージ)、簡単に攻め落とせるようになる。
防衛補正はターンの経過で回復してしまうので、侵略時は連続で畳みかけた方が良い。
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▲防衛補正。基本的に100%を超えているが、戦争の仕掛け方によっては一気に50%落ちることも。100%を切ると、本来の力よりも兵士が弱くなる。

なお、兵士は歩兵、魔法兵、弓兵別れており、歩兵は弓に強く、魔法兵は歩兵に強く、弓兵は魔法兵に強い3すくみがある。
しかし、いろいろな勢力があるから偏りすぎると特定の勢力に勝ちづらくなり、結局はバランス型になる。また、なんだかんだで防衛力を下げれば攻め落とせてしまう。
侵略のシステムに関してはわりと大味だが、味として楽しめる範囲だし、人によっては「ああ、昔はこんな感じだったな」と楽しめる要素になっていると感じた。

ゲームの全体の感想としては「よくこれだけのものを1人で作ったなぁ」と感心してしまった。
戦争と内政のゲームのつくりもそうだし、ストーリーもそうだし、なんなら将軍たちには個別にバックストーリーがあって、戦場で特定の組み合わせで顔合わせすると固有の会話も発生する。
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邪魔にならない程度に各勢力の物語が入れ込んであり、開戦時の勢いよく演出され、プレイヤーに負けて旗色が悪くなった時には国の様子に応じて強がったり、内部でいがみ合いが発生したり。
滅びるときなどは無常感を感じることも。
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システムとしてはクリアのたびに引継ぎ要素が増えていき、より高い難易度に挑戦する要素もある。
大陸に住む魔族の土地などは高い難易度でなければ侵略できず、勢力を変え、何周もして遊べるつくりにもなっている。
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▲高難度でしか挑めない魔人の土地。もしかしたら、戦乱に隠された事実があるかも?

最初にプレイステーションやセガサターン時代のシミュレーションRPGの系譜であると書いたが、当時であれば5,800円のフルプライスで売られて不思議はないほどのゲーム内容が『キングダムオーダー』にある。
これで完全無料なのだから驚きだ。
広告が消せない(数ターンごとに5秒で飛ばせる広告が入った)のは難点だが、それを差し引いても十分楽しいし、前記のゲームが好きなら見逃せない1作でもある。
ファンタジー戦記物が好きなら、ぜひこの『キングダムオーダー』を手に取って欲しい。

プレイ動画:


概要:
大陸統一を目指し、7つの勢力が争うシミュレーションRPG。将軍、兵士、装備をため込んで戦うのが楽しい。

評価:7(要チェック)

おすすめポイント
懐かしのファンタジーシミュレーションRPG
将軍を集めて最強部隊を作って物語を進める面白さ

気になるポイント
広告が消せない
部隊を強化しても、どれだけ強くなったかわかりづらい(何となく強くなっているが…)
戦争は大味(ただ、それもまた味)

アプリリンク:
キングダムオーダー (App Store 無料 / GooglePlay 無料)

開発:R.O.App(日本)
HP:https://sites.google.com/site/roappgame/
レビュー時バージョン:1.0.6
課金:無料

ライター:寺島壽久(ゲームキャスト トシ)
ゲーム紹介サイト、ゲームキャスト管理人でゲームライター。
アクション、新しさのあるゲーム、旅を感じるゲームが好き。
Twitterでも情報発信中