Appleのゲーム定額サービスApple Arcade、伸び悩んで方針転換か。一部ゲームの開発を停止との報道
- ニュース
- 2020年07月01日
- タグ
- ニュース|
- AppleArcade|
Bloombergの報道によると、Apple Arcadeの加入者を増やすための再編を行っているという。
報道によれば、クリエイティブプロデューサーが一部の開発者に、開発中のゲームは“エンゲージメント”が足りていないと伝え、開発を停止したとのこと。
エンゲージメントとは、おそらくプレイヤーを継続的にApple Arcadeに契約させ続ける力、と思われる。
Apple Arcadeはユニークな体験と有料ゲームの復活を掲げて立ち上げられた月額式のゲームサービスで、月600円で配信されているゲームが遊び放題となるもの。
大々的に発表されたが、それがうまくいっていないのだろう。
一般的に、Apple Arcadeのような定額ゲームサービスでは、プレイヤーが遊び続けられるだけのゲームを提供しなければ契約を打ち切られてしまう。
そうなると困るからプレイを続けてもらえるように遊びを提供し続けるのだが、大まかに言ってこれには2つの成功モデルがある。
1つは、ステージクリア型のパズルや脱出ゲーム・捜し物ゲームのようにステージを追加しやすい構造のゲームを作り、延々と似たようなカジュアルゲームを遊び続けてもらう方向性。
これはBigfish Gamesなどが展開して成功している。
もう1つは、他所でも配信している旧作で数をそろえる方向性。少数の独占フラグシップタイトルなど目玉作品を伴うことも多い。
これは、Xbox Game PassやPS NOWなどが相当し、どちらも成果を上げていると言えるだろう。
ところがApple Arcadeは、そのどちらの成功モデルも踏襲しない新しいサービスでだった。
配信されるのは旧作ではなく、App Storeが世界初配信となる新作インディーゲーム。
一方でフラグシップと言えるタイトルはない。
一方でフラグシップと言えるタイトルはない。
しかも、各タイトルのプレイに継続性はなくて多くのゲームは数時間でプレイして終わりになる。
外から見ると「これは新しいチャレンジだ」とは思えたが、加入者の伸び悩みがあったのだろう。これは私からすると当然の結果に思える。
そもそも、Apple Arcadeは宣伝がまったく足りていないし、やり方も悪い。
Appleは自社サービスが素晴らしいことを宣伝しているが、ゲームの宣伝が全然ない。かつて任天堂の社長だった山内さんが「ハードというのはどうしても遊びたいソフトを遊ぶために、しかたなく買ってもらう箱なんだ」と語っていたが、プレイヤーは遊びたいゲームがあるからそのサービスに加入する。
新作のマリオやゼルダの伝説がTVCMしているのを見て、「Switch買うしかない」と買ってしまうように、特定のゲームをやりたいからApple Arcadeに加入するのだ。
ところが、Apple Arcadeはゲームが出る前に期待をあおることもしないし、毎月登場するゲームのスケジュール告知もない。
出るゲームがわからないし、面白さを宣伝しないから、Apple Arcadeに加入したいとも思えない。
▲ゲームを面白そうに見せて欲しい。Apple Arcadeチャンネルでも作って、Apple Arcade Directでもやって、どんどん宣伝していくべきだろう。
先日も『Beyond a Steel Sky』や『リトルオルフェウス』という面白いゲームが登場した(どちらもPCで買うなら2,000円以上のインディーゲームになるだろう)が、このゲームの内容を事前にPRしないのだから、Apple Arcade加入者でなければ遊ぶ気にもなれない。
▲『Beyond a Steel Sky』。600円のサービスについてくるゲームと思えないぐらい良い。
報道によればAppleは、エンゲージメントが高い作品として多くのステージを持つパズルゲーム『Grindstone』を挙げたという。
『Grindstone』は一筆書きでステージのブロックをなぞって消し、主人公の進む道を切り開くパズルバトルゲームだ。構造としては『キャンディクラッシュ』などのカジュアルパズルに近く、ステージが追加しやすい。
実際、先日アップデートでステージが追加されている。

実際、先日アップデートでステージが追加されている。

▲2019年のGame of the Year mobile候補にもなった人気作品で、特別面白いから人気を集めているのもあると思う。
もし、この路線に変更するのであれば、Apple Arcadeはカジュアルで似たりよったりの薄く長い体験を提供する路線へ転換することになる。
スマホでは基本無料の永遠にステージが追加されるゲームが大量にある。
スマホでは基本無料の永遠にステージが追加されるゲームが大量にある。
この方向性に行くとしたら、もともと掲げていた「有料ゲームの復活」も消えるし、サービスとしての特徴も魅力も消えてしまうだろう。
果たして、Apple Arcadeは今後どうなっていくのか。
できれば、今の路線のままでゲームの品質を高めて欲しいが……カジュアル路線にかじを切ったら、おそらく加入をやめるだろう。
関連リンク:
-
コメント(20)
- Tweet
コメント一覧 (20)
-
- 2020年07月02日 02:07
- 一応まだ入ってるけど、どのジャンルも雰囲気ゲーが多く占めてて映像作品みたいなゲームが多すぎる。
-
- 2020年07月02日 04:01
- そもそもAppStoreのUIが使いづらすぎてゲームを探そうと到底思えない
たとえ魅力あるゲームがあるとしてもそれを伝えられないなら意味がないんじゃないかな
-
- 2020年07月02日 11:04
- もしゲームキャストがAppleの代わりに発売スケジュールも発売予定のゲームも宣伝したこうなる!
みたいなのやってみたら面白いかもですね
-
- 2020年07月02日 12:39
-
これ失敗するの誰の目にも明らかでしたよね。
遊んで面白いタイトルの少なさも致命的で、低評価レビューもかなりの数がありますし。
GRIND STONEは確かに面白かったですし、挙げられた大手メーカー製のゲームは秀逸でした。
しかし9割が買うほどの価値もないような、定額であることを前提とした有料じゃなくて良かったと思う程度の完成度なのが最も問題だと思ってます。
これが定額で遊べるなんてお得だなと思わせてくれるラインナップ以外のその他は数にも入らないんですよね。
面白い10本のために毎月なんて支払うわけないです。
カジュアルラインに寄せるなら尚更加入する必要がなくなりますね。
正直言って急造の新作にこだわるより、多少高くてもストアにある有料ゲーム定額化の方が全然魅力的です。
-
- 2020年07月02日 21:33
-
宣伝なんてほとんど見た記憶がないし、やるゲームも実際にプレイしたゲーキャスさんの記事を読んで選んでた感じでした。あと当初のコンセプトにはワクワクしたんですが、全部がインディー的な作品ばかりだとなんか刺激も足りなく思えて。誰もが知ってる過去の名作とかも揃えてなるべく登録の敷居を低くしつつ、キチンとした評価軸によって新しい挑戦的なゲームも随時オススメしてくれるようなシステムだったらなと。少し前に退会したんですがゲーキャスさんの記事を読んで腑に落ちました。
-
- 2020年07月02日 22:34
- 1ヶ月間だとクリア出来ないゲームもそこそこあるんだけど、もう数ヶ月支払ってプレイ継続、って気持ちにはならないんだよな
気に入ったゲームは買い切りでも遊べるようにして欲しい
-
- 2020年07月02日 23:56
- 無料期間が終わったら速攻で解約しましたよw
こってりしたゲームに期待してたけど、一見して明らかにカジュアルっぽいものが多かったし、カジュアルに定額払いはあり得ないですもん。
面白そうなゲームが揃ったら再加入しようと思ってたけど、これと言って目につくものなかったですしね。
-
- 2020年07月03日 00:42
- アップル、ゲームにはセンス無いと思う
アーケードのラインナップ見てると、明らかに面白いかどうかじゃなくて芸術的かどうかで選んでるんですよね
企業イメージ的に暴力性やエロ性が高いのは無理なんでしょうけどねー
-
- 2020年07月03日 01:28
- 逆に、何がAppleARCADEにあったら入ろうと思うか?
例えばSlayTheSpireがAppleARCADEでリリースされてたら速攻で入ったと思う
Overdungeonでもいい
Keep talking and nobody explodes も本当に素晴らしいゲームだし、もしARCADEにあれば入る理由になる、もう出てるけど
MHP2Gの移植の出来が良かったのでMHP3Gが同じように良移植されたらこれも是非
EpicBattleFantasyもいいなあ、4でいいから
個人の趣味妄想を書いてて虚しくなってきたけど、なんていうかAppleにはハナからゲーマーのツボを押す気を感じないのよね
Appleのゲーム経験値というかゲームへの情熱はまるで信用できないし、
むしろゲームヲタ臭さを隠した方がブランドイメージを維持できるまである
媚びろとまでは言わないがせめて歩み寄れよと言いたい
ぶっちゃけBigFishGamesを丸ごと買収した方が早かったのでは
-
- 2020年07月03日 08:51
- 日本人ウケしないゲームが多すぎる。
ミニモーターウェイズのためだけに続けてる。
ミストウォーカーのが外れだったら辞めるかな。
-
- 2020年07月03日 09:48
- apple arcadeに配信されるときは未完成なので
後日steamとかに配信される方購入してしまう
-
- 2020年07月03日 10:24
-
PS3時代の旧作AAAなどをどんどんiOSに取り込んでラインナップ増やせばお得感も出るし、ハードも新型iPhone,iPadに誘導できるし良かったと思うんだ。
要はXbox Game PassやPS NOWの戦略だけども。
-
- 2020年07月03日 13:32
- 宣伝戦略の誤りはもちろんあるのですが、自分はゲームの消費者層のニーズを読み違えたのも大きいのかなと。
アーケードのラインナップにはゲーム的なキャッチーさ、楽しさよりも、ゲーム的斬新さ、表現の芸術性に重きを置いたゲームが多くありました。
これは確かに製作者やゲームブロガー、ヘビーユーザーなどの目が肥えておりゲームに楽しさ以上の付加価値を求めるようになった人達には評価されるのだと思います。
しかしそうした方達の割合は実際には全体の数%に満たないものです。多数派を占めるゲームの革新や芸術性に大して興味がなく、ただ手すきの数分〜数時間を楽しく潰せるゲームが欲しいだけです。
ここで一つの錯誤が生まれるのですが、そういった多数派を占める人々は別にレビューや開発批評なんてしないんですね。数%に過ぎないはずの目の肥えた人々だけが批評を発信し、それがあたかも全体の意見かのように受け止められるようになってしまいます。
Appleは恐らく「評価される」ゲームを求めた結果今のようなラインナップになったのでしょうが(もちろんブランドイメージや色んな兼ね合いもあると思います)それは結果的には多数派の人間には響かない内容だったんですね。
正直、よりキャッチーでカジュアルな路線に切り替えるのはある意味必然なのかなと思いました。
-
- 2020年07月04日 01:04
- サブスク終了後に気に入ったゲームがアップデートされるのは仕方がないとして、その度に加入してるとキリが無いから他のゲームもアップデートされた時に纏めてプレイしよう、となってしまう。そうしていつ始めようか悩んでるうちに忘れちゃうんだよな
-
- 2020年07月04日 20:05
- Appleの選んだゲーム出してたらまず売れないだろうし忖度的なものもあるのかね
-
- 2020年07月04日 23:42
- いっそのことソシャゲみたいにしちゃって、Appleがつくるホーム画面から、個別のメーカーがそれぞれで作ったステージに行ってプレイするようにして、自分のチームが少しづつ強くなるような、、、あ、それただのソシャゲか
-
- 2020年07月05日 06:23
- 個人含む少人数チームによる開発では
有料ゲームを出すことが難しい市場(要は中国)もありますし
そっちへの手がかりという方向性はなかったのかなあ?
-
- 2020年07月05日 23:08
- アーケード、っ名前が良くないのかもしれない。
他の人がどう感じるかは分からないけど(周りの人とAppleArcadeの話しないし)、個人的にはイメージとサービスの内容にギャップを感じます。
-
- 2020年07月06日 03:47
- 無料でフォートナイトのようなゲームが遊べる時代にわざわざ月額費を払ってまでインディーズ相当のゲームを遊ぶのはゲーマーだけでしょう
-
- 2020年07月10日 01:53
- ゲームロフトの過去ゲーム、例えばバックスタブやシャドーガーディアンやゾンビインフェクションなんかを現行iOSに対応ささてラインナップに加える、みたいにするだけでも加入者増えそうですよね