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最小限のローグライトな仕組みを備えたパズルRPG『Dungeon Falan』レビュー。ザ・直球『Dungeon Raid』クローン

Dungeon Falan (App Store 370円)
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2012年、『Dungeon Raid』というコアなスマホゲーマーの間で流行したパズルRPGがあった。
3マッチパズルの盤面をダンジョンに、パネルを消すプレイヤーを冒険者に見立てたパズルRPG……以上のものだった。
死んだら毎プレイ最初から、毎プレイランダムにダンジョンやパワーアップが生成されるなど、後に“ローグライト”と呼ばれて流行するゲーム群の特徴を備えており(2012年なのに!)、中毒者が続出。
『パズドラ』がこのゲームを参考に作られるなど、日本のゲーム業界にも大きな影響を与えた。
が、iOS ではこのアプリが削除されて久しい。

そんなところに登場したのが、今回紹介する『Dungeon Falan』。
直球の『Dungeon Raid』クローン系ゲームで、基本ルールは『Dungeon Raid』とほぼ同じ。細部は違うが、ビジュアルをアップデートした『Dungeon Raid』として遊べる。

『Dungeon Falan』 は、ランダムに落ちてくるパネルを縦横斜めに一筆書きでつないで消す3マッチパズルにRPGのバトル要素を加え、パズルでダンジョン探索を表現したゲームだ。
まず、プレイヤーは職業を選択する。
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▲最初はベーシックな冒険者しか選べないが、一定以上のスコアをとると職業は増え、極端な能力や固有スキルを持った職業が選べるようになる。

職業を選択すると、即座にパネルで埋められた画面……ダンジョンが出てくる。
プレイヤーは1ターンに1回、好きな位置を起点にして同じパネルをなぞり、縦横斜めに3つ以上つなげるとパネルが消え、消したパネルの種類に応じた効果を受けられる。
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▲画面上のXPがレベルアップまでに必要な経験値、↑マークが次の能力UPに必要なアップグレード値、コインマークが新しい装備購入までに必要なコインを示す。灰色の縦のマークがアーマー値、赤い球に示される数値がHP(なくなったら死亡)。

パネルは5種類。
コインゲージを増やすコイン、敵の攻撃を防ぐシールド値を回復させるシールド、HPを回復するポーション、そして敵を示すスケルトンと、スケルトンを攻撃するソードが存在する。
基本的にパネルを消すと良いことがあるのだが、スケルトンのパネルだけは特殊。
スケルトンは敵を示すパネルで、灰色の状態で落ちてきて、1ターン経過すると目覚めてオレンジになり、攻撃を始める。

スケルトンのパネルには小さく敵データが描かれる。
黄色い数字は攻撃力、青い数字はアーマー(防御力)、赤い数字はHPだ。
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敵の攻撃でHPがゼロになってしまうとゲーム終了なので、スケルトンを消すことは最重要なのだが……スケルトンは3つ以上連続してなぞっても消せない。
スケルトンとソードと連続してなぞると、ソード1つにつき攻撃力と同等のダメージを与えられ、ダメージによってHPをゼロにして初めてスケルトンは消える。
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▲スケルトンとソードのパネルは一筆書きでつないで消せる。同時に消したソードの数×プレイヤーの攻撃力だけダメージを与えられる。

スケルトンパネルを消すとXPゲージが増え、これが最大になるとランダムに提示される3スキルから1つを選んで習得できる。
スキルは「画面上のコインをすべて消す」とか「次の攻撃が2倍ダメージを与える」などの強力な効果を持つが、1度使うと一定時間利用できない。
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シールドパネルを消してアップグレードゲージが満タンになると、能力を上げたり、装備に特殊能力を付与したりできる。
これは装備に特殊能力を付加する2つのパワーアップと、能力アップ2つがランダムに表示される。
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コインパネルを消してコインゲージが満タンになると、ランダムに3部位の装備が提示され、どれか1つを強化できる。
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▲なんだか良さそうに書いているが、装備をアップグレードするとライフスティール(攻撃するとHPを回復)や毒などのアップグレードでつけた特殊能力が消えてしまう。大抵の要素はいい感じなのだが、装備にと育種能力をつけづらいことだけは気になる。

パネルを消すと上からランダムにパネルが落ちてきて、次のターンが始まる。
基本的にはエンドレスにこれが繰り返される。
プレイで重要なのは、「敵が強くなるより早く成長しろ」という原則。
敵の能力はターンが進むほどに強くなるので、プレイヤー側もそれに対応できるほど強くなり続けなければいけない。
これがゲームにジレンマを生み出す。

たとえば、スキル選択。
XPを貯めて得られるスキルの効果には「盤面の特定パネルの効果を2倍にする」ような成長系から、「1ターンダメージ無効」のような生存系まで幅がある。
覚えられるスキルは4つなので、ランダムに提示される中から、成長と生存のバランスがとれた組み合わせを作らなければいけない。
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▲ソードをシールドパネルにするスキルを使えば、盤面をほぼ全部シールドにすることも可能。スキルは非常に強力。

盤面の使い方も難しい。
画面にポーションパネルを多く保持しておくとダメージを受けても簡単に回復でき、保険として強力に機能する。
しかし、ポーションパネルをとっておくと、コインパネルやシールドパネルの数が少なくなり、成長が遅れてしまう。
どれだけ保険をかけて、どれだけリスクをとるか。

2012年作られたこのルールだが、改めて今プレイすると後に流行った”ローグライト”的な駆け引きが最小単位で詰め込まれていて、完成度の高さに驚かされる。
そして、それをなぞった本作もまたやはり面白い。

原作よりも(英語だけど)説明が増えているし、見た目もいくらか今風になってとっつきやすい。
ボス(特別に強い敵)を倒すと一度盤面がリセットされる独自ルールもあり、ピンチをしのいで逆転する仕組みも追加されている。
もし、これを見ているあなたが『Dungeon Raid』が初めてか、原始的なローグライトを遊んでみたいならこのゲームはおすすめだ。

ただ、熟練者だと延々とゲームが続きすぎて困る。
ここはハードモード、ベリーハードモードなども欲しい。100ターンで高得点を目指すモードもあるが、なんだかんだでこちらも慣れるとぬるい。
また、ボスの種類が本家よりだいぶ少なくなっており、わかりやすい反面攻略の幅には欠ける。
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▲左上2番目の色違いのスケルトンがボス。通常の敵の何倍ものHPを持ち、特殊能力を使う(パネル長押しで能力は確かめられる。

とはいえ、あまりこだわりすぎずに「懐かしの『Dungeon Raid』っぽいゲームを遊びたい」ならこのゲームでOK。
十分遊べる内容に仕上がっている。

プレイ動画:


概要:
マッチ3パズルとRPGを融合したゲーム。毎プレイ異なる展開で楽しめる。
『Dungeon Raid』のクローンゲーム。

評価:6(面白い)

おすすめポイント
原始的なローグライトゲームの面白さ
『Dungeon Raid』クローンをiOSで遊べる

気になるポイント
『Dungeon Raid』と比べるとボスの種類、難易度のやり込みに欠ける

アプリリンク:
Dungeon Falan (App Store 370円)

開発:Happy Doze(ドイツ)
HP:http://dungeonfalan.com/
レビュー時バージョン:1.0
課金:なし

ライター:寺島壽久(ゲームキャスト トシ)
ゲーム紹介サイト、ゲームキャスト管理人でゲームライター。
アクション、新しさのあるゲーム、旅を感じるゲームが好き。
Twitterでも情報発信中

最後に、キャラクターの能力値の意味を説明しておく。
ゲーム内で特殊能力やステータスの意味がわからないときは以下の説明を参考にして欲しい。

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* Strength: 敵に与えるダメージと、ポーションタイルを取ったときのヘルス回復量が増える。
* INTELLIGENCE: 1レベル当たり、すべてのスキルクールダウンが1短縮
* DEXTERITY: シールドタイルを消したときのシールド回復量、アップグレードポイントの上昇量が増える
* VITALITY: 1レベル当たり最大ヘルスが10上昇。
* LUCK: 4つ以上のタイルをマッチしたとき、ボーナスが発生する確率を上げる。初期のボーナス率は50%
* PIERCE CHANCE: 敵のアーマー値を無視してダメージを与える確率
* BLUNT: 敵から受けるダメージを減らす。敵の攻撃1回当たり、BLUNTと同じ値だけ減少。
* CRIT CHANCE:敵に攻撃したときクリティカルになる確率
* CRIT Dmg: クリティカルヒット時に追加されるダメージ
* LIFE-STEAL CHANCE: 敵にダメージを与えたとき、ヘルスが回復する確率
* LIFE-STEAL Amount: ライフスティールが発動したときに回復するヘルス
* REGENERATION: 毎ターン回復するヘルス量
* REFLECT DMG: 敵からダメージを受けたとき、ダメージを跳ね返して敵に与える割合
* POISON: 攻撃した敵に与える毒ダメージ量。毒は防御力無視で毎ターンダメージを与える。