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入口に立ったら抜け出せない面白さの沼。ローグライト・デッキビルドの名作『Slay the Spire』レビュー

Slay the Spire (App Store 1,220円 / Steam 2,570円)
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ついに、あのゲームがスマホで出てしまった。
PCで爆発的な人気を得て、Nintendo Switchでは特別にIndie Worldで紹介ムービーが作られるほど特別扱いされたローグライト+デッキビルドRPG『Slay the Spire』が。
しかも、内容は他機種版と同じなのに、スマホでもちゃんと操作できる。
ハマりすぎて止まらないので、PC版をアンインストールしてまでやめたのに……。
気づいたら世界ランキングに乗るほどスマホ版を遊んでしまっていたのであった。
そう、今日はそんな『Slay the Spire』を紹介する。みんな、ハマって時間を溶かして欲しい。

まず、“ローグライト+デッキビルドRPG”というジャンルの説明から入ろう。
先頭の“ローグライト”は、プレイのたびに最初から始まり、マップやアイテムがランダムに生成・出現するゲームだ。
この特徴のため、ローグライトなゲームは飽きずに繰り返し遊べるゲームが多い。
もちろん、『Slay the Spire』も遊ぶたびにマップや手に入るカードが変化するので、繰り返し遊べる。

次、“デッキビルドRPG”はカードの集合である“デッキ”を作ってRPGを遊ぶ仕組みを指す。
『Slay the Spire』では、キャラクター能力の多くがカードで示される。
RPGのように“攻撃力6”とか決まった数値が存在するのではなく、「このカードを出すと6ダメージを与える」とか「このカードを出すと5ダメージ防ぐ」などのカードで集合で示される。
デッキに占める攻撃カードの割合が多かったり、攻撃カードの効果が高ければ「攻撃力が高い」状態になるわけだ。
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デッキビルドRPGでは、より強いカードを手に入れてデッキに組み入れることでキャラクターを成長させていく。
レベルアップ=新しいカードを手に入れる、と考えても良い。
そして、この「カードを入れて成長する」仕組みが他のRPGとの差別点になる。
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単純に強そうなカードを手に入れても初期状態よりは強くなる。
しかし、実際のカードゲームがそうであるように、カード同士の連携効果を考えてカードを増やすとキャラクターが爆発的に強くなるのだ。
これはプレイヤーが考えるほど、キャラクターの成長速度が上がる仕組みで、それゆえキャラクター育成の自由度が高くて楽しい。
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そして、この“ローグライト”と“デッキビルドRPG”を融合すると……恐ろしい相乗効果が生まれる。
デッキ構築型のカードゲームでは「これが最強の組み合わせ!」というデッキがいくつか存在していて、使用するカードが固定されてしまう。
しかし、ローグライトでは毎プレイ手に入るカードが異なるから、望むカードが手に入らないことも多い。
つまり、攻略サイトなどに存在する「最強の組み合わせ」に頼れない状況が多く発生する。
こうなると、プレイヤーは手持ちのカードから現在実現できる自分なりの最強スタイルを考えないといけない。
ローグライトのランダム性が、多様なデッキ構成・攻略を試す面白みにつながる。

また、毎回マップが変化することもデッキビルドの面白さ・戦術をより深くする。
RPGに序盤から最後にかけてバランスの変化があるように、カードにもゲーム序盤に有用なモノ、中盤以降に有用なモノがある。
すると、ゲームの状況に合わせてカードを選び取る楽しさが生まれる。
いま、目の前に「目指したい最強のデッキ」に必要なカードがあっても、ゲーム序盤なら「今、目の前の敵を倒すために必要なカード」を取った方がゲームが優位に進むかもしれない。
序盤を立てれば、後半が立たず……そんなジレンマが生まれる。
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▲『Slay the Spire』ではランダムにボスが変化する。ボスに合わせたカードを取得するのもRPGならではの戦術。

ローグライトのランダム性と、デッキビルドの戦術性が融合することで相乗効果を生む。
そして、そんなジャンルの代名詞とも言えるのが『Slay the Spire』だ。
ああ、長い前置きだった。

本題の『Slay the Spire』だが、これは塔に挑んで待ち受ける敵を倒し、さまざまなカードを入手してデッキをビルドしながら3体のボスを倒すゲームとなっている。
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▲とてもシンプルなマップ。だが、1つ1つのイベントが重いので道選びは悩ましい。

プレイヤーは4種類のバトルスタイルのキャラクターから1人を選び、「戦う、強くなる、より強い敵と戦う」を繰り返して塔を上っていく。
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▲左から戦士アイアンクラッド、トリッキーな暗殺者サイレント、扱いが難しい戦闘ロボディフェクトと難易度が上がっていく。最初はアイアンクラッドがおすすめ。

戦闘はアクションポイントを消費してカードを使い、アクションポイントが尽きるたびに敵が行動するターン制のバトルだ。
ゲームとしての特徴は、敵のデータが詳細に示されること。
敵の下には赤い数字でHPが、青いときはブロック(防御)値が示されており、どれだけ攻撃すれば倒せるか一目でわかる。
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▲防御力は次のターンになると0になるので、一時的に防御を固めている敵は攻撃しないのも手。

さらに、敵の行動予定までプレイヤーに示される。
赤い剣のマークと数字が描かれていれば、次のターンにはその数字分だけダメージを与える攻撃を行う。
盾のマークが表示されていれば防御を行うなど、敵の動きはかなりの精度で判明する。
シンプルなターン制を採用しているので、プレイヤーの手番に最適な対応をすれば敵を倒せるはず……なのだが、これが簡単にいかない。
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▲その他、敵はそれぞれに特殊能力を持っていることが多い。能力の詳細は敵を長押しするとわかる。慣れないうちはマメにチェックしよう。

プレイヤーの手元にはデッキから一定枚数のカードが配られ、その中から選んでカードを使用する。
特殊なデッキを作っていない限り、全部のカードを使用するにはアクションポイントが足りなくて、攻撃カードを使えば被害を受けるし、攻撃を防げば敵に少ないダメージしか与えられない。
被害を抑えて長期戦に持ち込もうにも、多くの敵はターンが経過するほどに強くなる。
ここでも「傷を負いながら敵を早く倒すのか」、「ダメージを抑えてチャンスを狙うのか」という選択が発生しており、悩ましくも楽しいゲームに仕上がっている。
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▲戦闘で被害を抑えるのはかなり難しい。

そんな厳しい選択を乗り越え、戦闘に勝利すると褒美タイム。
3枚のカードから1枚を選んでデッキに加え、戦力を強化できる。
もちろん、敵はどんどん強くなる(しかも、後戻りはできない)ので、うまくカードを選び取って敵の成長以上にデッキを成長させなければいけない。
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基本の枠組みはこんな感じで、これがゲームはボスを倒すか、道中で倒れるまで続く。
バトルもデッキビルドも悩ましいし、カード戦術はバラエティに富んでいるし、この基本の枠組みを理解するだけで十分楽しい。
が、『Slay the Spire』にとって「十分楽しめる」は沼の入り口でしかない。
少し遊ぶと皆、『Slay the Spire』の先によりヤバいハマり要素があることに気づくのだ。
そのハマり要素とは……ゲームバランス全体に影響を持つアイテム“レリック”である。

レリックはカードと異なり、手に入れると1ゲーム中ずっと効果を発揮し続ける。
多くは「ダメージ+1」とか「敏捷(防御力)+1」程度の小さな効果しか持たないが……カードゲームに詳しい方ならすぐわかるだろう。
その小さい効果が、カードによっては劇的な差につながるのだ。
例えば「5回、1点のダメージを与えるカード」があれば、その意味するところは「5回、2点のダメージを与えるカード」にかわり、ダメージは2倍。
小さな差が、カードの力関係が変化させてしまう。
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プレイするたびに登場するレリックに合わせて定石が変化し、マンネリに陥る暇もない。
まれに出現するレアレリックに至っては、チートともいえる衝撃的な効果を発揮するものある。
また、レリックに適応することで(基本的にレリックによりカードは強化されるので)さらに強いデッキを組めるようになって育成の楽しさ……ハマり度が加速する。
『Slay the Spire』は年単位で飽きないゲームと言われるが、私自身はレリックによって遊ぶたびに細かくデッキが変化してマンネリをまったく感じなかった。
大げさに言えば毎プレイパッチが当たっているかのように新鮮なプレイが楽しめたと言える。

しかも、だ。
さらにゲームに慣れてくると、レリックの先まで用意されている。
塔を攻略すると難易度の高いマップが解放され、レリックを落とす“エリート”という敵が多く出現する。
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▲マップ上に存在するエリート。重要アイテムを落とすが、超強い。

エリートはかなり強い。欲張ってエリートと連戦すると、軽く倒されてしまうほど。
しかし、エリートを倒して大量のレリックを手に入れると、ゲームに複合的な変化(すべてのレリックの効果は重複する)が起こり、デッキビルドで超強力なコンボが成立する。
これを1度体験すると、その爽快感がクセになるし、高難易度のマップはこれなしに攻略が難しい。

すると、今度はマップクリアではなく雑魚との戦いを避けてエリートに集中するのか、雑魚との戦いでもできる限り消耗を抑えてエリートと戦う余力を残すデッキを作るのか、リスクとリターンを考えてまた悩むことになるのだ。

楽しい入口につられて、気づけば『Slay the Spire』沼にずっぽりはまり、プレイ時間はもはや50時間を超えた。
というか、PCで遊んだのにスマホ版が出てまたTOPランキングに名を連ねるほど遊んでしまった。

入り口のランダムなカード入手とデッキビルドだけで楽しくなり、レリックを手に入れられるとさらに楽しくなり、上達するとレリックを組み合わせた超コンボを目指してさらに楽しくなり……。
上達するほどにやりたいこと、やれることが増えていく。
しかも、悩んだだけ成果が出る「プレイヤーに応えるつくり」がそこにあり、無限に遊べてしまう。

ぜひ、この面白さは皆さんに体験していただきたい。
なんせ、スマホ版はゲームの全要素を、PCなどとそん色なく遊べるような操作性で移植して他機種版のほぼ半額。
残念ながら初代iPhone SEのように画面が小さい端末ではプレイが難しいが、大きめの端末なら十分遊べる。
何度も繰り返し遊べて、戦術が試されるゲーム……『不思議のダンジョン』や『ダンジョンメーカー』などが好きならこれも楽しめる可能性は高いので、ぜひ遊んでみて欲しい。

概要:
ローグライト・デッキビルドRPGの代表作。現在と将来を秤にかけて選択し続ける絶妙なバランスに引き込まれる。バランスはジャンルのなかではやや難しめ。

評価:10(名作)

おすすめポイント
思わず熱中してしまう絶妙なバランス
目の前にあるカードの価値がレリックによって一気に変化する(ことがある)
序盤、中盤、終盤で目指すべきものが変化するゲームプレイ

気になるポイント
カードが増えると操作性が落ちる(iPadは超快適)
初代iPhone SEなど小さいスマホではプレイが難しい

アプリリンク:
Slay the Spire (App Store 1,220円 / Steam 2,570円)

開発:Mega Crit Games(US)
販売:Humble Bundle

HP:https://www.humblegames.com/games/slaythespire/
レビュー時バージョン:2.0.10
課金:なし

ライター:寺島壽久(ゲームキャスト トシ)
ゲーム紹介サイト、ゲームキャスト管理人でゲームライター。
アクション、新しさのあるゲーム、旅を感じるゲームが好き。
Twitterでも情報発信中

 コメント一覧 (8)

    • 1. steam user
    • 2020年06月23日 07:51
    • 3 ゲーム自体は面白いけど、PC版と日本語訳が違うので、カードの名前が違って分かりにくいのが致命的な欠点……
      PC版で遊んでない人にはおすすめできるけど
    • 2. うりゃ
    • 2020年06月23日 09:57
    • 「ローグライト」ではなく「ローグライク」では?
    • 3. 記事読んで買いましたー!
    • 2020年06月23日 13:13
    • 世界ランキング10位によるiPhoneから始めた初心者向け攻略記事読みたいです!
    • 4. 名無し
    • 2020年06月23日 18:37
    • steamのタグを見てたらランダム要素を含む死んだら終わりのゲームをローグライトとしてる感じがする
      まぁさらにToME4のようないかにもローグライクなゲームは伝統的ローグライクとタグが付けられてて世界的にローグライクの定義が定まってないような
      StSがスマホで出来ると寝る前に一回でずるずるやってしましそうっすね
    • 5. 名前
    • 2020年06月24日 01:11
    • ローグライクと言われる中でも、繰り返しプレイが次に何か繋がるゲームはローグライトと呼ばれてる。
      最近の「ローグ系」は大抵ローグライト。
    • 6. 管理人
    • 2020年06月24日 06:07
    • 本文に書くか悩んで入れなかったのですが、不思議のダンジョン系のローグライクに対して、完全にローグではないがランダム性があって構造が似ているものがローグライトと呼ばれるようになっているみたいです。
      自分としては結構どうでもいいんですが。ローグライク要素がある、と昔から使っていたので。
    • 7. うりゃ
    • 2020年06月24日 08:35
    • 「ローグライト」の説明ありがとうございます。
      なるほど、別の分類だったのですね、納得できました。
    • 8. 名無し
    • 2020年06月25日 02:55
    • ローグライクはローグ風なやつ
      そこから派生してローグライクはプレイするたびプレイが変わるの意味合い程度

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