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これぞ、顧客が本当に求めていたゲーム『Hero Rescue』レビュー。広告動画にしか存在しなかった幻のゲームがあなたの元へ

Hero Rescue (itunes 無料 / GooglePlay 無料)
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あの広告のゲームが、ずっと遊びたかった。
スマホでゲームをプレイしていると必然的に見る”あの広告のゲーム”。
マグマやモンスターなどが棒で区切られている部屋が表示され、棒が引き抜かれるとヒーローがモンスターに襲われて哀れに倒れる“あの広告のゲーム”。
それを再現した待望のゲームが、今回紹介する『Hero Rescue』である。

”あの広告”とは、を知らない方のため、ゲーム概要とを説明しておこう。
近年、スマホのゲーム広告ではゲーム内容とまったく関係のない、もしくはメイン要素ではないゲーム映像によって人をだまして集客する(広告詐欺などと言われる)が増えている。
たとえば、『FINAL FANTASY 15 新たなる王国』ではタワーディフェンスのように見せかけた広告をしているが、実際は国盗りの戦略ゲームで、タワーディフェンスは申し訳程度に登場するミニゲームに過ぎない。
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その中でも最く有名な“広告詐欺”が、物理シミュレートされた部屋の仕掛けを作動させ、閉じ込められたヒーローを救出したり、宝を手に入れたりするパズルゲームである。
このパズルを見て「面白そう!」と考えてダウンロードすると……。
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▲なお、このゲーム自体はHero Warsという作品に申し訳程度のおまけとして実装されているが、メイン要素ではない。

全く異なる3マッチパズルだったり、経営系シミュレーションだったりが始まって、この物理パズルをメインとした作品がなく、期待を裏切られることになる。
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▲なぜかこんなゲームが始まる。

しかも、動画広告に出てくる物理パズルを遊びたいと思ってApp Storeなどを探すと、「そんなパズルはこの世に存在しない」という驚くべき事実を知ることになる。
もう1年以上ものあいだ、このような状況が続いてきた。
が、それも終わり。この世に存在しない”広告詐欺のためのゲーム”を作ってしまったという1作が『Hero Rescue』だからだ。

本作は広告動画と同じく棒で区切られた部屋の棒を引き抜き、ステージのクリア条件を満たすパズルゲームである。
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画面上の顔のバーはそのステージの目的を示していて、モンスターの顔ならステージ上のモンスターを全滅させる、財宝・宝箱ならヒーローに財宝・宝箱を手に入れさせる、プリンセスの顔ならヒーローとプリンセスを出会わせるという目的になっている。

たとえば、このステージなら財宝を手に入れることがクリア条件となる。が、何も考えずに棒を引き抜いて宝とヒーローをくっつけようとしても、大惨事が起きるだけだ。

棒で区切られた場所にはそれぞれマグマやモンスターがいて、モンスターはAIで動いてヒーローを攻撃するし、マグマなどは物理シミュレートされていた高いところから低いところへと流れていく。
これらと触れると、ヒーローは即死(正直、ヒーローは弱い)だ。
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▲ヒーローがマグマに突っ込んで焼死。

よって、ステージ上の物体がどのように移動するか計算し、その特性を利用して障害を排除しなければならない。
このステージであれば、まず真ん中の棒を抜くと水がマグマの熱を奪い、岩になる。
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岩になった後で左右中段の棒を引き抜くと、岩が落下してスイッチが作動して釣り天井が落ちモンスターが倒れる。
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最後に天井の棒を引き抜くとヒーローと財宝が落下して、無事に財宝を手に入れてステージクリアだ。
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ここまでなら「なるほど、普通の物理パズルだね」となるのだが、このゲームはなぜか異常なこだわりでCMのシチュエーションを再現しつつ、パズルゲームとしても面白くしようと努力している。
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マグマ、毒ガス、ロープを切って重さをシミュレートされた物体でモンスターを押しつぶす……などなど、動画で使用されているシーンはほぼ再現されている。
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▲ロープを切ると、宝箱が重さの位置エネルギーでぶらぶら揺れる。タイミングを見計らって切れ!

それどころか、ヒーローが目の前にいると矢を撃つモンスターなどのオリジナル要素も加えられており、ステージが進むほどにギミックが豊かになる。わりと、真面目にパズルとして作られているのだ。
動画と比べると演出が安っぽくはあるが、「あれを遊びたかった欲」は十分満たされる。
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ちょっと面白そうならすぐコピーアプリが出る印象のスマホカジュアルゲームだが、このゲームはなかなかにコピーが難しい。
物理シミュレーションを利用したパズルは不確定性が大きく、自動生成でステージを作ると面白くて確実にクリアできるステージは作りづらいからだ。
コピー業者は今、手間がかからないハイパーカジュアル系ゲームの売れ筋をコピーするのに忙しく、これをわざわざ作らない。

そんななか『Hero Rescue』が出てきたのはちょっと驚きの事件だし、このゲーム自体それなり頑張って作られていて、“あの広告のゲーム”が遊びたかったプレイヤーの欲求にある程度応えてくれるものになっている。
公告の出る回数は多いが、『Hero Rescue』内で『Hero Rescue』系パズルの広告が出るとまた笑えるので、それも含めて楽しめるはずだ。

概要:
広告詐欺に使用されていた幻のパズルがゲーム化。序盤は退屈だが、進むとそれなりに楽しい。

動画:


評価:6(面白い)

おすすめポイント
広告専用で実際に遊べなかったゲームを作った
広告動画に存在する多くのシチュエーションをゲーム化
序盤は単調だが、進めると意外に楽しめる

気になるポイント
作りは粗いし広告も多い(丁寧に作ればもっと面白くはできたはず)

アプリリンク:
Hero Rescue (itunes 無料 / GooglePlay 無料)

開発:Bazooka Studio(ベトナム)
販売:Super Game Studio(不明)

レビュー時バージョン:1.0.1
課金:広告削除(370円)、ライフは無限にならない

ライター:寺島壽久(ゲームキャスト トシ)
ゲーム紹介サイト、ゲームキャスト管理人でゲームライター。
アクション、新しさのあるゲーム、旅を感じるゲームが好き。
Twitterでも情報発信中