残念なお知らせだが、このアプリはゲームじゃない。
大丈夫、キミはTVを見ても良いし、外に行ってもいいし、本を読んでもいい。
このアプリは返金をしても……いや、開発者にも生活があるからそれだけは……お、おい、何をしているんだ！？
タイトル画面をいじるんじゃない、おとなしく外で遊べ！
今日は、意思を持つゲームアプリと会話し、アプリ自身が予想もつかない方法でプログラムを破壊しながら物語を進めるゲーム……いや、ゲームじゃないからアプリか？
コホン、ともかく『There Is No Game: Wrong Dimension』を紹介しよう。
本作はプログラムの裏をかいて謎を解くアドベンチャーとなっている。
ゲーム開始時（最初はゲームじゃないからアプリか）、何も遊ぶモノはなく、アプリ自身が「これはゲームじゃない」と語りかけてくるだけ。
確かに今はそうだが、「THERE IS NO GAME」の文字を壊したら、「THERE IS GAME」じゃないか？
文字を叩いて壊してやろう。タップタップ。
アプリ側もタイトル画面を補強して対抗するが、それでも執拗にタップして壊そうとすると焦り始める。
そして、私はついにアプリから妥協を引き出してやった。
▲鉄で補強し始めた。
「ほら、簡単なジャンケンゲームを実装してやったぞ！」と、じゃんけんゲームが始まる。
確かにゲームだが……令和にもなってジャンケンゲームで満足できるか。
もっと高度で面白いゲームになるまで、俺はプログラムを破壊し続けるぞ！
じゃんけんシステムを何かに使えるはずだ。
例えば、グーのカードから拳を抜き取って、アプリを殴り倒せないか……？
と言う感じで、『There Is No Game: Wrong Dimension』は、ゲーム画面に存在するモノを調べ、ときにドラッグして使用し、本来システムが想定していない使い方でゲームを進める謎解きゲームになっている。
閃きが要求されるため、何度解いても「なるほど、そうきたか」と感心する謎解きギミックだけで値段分の価値がある。
▲アプリが起動しているOSのウィンドウシステムに手を加えることも……？
しかし、それ以上に楽しいのがアプリ自身との会話だ。
本作はアプリ自身と会話しながら謎を解き、「NO GAME」を追っていく物語ゲームとなっている。
アプリは自分自身が被造物であることを知っており、ときにゲームを皮肉り、ときに面白おかしく茶化し、軽妙な会話でプレイを彩る。
▲いろんなゲームネタが……。
『ICEY』のナレーションがメタ的な楽屋ネタを差し込んでくることは有名だが、それと同じようなノリで楽しめることだろう。
ゲームの謎解きにあわせて、さまざまなパロディが差し込まれ（とくに第4章は笑ってしまった）、ゲーム業界の風刺ネタなどもある。
そして、それらのネタが（そして、謎の一部も）物語として取り込まれて最後に繋がっていく。
こういったメタ系、楽屋ネタのトークゲームは最終的にお説教じみていたり、愚痴っぽい側面が顔を覗かせたりする。
が、エンターテイメントに終始していて後味も良い。
が、エンターテイメントに終始していて後味も良い。
本作は昔からのゲーム好きならだいたいがハマれる、良い謎、良い物語の1作だ。
が、日本語に対応していないことが最大の泣き所。
英文は高校生レベルで字幕もある。ヒント機能が充実していて謎解きに詰まっても辞書を片手にヒントを見れば大丈夫。
それでも、ゲームをずっと英語で遊び続けるには気合いがいる。
幸い、本作には前日譚とも言える無料の試作品、『THERE IS NO GAME: Jam Edition』があり、これが体験版として機能している。
これが問題なく遊べれば『There Is No Game: Wrong Dimension』はおすすめだし、
さて、
プレイ動画：
評価：8（かなり面白い）
おすすめポイント
発想の転換を求められる謎
概要：
ゲームであることを拒否するゲームの正体を暴くポイントクリック型パズル評価：8（かなり面白い）
おすすめポイント
発想の転換を求められる謎 作者が好きなゲーム制作への愛を感じるストーリー気になるポイント
高校生程度の英語力と、英語を読み続ける覚悟は必要アプリリンク：
開発：Draw Me A Pixel（フランス）
HP：http://www.drawmeapixel.com/レビュー時バージョン:1.0.5
課金:なし
ライター：寺島壽久（ゲームキャスト トシ）
ゲーム紹介サイト、ゲームキャスト管理人でゲームライター。
アクション、新しさのあるゲーム、旅を感じるゲームが好き。
Twitterでも情報発信中。
