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欧陸戦争の最新作は新作というか新シナリオ。欧陸戦争6の第一次世界大戦版『欧陸戦争6: 1914』レビュー

歴史をテーマにした硬派なターンベース戦略シミュレーションゲーム『欧陸戦争』シリーズ。
中国のメーカー「Easy Tech」が展開するスマホ定番のこのシリーズに、昨年末、最新作が登場しました。
『欧陸戦争6: 1914』です。

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『将軍の栄光』や『世界の覇者』などの派生作も含めると、今作で16作目。
ただ、シリーズのファンの方だと、タイトルを聞いてこう思ったかもしれません。
「え? 欧陸戦争6って、もう出てなかった?」

そう、欧陸戦争6は2018年の5月にすでに発売されています。
ただ、以前のものは『欧陸戦争6: 1804』で、アメリカ独立戦争やナポレオン戦争が舞台。
今回は『欧陸戦争6: 1914』で、アメリカ南北戦争や第一次世界大戦が舞台です。
つまり、扱っている時代が違う。

ナンバリングが進んでいないので、ゲームに大きな変化はありません。
しかしバランスは調整されていて、ひとつ前の作品『大征服者: ローマ』に近くなっています。
詳しくは後述しますが、難易度がやや下がり、将軍を雇用しやすくなりました。

価格はiOS版120円、Android版110円。
課金将軍などが存在しますが、今回は無課金でも(それなりにSLGが得意なら)無理なく進める難易度です。

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「いつもの欧陸戦争」なので、シリーズの経験者なら悩むことなくプレイできるでしょう。
ヘックス(六角形のマス)で区切られたマップ上で、歩兵・騎馬・火砲などの部隊を動かし、敵軍を撃破して都市を占領していく、ターン制の大戦略型シミュレーションゲームです。

各ステージには最初からユニットが配置されており、プレイヤーはその一部を指揮します。全軍ではありません。
他のユニットはAIが動かしますが、友軍が勝利のカギを握っていることもあり、場合によっては支援を送る必要があります。
生産が可能で、都市を占領すれば収入を得られ、工場や厩舎でユニットを追加できます。

火砲は遠距離攻撃が可能で都市攻撃に強く、歩兵は安価で地形の影響を受けずに動け、騎兵は高い近接戦闘力を持ちます。
他に軍船が存在し、陸上ユニットは海に移動すると輸送船に変化。
基本の兵種はこの4種類。

都市を占領するには都市防御度をなくす必要があり、まずは火砲を撃ちまくるのが基本です。
それから都市内の敵を騎兵などで掃討して踏み込みます。占領は誰でもOK。

欧陸戦争シリーズには、敵を挟むと相手の"士気"が下がり、包囲するともっと下がる、というルールがあり、移動だけして攻撃は後回しにできるため、まずは敵を挟んで士気を下げ、それから攻撃するのがセオリーです。

この辺は変わっていないので、シリーズのファンにはおなじみでしょう。
ただ、ひとつだけ注意点が。
火砲などを撃つとマスに火が付きますが、これが今回、かなり痛いです。三国志のように痛い。
これまでとは段違いのダメージなので、主力ユニットは火が付いたマスからはできるだけ退避して下さい。

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こうやって挟み打ちにして、士気を落とし、砲撃で弱め、それから攻撃するのが基本。
制限ターンが厳しいのでどんどん攻めていかなければなりませんが、消耗はできるだけ抑えましょう。
火の上に留まってしまうとHPが1/4ぐらいごっそり減ります。
今までは無視しても良い程度のダメージだったのですが……。


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ステージセレクト画面。史実の舞台背景が語られます。
★マークの付いたステージは高難度ですが、クリアは必須ではなく、特別なご褒美が付いています。
最初はアメリカの南北戦争、シナリオ2はドイツの統一戦争と第一次世界大戦、さらにロシア帝国、オスマントルコの戦いが描かれます。
ずっと同じ陣営でプレイするわけではありません。
クリアしたシナリオは、高難度でミッションも追加される"チャレンジモード"に挑めます。


『欧陸戦争6』は、マップ上に施設を作ることができます。
都市自体にもレベルがあり、内部施設の増築を行って収入を増やすことも可能。

都市ごとに支配エリアがあり、その中の好きな場所に建物を配置でき、最前線に工場や要塞をドンと置けたりします。
ただし資金や工業力が必要で、都市レベルによって最大数も決められています。
すでに最大に達している場合、既存の建物を壊さなければなりません。
それでも今回は「指定ターンまで都市を守る」という防衛ステージが多いため、要塞の建設は重要です。

また、都市内に"軍事学院"を作ると、"大学"の建設で得られる知識ポイントで、使い捨ての"戦術カード"を作成できます。
これ自体は前からあったのですが、今回は1900年代になったため"爆撃"や"毒ガス"、"消防車"といったものが登場。
欧陸戦争は陸戦が主役ですが、航空機の時代も一応到来しています。
前述したように火が熱いので消防車も地味に大切。

ユニットも歩兵の上位版は重機関銃、騎兵の上位版は装甲車や戦車になっており、時代の進化を感じられます。
騎兵が主役の世界に装甲車が出てくると強敵感がすごい。
上位ユニットを作るには都市のレベルを上げる必要があり、大戦略系でありながら若干の内政も必要です。

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海岸にトーチカ建設! 建設中に攻撃されると一方的にダメージを受けますが、そう簡単には壊れません。
海上の部隊は防御力がかなり下がるため、できるだけ上陸を阻止し、火砲などで狙い撃ちしましょう。


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都市画面。胸甲騎兵と榴弾砲は都市レベル4、装甲車と野戦砲は都市レベル5が必要。
最初から何枚かの戦術カードを持っている場合があるので、軍事学院は必ず建設しましょう。
学院でカードを生産するのを忘れがちなのが難点。


そして今作の大きな変更点が"将軍"。
将軍のルール自体は今までと変わりません。攻撃力や防御力、スキルなどを持っており、任意のユニットにセットすることで戦力をアップさせられます。

この将軍を、今回はゲームの進行で、無課金でも普通に入手できるようになりました。
今までは無課金だと弱い人を数人しか貰えなかったり、入手はほぼ無理だったりしましたが、今回は報酬付きの"高難度ステージ"が登場し、将軍が報酬になっていることも。
クリアできればタダで将軍ゲットです。

高難度と言っても「比較的難しい」といったぐらい。
そして嬉しいのは、こうした報酬の将軍の中にゴールドやシルバーランクの、強力な人物も含まれていること。

加えて、ステージクリアで得られるコインや勲章でも将軍を購入でき、その価格も常識的な値段で、課金必須ではありません。
結果、色々な将軍を使う楽しみが生まれています。

将軍は育成可能で、コインでスキルを強化でき、経験値を溜めれば勲章で昇格させられます。
アイテムを買って装備させれば、よりパワーアップ。
今作はどちらかと言うと、育成での課金を考慮しているのだと思われます。
課金専用の将軍は、購入することで"毎日コイン獲得"などの"VIP特典"を得られます。

ただ、個人的に残念なのは…… 第一次世界大戦ということ。
もちろん第一次世界大戦や南北戦争が三度の飯より好きな方もいると思います。
でも、第二次世界大戦よりは、ピンと来ない人が多いでしょう。
私も正直、将軍の名前とか、戦役の名称を聞いてもよくわからない……。

加えて、今の中国だから仕方ないのですが、アジア方面はありません。
南北戦争や第一次世界大戦の頃は、極東では日清戦争や日露戦争があった訳ですが、これらは範囲外。
まあ「欧陸」戦争なのだから、ないのが普通とも思いますが……。

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将軍のステータス画面。今回は歴代シリーズ作の中で、一番将軍を入手しやすい。
ステージ報酬で手に入る将軍は騎兵が多く、砲兵は3章まで入手できません。
よってコインや勲章で将軍を買うときは、砲兵将軍を優先しましょう。


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もちろん今回も大型マップで陣営の勝利を目指す"征服"モードがあります。
今回の制覇モードは小さめで、以前ほど時間はかかりません。
ヨーロッパ全域、さらに黒海・北海・地中海を含むマップもありますが、それでも前より一回り小さい。
もちろん報酬があるので、将軍が集まったら挑戦してみましょう。
なお、資金を使って敵を中立化させる"停戦"が追加されています。


正直、『欧陸戦争6: 1804』や『大征服者: ローマ』よりも縮小している感じはあります。
1804にあった追加シナリオの"挑戦"モードがなくなっていて、ローマにあったおまけモードの"遠征"もありません。
ローマの裏シナリオは敵側で戦えたりしましたが、そういうのもなし。

しかしローマは弓隊が遠距離攻撃できなかったため違和感があり、1804は大砲が強くて騎兵の価値が微妙というバランスの問題がありました。
今作はそれが調整され、火砲は遠距離攻撃が可能、序盤に(無課金で)得られる将軍の多くが騎兵将軍であるため、騎馬も主力として扱えます。

全国モード"制覇"のマップも今までより小さくなって、挑戦しやすくなりました。
変わり映えしないという印象がありましたが、やってみると色々と修正されている感じも受けます。
メインシナリオのボリュームもさらに増えている模様。

ともあれ、将軍を多く雇えるのが嬉しいですね。
価格も安く、シリーズのファンや硬派な戦術SLGを好む人は、試しておきたいアプリでしょう。

概要:
『欧陸戦争』シリーズの新作。ターン制の戦略シミュレーション

評価:7(要チェック)

おすすめポイント
 硬派な大戦略タイプのSLG
 将軍をかなり雇用しやすくなった
 少し難易度が下げられた

気になるポイント
 戦略ゲームのマニア向け
 渋い外観だが少し地味

アプリDL:
欧陸戦争6: 1914 (App Store 120円 / Android 100円)

開発:Easy Tech(中国)
HP:https://www.ieasytech.com/ja/Phone/
レビュー時バージョン:1.0.6
課金:あり(通貨や課金将軍の購入)

ライター:
iPhone AC カムライターオ
数々のゲームのファンサイトを経て、iPhone 解説サイト『iPhone AC』を制作。現在はスマホゲームを紹介するレビュアーとしても活躍中。